【感想・ネタバレ】きみだからさびしいのレビュー

あらすじ

僕の愛する恋人には、もう一人恋人がいる――
対等でありがたいともがき、傷つけませんようにと願う。
“恋がしづらい”この世の中で、20代から圧倒的支持を集める俊英、初の長編!

町枝圭吾、24歳。京都市内の観光ホテルで働いている。
圭吾は、恋愛をすることが怖い。自分の男性性が、相手を傷つけてしまうのではないかと思うから。
けれど圭吾には、好きな人がいる。二条城で毎日ランニングをしている、あやめさんだ。

想いを告げたら、あやめさんはこう言った。
「わたし、ポリアモリーなんだけど、それでもいい?」
ポリアモリーとは、複数の人とオープンな恋愛関係をもつこと。
あやめさんのことは丸ごと受け入れたい。だけど……

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

たくさんの恋愛の形が出てくる。相手と自分のスタンスが違う時、どう折り合いをつけるか。。という答えのないことについて心の動きが細かく書かれている。相手にあわせればいいということでもない。作品にも出てくる通り、性別の違いなどもあり、「対等」は難しいなあと共感した。

あとは片付けもモチーフとして出てくるのだが、片付けも結局、自分の中の優先順位をつけることであり、主人公はそこにも苦しさを感じている。いっそ全部捨ててしまいそうにもなったり。

解決策や答えがあるわけじゃない。相手も自分も大事にしたいと思っても結果的には自分が傷つくことも傷つけることもある、て受け入れることなのかなあと思った。

0
2023年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「多様性」ブームへのアンチテーゼとして(そんな意図ではないとは思うが)、性別とか立場とかの枠組を関係なしに、一人一人ときちんと向き合って大切にしようとするところに好感がもてた。心のあり様の一面としての恋愛の話。すとんと素直に共感して、なんだか若返った気がする。

読んでいる途中でうっかりこの本の紹介文を見てしまい、けっこうなネタバレをくらったのはショックだった。。

視点人物がシームレスに変わっていくのが新鮮だった。緩やかにそこにある愛のようだと思った。

以前読んだ『ブラザーズブラジャー』の装画と同じ方の表紙だったので、思わず手に取って読んでみた。よい出会いだった。

0
2023年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ


主人公の圭吾はどんな人にも良い人でいようとする。好きな人がいるけど会社の女先輩の部屋でちょっといい感じになったり、圭吾のことが好きな後輩男子社員とも良くしたり。この本を読みながら並行して見ていた某アニメの人間関係とそれを、重ね合わせるところがあった。恋人がいながらも主人公の他の女性キャラクターに対する行動力や勢い、はっきりしなさい!という気持ち。でも終盤になるにつれて、そんな形もあるのかもしれないよね、と納得させられた。
ジェンダーって答えがないから難しいなと思った。
社会問題って大体そうだが。この本を読むことで多様な生き方ってあるよねって思う反面、自分の考え方とはあんまりマッチしないなと。対等になるってなんなんだろうね。
「誰だって誰かを支配したいし、支配されたほうが楽、そうでしょ?」
あまりにも共感した。安心したいんだよね。完璧な安心を求めるから支配したいんだよね。ほんとー、人間って考えすぎの防御スイッチみたいなのあればいいのにね。それでも圭吾くんは対等に向き合おうとしてとっても素敵でした。

0
2025年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大前粟生さん、おもろい以外〜とぬいしゃべが良かったからこれを手に取ってみた。
セクシャリティーとかジェンダーについての表現が自然にあっていいなと思ってたけど、今回はわたし的にはあんまりだった。
ポリアモリーが出てくることを楽しみにしていた(日本語の小説でも表象されてるなんて!という感動があった)けど、ポリアモリーというより欲張りだったり貞操観念が狂っていて浮気をするたちみたいな描かれだったように感じてしまった。
こういうふうに思っちゃったのは、わたしの中でのポリアモリーの定義が、「複数人を同時に愛するし複数人で交際する」だけだと思ってたからかな?付き合っている人が他にもいる状態でその人に別の付き合ってる人の話をしないのは、浮気では?と思ってしまった。そこが強くて、圭吾がかわいそうだった。圭吾が完全に納得してるのなら共有しなくてもいいけど、圭吾が納得しきってるわけではないから浮気では?と思ったし、見ていて辛かった。
でも、最後の、「だからちょっとだけ、さようなら,」がしんどかったし嬉しくも思った。圭吾、あやめさんとのトキシックな関係から自分を切り離してみようと思えてえらいよ。簡単にできることじゃない。
改めて、ポリアモリーについて知りたくなった。とりあえず今回の描写について、今のわたしは違和感があった。知識がないだけかもしれないし、知識を入れたとてわたし個人の価値観とブレてしまってこういうふうに感じ続けてしまうものなのかもしれない。

0
2025年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分がわからない、他人と関わるのが怖い、という殻を突き破って、あやめと付き合うことで人と密接に繋がるとはどういうことなのかを学んでいく。そして依存からの自立。思春期からの成長過程が、読む前のイメージよりも意外と爽やかに描かれていて読みやすかった。登場人物がみんないい人。
人を好きになることは、人でなくてもきっと何かを好きになることは、ものすごいパワーがあるものだなと感じた。

0
2024年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分が対等に恋愛したい相手と恋愛の価値観が異なった時、自分の性愛はエゴになりうるんじゃないのかっていう悶々とした葛藤を抱える圭吾に、わかる、わかるよわかるんだけどさーってなることが多くてこっちもむずむずした。誰かに対して独り占めしたいとか相手も自分のことだけ見ていてほしいと思ったことないから共感できるところは少なかったんだけど、好きな人が傷つくのは嫌なのに、ましてや自分の気持ちで傷つけるとかあってはいけないっていう感情とか、男とか女とかっていう分類じゃなくてあやめさんと僕っていう独立したものになりたいっていうのはなんとなくだけどわかるかなー、挿れる側と挿れられる側の構図が気持ち悪いみたいな場面あったけどそれはなんかめちゃくちゃわかってしまった、もう一回読み直したいけど時間を開けたい気もする いきなり別人間のターンに切り替わるのむずいよね 誰の述語だよ!ってツッコミながらなのでエネルギーがいる…
わたしは1番金井くんがよかった。なんか真っ直ぐなところがいちばん眩しかった。

0
2023年02月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分が圭吾的な立場になったことからこの本を手に取りました。
読後違和感が拭えず2回読みました。
で、思ったのは
ポリ側の人の交際がとても軽く描かれてること
あやめに至っては、圭吾から想われてることを知っていながら自分はポリアモリーかもと、アプリに登録して会ってみて、波長があったからと付き合って…そしてそのハスモトの彼女に妬いたり…
ハスモトは、圭吾にポリアモリーの恋愛について語るけど、ハスモトも出会いは軽くて。すぐ好きになっちゃうって。

で、体の関係も結ぶまではあんなに線密に描かれてたのに、一回したらセックス漬けみたいになって…

ポリ側の人が軽く描かれすぎてて誤解を招くかなと思いました

0
2023年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人との距離感って難しいよね。というお話。かしら。

傷ついても一歩踏み出した圭吾くんはえらいね。

そしてコロナの描写や倒産の話は、何年後かに読んだら『懐かしなぁー』って思うのかなぁなんて思ったりしました。

若者の感覚と世相が反映されてる『今』の小説に、レトロな色合いの装丁が素敵な本でした。

0
2022年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話題の作家による、コロナ禍の閉塞感のある生活の中で「ポリアモリー」を扱う、ジェンダー文学作品。

主人公の圭吾が、ポリアモリーのあやめさんに対等な恋愛を求めてしまう繊細な恋愛小説。一方で、同僚の金井くん(ゲイ)からの告白、青木さんからも「さっさと好きと伝えろや!痛々しいねん。」と好意を寄せられ、あやめさんとの恋愛にはまって行く。

~心に残るフレーズ~
・ 自由って何なんだよ!あやめは叫びたい気持ちになった。つき合っている誰かのために別のパートナーを犠牲にするなんて、したくない。比べたりなんてしたくない。
・ そう思うけど、私だって嫉妬の気持ちはわかってしまうんだ。最近できたっていう蓮本さんの他のパートナーに、私は嫉妬の気持ちを持ってるから。

・ 何で対等になりたいんだろう。そんなの、わかんねえよ。ただそうなりたいんだ。
・誰だって誰かを支配したい?支配されてた方が楽?そんなわけあるか、そんなわけあるか、と 何度も思いながらも、圭吾には身に覚えがあった。
・ それは、俺にする話なのかな。俺にする話なんだろう。その蓮本さんて人があやめさんにとって大事な人だから、俺に話してくれようとしてるんだろう。でも、苦しいな。

青年の正直で眩しい程に切ない思い、そして、ポリアモリーの蓮本さんの言う、どうしても一人だと埋められない淋しさ…も分かる気がする。この自由なライフスタイルがナチュラルな関係として認知され制度も整った場合、将来的に少子高齢化が解消され?日本経済を上向きにする政策としては悪くない?かも等と無秩序に妄想してしまった。同じ作家のジェンダー作品があるのか興味津々だ。

0
2022年10月06日

「小説」ランキング