シェイクスピアのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この戯曲はシェイクスピア中でももっとも心を刺す台詞の多い作品の一つである。
四大悲劇のハムレットの結末と同じく、救いはないのだが、そこはかとなくマクベスのような狂気もある。
また、この岩波のリア王は解説もまたたっぷりあって、脚注も本文の下に添えてあり、目に入らざるを得ないようになっているのだが、これはヘンリー四世の訳者が「まずは本文を読んで、解説はそのあとで」というようにいっていたのと対照的である。また、マクベスの訳者は当時のイギリスでの観劇者たちの理解は現代の文字をじっくり追う読者にまったく劣らないものだった、それは原文の言葉の絶妙な使われ方によると言っていた。が、このリア王の訳者はシェイクスピア劇は観るものでなく、読むものであるという意味に近いことを言っている気がする。こういう個性の洪水のような解説があるのもおもしろかった。 -
Posted by ブクログ
「リア王」も「ハムレット」も「オセロ」も「ロメオとジュリエット」も……、誰でも知っているシェイクスピアの戯曲は、それなりに読んだつもり、だけど、私は「戯曲」という文学形式を些か苦手としているかもしれません。ともあれ取り急ぎ、代表として、リア王を挙げます。(マクベスとかハムレットとか、幽霊が出て来たり魔術が出て来るほうが好きかも)。これもまた、純然たる「悲劇」だ。ただ、どうして末娘はいい娘なの?どうしてお姉さん(たち)には邪念がつきまとうの?シンデレラしかり(継母という事由を差し引いても)、「美女と野獣」しかり、オオクニヌシノミコトしかり(あそこはお兄さんたちだけど、あれは酷すぎる)、想い出せばいくらでも出て来る。長女の私には納得できぬ。と、些かの個人的トラウマを含めて「リア王」に代表していただきました。
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Posted by ブクログ
シェイクスピアの劇作
内容も面白いが、これがつくられた当時の時代背景もうかかがえる。
高利貸しのユダヤ人が非常に悪者として、またキリスト教徒が慈悲深く描かれている。また最後に高利貸しがキリスト教徒に改宗させられているのもユダヤ人からしたら非常に屈辱的であろう。
驚きは解説にあった。
この物語はシェイクスピアが考えたものではなく、もともと1300年代にあった3つの話をつなげたような内容らしい。しかし、今でも古典として多くの人に読まれれるのは、劇作として非常に完成しているからであろう。
古典はその内容だけでなく解説部分で多く背景にあるものなどを理解することができるのでこちらも一見の価値あり。
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Posted by ブクログ
本作はユダヤ人の持つ別の特性、どうやらこれも西洋社会におけるユダヤ人への迫害を増す要因の一つになった様だが、「金融」に強いというのが、歴史的必然性を持って生まれたものであるということを教えてくれる。
シャイロック
「さて、どうだか。が、とにかく俺は金銀にも子を産ませる、だが、旦那、いいですかね。」
アントーニオ
「聞いたか、バッサーニオ?悪魔でも聖書を引くことができる、身勝手な目的にな。根性の曲った人間が、聖句を引合いに身をまもるとは、まるであの悪党の見せる作り笑も同然だ、見かけはよいが、心の腐った林檎も同然。ああ、まがい物に限って、立派な外面ときやがる。」
上記において、ユダヤ人高利貸しのシャイロックは聖書における、「ヤコブの報酬」という説話、ヤコブが生まれた羊の子を自らの取り分とする契約を結び、たくさんの子羊を得た話を引き合いにして、金利を正当化している。これに対して、金利を否定するアントーニオは激しく彼を罵っているのであるが、ここにおいて重要なことは「金利」がキリスト教において御法度とされ、よってこの社会においてなくてはならない「金貸」の職業を被差別立場にあったユダヤ人が担ったという歴史である。
この歴史を理解すれば、我々はシャイロックの「金利」をよりにもよってキリスト教の拠り所とする所の聖書を引き合いにして正当化してみせるという高度な皮肉、炸裂するシェイクスピア節を前にして舌を巻かずにはいられないのである。
また、ユダヤ人が金融に強いという特性の真実が歴史の必然であったこと、もっと言えば、キリスト教の都合によったものであった事が明らかになった。
だとすれば、ホロコースト前夜の西洋社会、或いはアメリカの謎のバカな陰謀論を意気揚々と披露する人々の多くが、その批判の内容の遠因が自身の祖先にあることを忘れてしまった愚かな所業であるということもまた、明らかになるのである。