大前粟生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
7つの短編集
新進気鋭の作家たちによる現代のリアルを切り取る7つの物語。
わかってるようでちゃんと理解していなかった
「推し活」「VTuber」についての理解が深まりました
どの作品も味わい深くオススメできるものばかりですが個人的には
『あなたに見合う神さまを(佐原ひかり)』が一番心に刺さりました
人を支配するもの、人の幸福を妨げるものはおしなべて暴力よ
と語る権藤さんのカッコよさと、少しづつ勇気をもって言葉の暴力に立ち向かう主人公。。
初めて著者・佐原ひかりさんを本作品で知りましたが他作品も追いかけてみます
あと石田夏穂さん作品はほぼ全部読んでいますが短編向きなのかも、とも感じ -
Posted by ブクログ
ネタバレ琴美は失踪した想い人の新太を親友のミアと一緒に探す。弱い琴美を可愛いと言い、琴美を守ろうとするミアは、弱い人に寄り添いありのままに全肯定してくれるインフルエンサーとして有名だ。失踪の直前、新太にはチワワのピンバッチがつけられていた。他にもチワワのピンバッチを知らないうちにつけられる「チワワテロ」が世間に起こり、そこからチワワがブームになっていく。新太を探すうちに、迷惑行為通報系YouTuberのMAIZUとチワワテロ、MAIZUが炎上するきっかけになった「チワワを救った少年」の事故との関連が浮かび上がってくる…
世の中の人はみんな弱くなりたい。強いものは責められるから、弱くなって、守られ、肯定 -
Posted by ブクログ
私は七森や麦戸のように、自分に無関係でもあるすべての出来事に感情移入してしまうタイプなので、自分が肯定されている気がしてとても大事な本になった。
でもすべて表裏一体で、七森や麦戸の「やさしさ」は時に弱く、甘い。そして、=正しさではない。だから白城の存在が際立つし、彼女のスタンスも=優しくないではなくて、別種の「やさしさ」でもある。
映画の方が「ぬいぐるみとしゃべることを超え、人間と対話することのあたたかさ」が簡潔にまとめられているけれど、小説の方がどんな人でも物事でもすべて表裏一体でいいや悪い、正しいや間違ってるで括れないことの葛藤がありありと描かれていてよかった。
この物語に共感できる -
Posted by ブクログ
初めましての作家さん。薄い本に1800円もするなんて購入してまで…。なんて思いながら読んでいたけど、自信家のコメンテーターの男と片足が不自由な男との共同生活から自信家のコメンテーターの内面はおれなんてという全然違う性格で麻酔クリームを塗る事でコメンテーターとして活躍している内情と片足が不自由なだけで就活で内定をもらえず憐れみの目を向けられるだけの卑屈になった男性、浮浪者同然の生き方で真逆の2人がお互いを認め合い生きにくい世の中で心開き存在を認めていく。もう少し掘り下げどう人生を全うしていくのか知りたかったけどみんな悩みを抱えて鎧をまとっているのとそれを開かせるきっかけは自分から変えていかなくて
-
Posted by ブクログ
地方都市にあるバブルの時にできて、今は存続が危ういかもめジムが舞台。
会員は高齢の方ばかりだけど、ジムのロビーでは彼らが話す恋バナがいつも盛り上がりを見せている。
そんなかもめジムでバイトする高校生の柏夢(かしわ・ゆめ)ちゃんは、ひそかに利用者やジムで働くスタッフを観察していろいろと想像を巡らせていたりする。
そんな中利用者のひとり70過ぎの西原さんと話すようになって、近くの河原で彼の恋愛相談に乗ったりします。
夢ちゃんも自分の話をするようになり...。
なんとなく殺伐とした今の時代に、懐かしくしみわたる人の優しさ。
ちょっとおせっかいかな?と戸惑いながらも人との距離を詰めていく夢ちゃんの -
Posted by ブクログ
恋愛にはいろんなかたちがあって、人の数だけ種類がある。いろんな種類があるわけなんだから、それをわざわざカテゴライズしなくてもいいと思うけど、カテゴライズされることで安心するところがあるのもたしかで。人間ってややこしいな〜って思う。多様性、他人を受け入れること、って昨今当たり前になってるけど、言葉にするのは簡単でも、実際自分の身に降りかかってみるとどうしたら正解なのかわからなくなりそう。でもどうしたらいいのか考えて、悩んで、相手を思い遣って、それから自分のことも大事にすることが必要なのかも、と思いました。圭吾くんいい人すぎるよ〜と思ってたけど第三部ずいぶん人間らしくて同じ人間でも恋愛するとこんな