あらすじ
僕の愛する恋人には、もう一人恋人がいる――
対等でありがたいともがき、傷つけませんようにと願う。
“恋がしづらい”この世の中で、20代から圧倒的支持を集める俊英、初の長編!
町枝圭吾、24歳。京都市内の観光ホテルで働いている。
圭吾は、恋愛をすることが怖い。自分の男性性が、相手を傷つけてしまうのではないかと思うから。
けれど圭吾には、好きな人がいる。二条城で毎日ランニングをしている、あやめさんだ。
想いを告げたら、あやめさんはこう言った。
「わたし、ポリアモリーなんだけど、それでもいい?」
ポリアモリーとは、複数の人とオープンな恋愛関係をもつこと。
あやめさんのことは丸ごと受け入れたい。だけど……
感情タグBEST3
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恋愛にはいろんなかたちがあって、人の数だけ種類がある。いろんな種類があるわけなんだから、それをわざわざカテゴライズしなくてもいいと思うけど、カテゴライズされることで安心するところがあるのもたしかで。人間ってややこしいな〜って思う。多様性、他人を受け入れること、って昨今当たり前になってるけど、言葉にするのは簡単でも、実際自分の身に降りかかってみるとどうしたら正解なのかわからなくなりそう。でもどうしたらいいのか考えて、悩んで、相手を思い遣って、それから自分のことも大事にすることが必要なのかも、と思いました。圭吾くんいい人すぎるよ〜と思ってたけど第三部ずいぶん人間らしくて同じ人間でも恋愛するとこんなに変わるんだって思った。視点がころころ変わるのに、不思議と読みやすかった。
愛くるしい人々
大前さんの小説の登場人物ってとにかく可愛くてこわれやすくて、愛くるしい!と思います。
おもろい以外〜、ぬいしゃべと読んできましたが、
この作品はその可愛さが最もいい形で活かされているのでは。
ふたりにうまくいってほしいけど、あやめさんに自分に正直にいてほしい気持ちもわくし……と、
友達の恋バナを聴いているような気分で読み進めました。
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恋愛の形が違う二人。
人はそれぞれ違うからと相手の気持ちを察して行動する主人公。
生きていてくれるだけで幸せ、なんて無償の愛に近い。
優しい彼が、ぴたっとはまる相手にいつか出逢えたらいいと思う。
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たくさんの恋愛の形が出てくる。相手と自分のスタンスが違う時、どう折り合いをつけるか。。という答えのないことについて心の動きが細かく書かれている。相手にあわせればいいということでもない。作品にも出てくる通り、性別の違いなどもあり、「対等」は難しいなあと共感した。
あとは片付けもモチーフとして出てくるのだが、片付けも結局、自分の中の優先順位をつけることであり、主人公はそこにも苦しさを感じている。いっそ全部捨ててしまいそうにもなったり。
解決策や答えがあるわけじゃない。相手も自分も大事にしたいと思っても結果的には自分が傷つくことも傷つけることもある、て受け入れることなのかなあと思った。
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ここが良かった、このセリフが胸を打ったとか、そういうものを残しておけないくらい引き込まれて読んだ。
あやめの不自由さや孤独、そのおもてにあるような快活さが好きだし、圭吾がお化けから始まり葛藤をじっくり炙るように燃させながらひとつ結論を得るまでが好きだし、青木の「おまえが幸せにならないと私は……」とか元木の「誰だって自分の信じたい考え方に洗脳されに行っているだけ」とかは手を固く握りたい衝動を得た。
ポリアモリーという言葉が出て、それについてもじっくり扱っているが、それに限らずとにかく愛についての話。ひとがひとを愛そうとすることをとにかく言語化した物語だった。
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最近自分のセクシュアリティについて考えることがあり、ポリアモリーについて知りたくてしらべてこちらを読みました。
結果的に何か分かったか、というと私自身何か明確な答えを見つけられた訳では無かったけど、
登場人物がそれぞれ感じていること、思っていること考えていることに共感したり、たまに共感できなかったり、これはあの人っぽいなと思ったり……友達の話を聞いているような感覚で読めました。楽しかったです。
ポリアモリーについてのことはもちろんですが、それらとは関係なく読んで良かったと思います。
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生きていてくれるだけで良くて、自分の中にきみがいるなあと自覚できればそれでいい
裏を返せばもはや諦めにも近いような
恋と性欲を混同したくない圭吾の考え
どこまでが恋でその他の感情の名前はなんだろうって確かに思う。金井くんも言っていた「好きって気持ちは一方的で気持ち悪いもんでしょ」という台詞、これを私も自戒する
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大前粟生さんは読みやすくてサクサク読めました!ただ、ポリアモリーという言葉を初めて聞いて、???になってしまった。ただ、多様性って言われてる世の中だし色んな人がいるよなーと思って読み進めました。周りの人がどう思おうと本人たちが納得できていればいいのでは?と思うけど、本人たちも納得した上での葛藤があるのかなと思ってみたりしました。
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「多様性」ブームへのアンチテーゼとして(そんな意図ではないとは思うが)、性別とか立場とかの枠組を関係なしに、一人一人ときちんと向き合って大切にしようとするところに好感がもてた。心のあり様の一面としての恋愛の話。すとんと素直に共感して、なんだか若返った気がする。
読んでいる途中でうっかりこの本の紹介文を見てしまい、けっこうなネタバレをくらったのはショックだった。。
視点人物がシームレスに変わっていくのが新鮮だった。緩やかにそこにある愛のようだと思った。
以前読んだ『ブラザーズブラジャー』の装画と同じ方の表紙だったので、思わず手に取って読んでみた。よい出会いだった。
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テーマが好き。ポリアモリーや恋愛の複雑さ、対等ってどういうこと?などについて。
掴みどころのない、共感しにくい?気持ちも多く書かれているので、人によってはもしかしたら「なんかかよくわからなかった」で終わってしまいそう。
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圭吾はランニング友達のあやめに惹かれているけれど、恋愛に臆病になっていました。それでも告白。するとあやめは自身が「ポリアモリー」だと打ち明けます。複数の異性と同時に付き合えるというあやめの価値観に圭吾は戸惑います。
圭吾は「好き」という気持ちと「性欲」を分けて考えてしまうので、あやめに踏み込めない。性欲は「気持ちが悪い」と感じてしまう。でも頭では色々考えるけど、「好き」という気持ちは止められないわけで。
一方あやめも圭吾と付き合うことになったものの、もう一人のパートナーに別の交際相手ができたことにモヤモヤしてしまいます。人間のこころというのは合理的に枠にはまるものではないと感じました。
最後に、圭吾とあやめは少しだけ距離を置くことになりますが、またすぐ再会するんだろうなと思います。恋愛というのは、かっこよく、きれいになんかいかないものだと改めて感じました。
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いざ自由を手に入れると、本当は不自由を求めているのではと感じるもう一人の自分と出会う。さまざまな恋愛の形があるけれど、ささやかな幸せをお互いが感じることができれば、もうそれで十分なのかもしれない。
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主人公の圭吾はどんな人にも良い人でいようとする。好きな人がいるけど会社の女先輩の部屋でちょっといい感じになったり、圭吾のことが好きな後輩男子社員とも良くしたり。この本を読みながら並行して見ていた某アニメの人間関係とそれを、重ね合わせるところがあった。恋人がいながらも主人公の他の女性キャラクターに対する行動力や勢い、はっきりしなさい!という気持ち。でも終盤になるにつれて、そんな形もあるのかもしれないよね、と納得させられた。
ジェンダーって答えがないから難しいなと思った。
社会問題って大体そうだが。この本を読むことで多様な生き方ってあるよねって思う反面、自分の考え方とはあんまりマッチしないなと。対等になるってなんなんだろうね。
「誰だって誰かを支配したいし、支配されたほうが楽、そうでしょ?」
あまりにも共感した。安心したいんだよね。完璧な安心を求めるから支配したいんだよね。ほんとー、人間って考えすぎの防御スイッチみたいなのあればいいのにね。それでも圭吾くんは対等に向き合おうとしてとっても素敵でした。
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ここ最近広く知られるようになりつつあるポリアモリーを題材とした恋愛小説。割と直截的な表現もあり私にははまらなかった。大前さん気になるので何冊か読んではきたけど、私にはあまり合わないのかも……。
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大前粟生さん、おもろい以外〜とぬいしゃべが良かったからこれを手に取ってみた。
セクシャリティーとかジェンダーについての表現が自然にあっていいなと思ってたけど、今回はわたし的にはあんまりだった。
ポリアモリーが出てくることを楽しみにしていた(日本語の小説でも表象されてるなんて!という感動があった)けど、ポリアモリーというより欲張りだったり貞操観念が狂っていて浮気をするたちみたいな描かれだったように感じてしまった。
こういうふうに思っちゃったのは、わたしの中でのポリアモリーの定義が、「複数人を同時に愛するし複数人で交際する」だけだと思ってたからかな?付き合っている人が他にもいる状態でその人に別の付き合ってる人の話をしないのは、浮気では?と思ってしまった。そこが強くて、圭吾がかわいそうだった。圭吾が完全に納得してるのなら共有しなくてもいいけど、圭吾が納得しきってるわけではないから浮気では?と思ったし、見ていて辛かった。
でも、最後の、「だからちょっとだけ、さようなら,」がしんどかったし嬉しくも思った。圭吾、あやめさんとのトキシックな関係から自分を切り離してみようと思えてえらいよ。簡単にできることじゃない。
改めて、ポリアモリーについて知りたくなった。とりあえず今回の描写について、今のわたしは違和感があった。知識がないだけかもしれないし、知識を入れたとてわたし個人の価値観とブレてしまってこういうふうに感じ続けてしまうものなのかもしれない。
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自分がわからない、他人と関わるのが怖い、という殻を突き破って、あやめと付き合うことで人と密接に繋がるとはどういうことなのかを学んでいく。そして依存からの自立。思春期からの成長過程が、読む前のイメージよりも意外と爽やかに描かれていて読みやすかった。登場人物がみんないい人。
人を好きになることは、人でなくてもきっと何かを好きになることは、ものすごいパワーがあるものだなと感じた。
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あやめとの関係が話の主軸ではなく、圭吾の身の回りの多様な恋愛模様も厚めに描かれている。圭吾が1人キャンプにて病んでも永遠と答えが出ない感じ、リアルだなぁと思った。もう1人の彼氏が言ってた、さびしさの代わりに更に心を満たす方を選んだって言い分も妙に納得してしまうし、きみだからさびしい、って圭吾の気持ちも分かる。あやめのことも不思議と憎めない。全体的に良くも悪くも悶々とする内容。
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軽いけど、それなりに重みがあったきがした。携帯小説とかよりは読み応えがある感じ。
誰かにとって誰かは魅力的なんだろうな。と思った。
部屋の整理するかあ〜。
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恋愛が分からないので恋をするって本当に大変だなあ、なんて他人事みたいに読んでたけど(この小説で言うと恋愛関係が前提となるが)大事な人と対等でありたいとか、そういう葛藤はわかる気がする。
好きという気持ちだけでは生きていけない。
分かってはいるけど。
主人公の自問自答は『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』でもあって、そこがこの作者の良さだと私は思うので今回も沢山悩んでいたところが良かった。
悩んで悩んで悩み抜いて、導き出す答えがそれで良かった。
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いまだなあ、という感想。
多様な恋愛の価値観が描かれるけど、その当事者でなくマジョリティ側の人間は、心で腑に落ちなくても、頭で理解できているかのように自分を騙すことがある。その逡巡をいったりきたり、全力疾走したりじっとしたり。ラストの選択を祝福したい。
Posted by ブクログ
自分が対等に恋愛したい相手と恋愛の価値観が異なった時、自分の性愛はエゴになりうるんじゃないのかっていう悶々とした葛藤を抱える圭吾に、わかる、わかるよわかるんだけどさーってなることが多くてこっちもむずむずした。誰かに対して独り占めしたいとか相手も自分のことだけ見ていてほしいと思ったことないから共感できるところは少なかったんだけど、好きな人が傷つくのは嫌なのに、ましてや自分の気持ちで傷つけるとかあってはいけないっていう感情とか、男とか女とかっていう分類じゃなくてあやめさんと僕っていう独立したものになりたいっていうのはなんとなくだけどわかるかなー、挿れる側と挿れられる側の構図が気持ち悪いみたいな場面あったけどそれはなんかめちゃくちゃわかってしまった、もう一回読み直したいけど時間を開けたい気もする いきなり別人間のターンに切り替わるのむずいよね 誰の述語だよ!ってツッコミながらなのでエネルギーがいる…
わたしは1番金井くんがよかった。なんか真っ直ぐなところがいちばん眩しかった。
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『すき』と『さびしい』が溢れてる。
主人公は京都市内の観光ホテルで働く24歳の町枝圭吾。
二条城の周囲をランニング中に出逢った窪塚あやめに恋をする。
意を決し想いを告げた圭吾だが返って来た返事は「わたし、ポリアモリーなんだけど、それでもいい?」
うーん、これは切ない。
昨今、多様性が謳われLGBTの認知度も上がって来たとはいえ、複数の人とオープンな恋愛関係を持つポリアモリーには私自身抵抗がある。
あやめと付き合い幸せを願いながらも、嫉妬や独占欲に悶える主人公の想いに共感する。
シンプルな言葉で紡がれたピュアな恋愛小説。
Posted by ブクログ
自分が圭吾的な立場になったことからこの本を手に取りました。
読後違和感が拭えず2回読みました。
で、思ったのは
ポリ側の人の交際がとても軽く描かれてること
あやめに至っては、圭吾から想われてることを知っていながら自分はポリアモリーかもと、アプリに登録して会ってみて、波長があったからと付き合って…そしてそのハスモトの彼女に妬いたり…
ハスモトは、圭吾にポリアモリーの恋愛について語るけど、ハスモトも出会いは軽くて。すぐ好きになっちゃうって。
で、体の関係も結ぶまではあんなに線密に描かれてたのに、一回したらセックス漬けみたいになって…
ポリ側の人が軽く描かれすぎてて誤解を招くかなと思いました
Posted by ブクログ
ホテルマンの圭吾。
好きになったのは、ポリアモリーのあやめさん。
対等でありたい。
でも、好きな気持ちは募るばかり。
恋愛はグラデーション。正解の形はない。
だから苦しい。
〝自分に合った恋愛をするために必要なさみしさ〟という大人な考え方が未だにできないお子様な私。しあわせ、と思えたひと時を抱きしめて生きていけたら。
ゲイの金井くんが可愛くてちょっと切ない。
Posted by ブクログ
人との距離感って難しいよね。というお話。かしら。
傷ついても一歩踏み出した圭吾くんはえらいね。
そしてコロナの描写や倒産の話は、何年後かに読んだら『懐かしなぁー』って思うのかなぁなんて思ったりしました。
若者の感覚と世相が反映されてる『今』の小説に、レトロな色合いの装丁が素敵な本でした。
Posted by ブクログ
本当に思ったことをそのまま書く。
“あ、これが令和の時代の恋愛小説なのか”と。
ん??え?主語は?術語は?え?この文体、文末なに、読みにく!
離れてもう1回読みすすめたら、止まらなくなった。胸が苦しくむず痒くなって、少しふしだらな気持ちにもなって、、、
“あぁこれがエモいというやつか”と体感した。
昭和に生まれ、平成を生きた女、ようやく令和を体感しました。
あぁ、この感じ。あいみょんを聴くようなそんな感じだ。あいみょんも、楽譜は読めないらしい。この小説も、書き方のそれは私の知る小説じゃなかったけれど。
人の胸を掬う、ちゃんと悩んで向き合ってまっすぐ生きている。本質という言葉も時代遅れと感じるくらい、あぁこの令和の時代に生きるひとたちって、今生きる自分の気持ちと周りの人との関わりを、とてもとても大事に大切にしているんだと思った。
それは、建前とか世間とか、そんなことがはこびっていた昭和や平成の時代よりも、より素直により直感的に、向き合っているんだろうと思う。
だからこそ、今までこれと言葉にできていた感情を曖昧に、ふわっとさせる。
だってそれはもっとグラデーションがあって、言い切ってしまっていいものかと悩むから。それは最近の若いものは〜というものではなくて、むしろ昔の時代の人が型にはめて無理やりそう名付けようと自分を鼓舞してきたものであるから。
より、人間らしくあるのかもしれない。人間の曖昧さを深く追求して苦しむのではなく、未来永劫に当てはまる答えを探そうとするのではなく、今生きるために今日の幸せのために悩み、そのままを表現する。それは、今日という日を当たり前に食べ寝て遊んで暮らせるだけの余裕があるからかもしれないが。
この小説は還暦過ぎた父が読むことはできないんじゃないかな、それも偏見かしら。
でも彼らの“今”を生きていないものからしたら、理解するのは難しい。
わたしにも理解できない。でも、彼らは彼女らは同じように悩み苦しみながら日々生きているんだなとわかった。浅いわけではなく、より純粋に世の中をみているんだな。と思った。
どこか核心を避けがちでもあるけれど、ちゃんと向き合うときは自分で伝えている。
動画を切り取っているような本だけれど、ちゃんと細かいところの描写はつじつまを合わせている。
人物を描くうえで作られた要素は、ちゃんと意味を持たせて散りばめられている。
令和の小説家、すごいですね…!
圭吾がゴミを捨てていくときの描写も、見事だった。心良さぶられた。
う〜ん、とにかく、なんとも不思議で新しい体験だった!
そして息子たちはこの時代を、この時代のさらに次の時代を生きてゆく。
わかるわきゃーない。
理解できるわきゃーない。
ただ、君を愛している、って、それは伝えていきたい。時に昭和的に、時に令和的に。
時代をまだぐ私たち世代もなにかしらの意味をもちたい。伝えてゆくとこはなんだ、捨てていくことはなんだ。追求と拡散を同時に知る世代として。何をどう生きるか、今日もわたし自身をアップデートしなきゎならぬ。
Posted by ブクログ
さびしさってパズルのピースみたいなもので、かたちが似ててはまっても紙質や厚みが違ったり、かたちが違ってても同じ色だからって無理矢理はめこむこともあるし、ぴったりはまると同化してしまって境がわからなくなっちゃって、という印象を、この本にでてくる「さびしさ」に感じた。
でもさぁ、なんか、はめられるピースがあるだけ羨ましいよって思ってしまったなぁ。
他者でしか埋められないさびしさってあるものなぁ。
そこをどうにか、他者に頼らず塞いでしまう方法ってないのかなぁ。って、関係ないことをいっぱい考えてしまった。
Posted by ブクログ
話題の作家による、コロナ禍の閉塞感のある生活の中で「ポリアモリー」を扱う、ジェンダー文学作品。
主人公の圭吾が、ポリアモリーのあやめさんに対等な恋愛を求めてしまう繊細な恋愛小説。一方で、同僚の金井くん(ゲイ)からの告白、青木さんからも「さっさと好きと伝えろや!痛々しいねん。」と好意を寄せられ、あやめさんとの恋愛にはまって行く。
~心に残るフレーズ~
・ 自由って何なんだよ!あやめは叫びたい気持ちになった。つき合っている誰かのために別のパートナーを犠牲にするなんて、したくない。比べたりなんてしたくない。
・ そう思うけど、私だって嫉妬の気持ちはわかってしまうんだ。最近できたっていう蓮本さんの他のパートナーに、私は嫉妬の気持ちを持ってるから。
・ 何で対等になりたいんだろう。そんなの、わかんねえよ。ただそうなりたいんだ。
・誰だって誰かを支配したい?支配されてた方が楽?そんなわけあるか、そんなわけあるか、と 何度も思いながらも、圭吾には身に覚えがあった。
・ それは、俺にする話なのかな。俺にする話なんだろう。その蓮本さんて人があやめさんにとって大事な人だから、俺に話してくれようとしてるんだろう。でも、苦しいな。
青年の正直で眩しい程に切ない思い、そして、ポリアモリーの蓮本さんの言う、どうしても一人だと埋められない淋しさ…も分かる気がする。この自由なライフスタイルがナチュラルな関係として認知され制度も整った場合、将来的に少子高齢化が解消され?日本経済を上向きにする政策としては悪くない?かも等と無秩序に妄想してしまった。同じ作家のジェンダー作品があるのか興味津々だ。