シェイクスピアのレビュー一覧
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『冬物語』
前振りとして、シチリア王レオンティーズとボヘミア王ポリクシニーズが幼い頃からの大の仲良しであること、ボヘミアの方がシチリアより貧しいことが明かされる。この友情が類なきもの、と思わせて、次の瞬間あっという間に崩れていく。もう帰る、もう帰る!と聞かないポリクシニーズが、シチリア王妃ハーマイオニの懇願で、「じゃあもう少しいようかな」と心変わりしたのだ。レオンティーズは妃ハーマイオニとポリクシニーズの密通を疑い、貴族カミローにポリクシニーズの殺害を命じる。するとカミローは計画をポリクシニーズに告げて逃げるよう指示。ますます嫉妬の炎を燃え上がらせたレオンティーズは妊娠中の妻を投獄し、生まれた -
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310P
ウィリアム・シェイクスピア
イングランドの劇作家・詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物でもある。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、もっとも優れているとされる英文学の作家。また彼の残した膨大な著作は、初期近代英語の実態を知るうえでの貴重な言語学的資料ともなっている。
ヴェニスの商人
by シェイクスピア、大山敏子
世の中にはまじり気のない悪徳というものはないのだ、 必ずそのうわべになにかしら美徳のしるしをつけているものだ。
彼はなぜ大学に学ばなかったのか、これもわからない。しかし彼の作品から理解できるシェイクスピアの教養の深さ、常識の豊かさ、人間性に対 -
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もうひとつの世界
これは戯曲だ。当然、悲劇は舞台の上で繰り広げられている。だが、わたしはもうひとつ別の世界を観た。第五幕でリア王らとコーディーリアらは再開する。わたしは嵐のあとのふかふかの大地を想像し、土の香りがした。地面に足を踏みしめる不幸な人々。そして血の臭い。すべて臨場感を持って観た。まるでそこは天の彼方にある場所のよう。
注が多くある。そしてその注には、舞台のお約束ごとやメタな視点からの解説と、詳しく書いてあった。そのためとても読みやすかった。戯曲を読んだことがなくても、関連知識がそれほどなくても楽しめると思う。
金子國義さんの絵を使った装丁もおしゃれで、かっこいい。 -
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劇であるがゆえに小説とは異なり人間ドラマだけで物語が進む簡潔さ。しかし、人間の避けがたい運命がしかと刻印されている。河合祥一郎さんの解説も素晴らしい。とりわけ、コーディーリアのストア主義哲学、トルストイとオーウェルの論争の読み解き。
「…『わけのわからなさ』の中に意味がある、あるいは混沌の中に人間として生きる姿があるということを示唆しているのではないだろうか。どんなにまともに生きているつもりでも、人間である以上は愚かさを抱え、わけのわからない部分を秘めている――それがシェイクスピアの人間像だ。」
「…シェイクスピアには強烈な愛の発露がある。その愛があまりにも大きすぎるとき、『裏切られた』とい -
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たまたま入った中古書店で安く売られていたので、購入して読むことにした。
本作を読む前に、ハムレットとマクベスを読んでいたのである程度は作者の傾向というものは理解していたが、本作はこの理解を上回っていた。
シャイクスピアの作品の中では一番好きかもしれないと思っている。
あらすじはあまりにも有名すぎるが、一応簡潔に述べると、絶対に結ばれる環境にない男女の恋の行方を描いた作品だ。
そして、数々の苦難の先に、悲劇的な結末を迎えてしまう。
この結末を迎えるにあたり、まず思うのがここまで人を愛した事があっただろうかということだ。今の常識で考えると、相手に何か瑕疵があったりすると、結婚は無理ですね、とい -
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読書好きとして一度はこういう歴史ある名著を読んでおこうと思い、拝読。
率直に、すごく面白く、意外と登場人物も限られており読みやすかった。
当時のイギリスの文化や法、背景が彷彿とさせられ、舞台はヴェニスではあるがシェイクスピアの頭の中が見て取れるようで、興味深かった。
特に印象的な人物
・ネリッサ…ポーシアの侍女であるが、発する言葉に名言が多く、印象的。
「あまり御馳走を召し上がりすぎますと、却ってこれは食物もなく、飢えている人間と同じように、やはり一種の病人だそうでございまして。してみますと、すべて中っくらいにいますということは、どうして中っくらいの幸福どころではございませんで。」
「過ぎた -
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シェイクスピアの四大悲劇の一つ。読むと現代にも通じる愛憎劇あり。ブリテン王リアや道化、エドガー扮する乞食の狂気ぶりも描かれ、読むのに苦労した。
この狂気ぶりがシェイクスピアの「リア王」では非常に特徴的であるらしく、伝統的な秩序を重視するエドガーら善玉と新しいやり口で秩序を破壊していく悪玉のエドマンドらとの間で起こるギャップを道化の”狂気”を通して描いている。
実際読んでみて「リア王」は単純に善玉・悪玉では区別できないものがる。元々、ブリテン王リアやグロスター伯爵は近代的な感覚で見るとかなり問題がある訳であるし、リアの娘であるリーガン・ゴネリル、グロスターの庶子であるエドマンドが親世代の秩序 -
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この戯曲はシェイクスピア中でももっとも心を刺す台詞の多い作品の一つである。
四大悲劇のハムレットの結末と同じく、救いはないのだが、そこはかとなくマクベスのような狂気もある。
また、この岩波のリア王は解説もまたたっぷりあって、脚注も本文の下に添えてあり、目に入らざるを得ないようになっているのだが、これはヘンリー四世の訳者が「まずは本文を読んで、解説はそのあとで」というようにいっていたのと対照的である。また、マクベスの訳者は当時のイギリスでの観劇者たちの理解は現代の文字をじっくり追う読者にまったく劣らないものだった、それは原文の言葉の絶妙な使われ方によると言っていた。が、このリア王の訳者はシェ -
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「リア王」も「ハムレット」も「オセロ」も「ロメオとジュリエット」も……、誰でも知っているシェイクスピアの戯曲は、それなりに読んだつもり、だけど、私は「戯曲」という文学形式を些か苦手としているかもしれません。ともあれ取り急ぎ、代表として、リア王を挙げます。(マクベスとかハムレットとか、幽霊が出て来たり魔術が出て来るほうが好きかも)。これもまた、純然たる「悲劇」だ。ただ、どうして末娘はいい娘なの?どうしてお姉さん(たち)には邪念がつきまとうの?シンデレラしかり(継母という事由を差し引いても)、「美女と野獣」しかり、オオクニヌシノミコトしかり(あそこはお兄さんたちだけど、あれは酷すぎる)、想い出せば
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シェイクスピアの劇作
内容も面白いが、これがつくられた当時の時代背景もうかかがえる。
高利貸しのユダヤ人が非常に悪者として、またキリスト教徒が慈悲深く描かれている。また最後に高利貸しがキリスト教徒に改宗させられているのもユダヤ人からしたら非常に屈辱的であろう。
驚きは解説にあった。
この物語はシェイクスピアが考えたものではなく、もともと1300年代にあった3つの話をつなげたような内容らしい。しかし、今でも古典として多くの人に読まれれるのは、劇作として非常に完成しているからであろう。
古典はその内容だけでなく解説部分で多く背景にあるものなどを理解することができるのでこちらも一