あらすじ
幼馴染の咲太と滝場、高校で転校してきたユウキの仲良し三人組。滝場とユウキはお笑いコンビ<馬場リッチバルコニー>を組み、27歳の今も活動中だが――。優しさの革命を起こす大躍進作。
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Posted by ブクログ
最初は、お笑いをモチーフにした青春小説かと思った。コンビが結成して方向性の違いにより別れるまでの、青春時代の人間関係や心のうつり変わりを描いたストーリー。けど、読んでみたら、そうだけどそうじゃなくて、そうじゃない部分にしてやられた。この小説におけるお笑いは青春を描くためのただの手段ではなく、お笑いそのものも正面から描き出している。お笑いの持つ嫌な面からも逃げていない。クライマックスのアクリル板を挟んだ漫才の部分なんて、おもしろすぎてニヤニヤしてしまった。そして辿りついた結末に拍手喝采!あ〜おもろかった!
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日本のお笑い界で、男性優位の世界で、男性自身が違和感を持ち意識を変えていこうとする姿を見せてくれる本は初めて読んで、しかも男性の作家さんで、それがすごく嬉しかった!フェミニズムは女性だけの話ではない。古くからある根拠のない男らしさ・女らしさや価値観からみんなが解放されるべき。
「自分が楽しんで笑っているものがダメなところを持っているのだと認めたくなかった。」(p84~85)というところ、すごく気持ちがわかる…。今こそ変わりたい。
彩花と友達になりたいし、つぐみぼんぼんぴょん丸のネタが観たい…!
めっちゃ読みやすい。2日間で読めた。早い人だと数時間で読めるのでは。
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いままでは漫才とかお笑い芸人をおもろいから好きやなーっと漠然とした感情でしか観てなかったけど、芸人さんもいろんな葛藤があって、同じネタしてても1回1回感情とかちゃうんやろなって、次からそういうこと考えながらみちゃう
このお話は、めっちゃ大きな出来事があるわけじゃなくて、ひたすら、人間の心の中を痛いくらい描いてて、すごいなって思った
胸があったかくなるようなシーンで終わるから、読んだ後の幸福感がすごい
何年後かに読み返したら、また違う印象になりそうやなって思う不思議なお話だった
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「本当に素晴らしい小説は、真に差別的であることはありえない」と言っていた人(たぶん佐藤亜紀『小説のストラテジー』だと思うが不確定)がいたのだけど、「おもろい以外いらんねん」もそういう意味で、そういう話だったと思う。「笑い」は「普通」からの逸脱とそれに対するツッコミで成り立つものだが、その「普通」が変わりつつある令和という時代には誰かを傷つけてしまうこともある。誰かの容姿や性を踏みつけて取る笑いに順応できる空っぽな漫才師と、それでひとりだけ売れていく相方に「漫才をしろ」と怒る相方、誰かを踏みつけて笑いを取ることは良くないのだと気づいてはいても、過去にそれに加担してきたことを認めるのが怖い親友。三者三様の葛藤には、ネット上でのフェミニズム活動が盛んになってきた現代が、価値観のアップデートの過渡期にあることがとても生々しく現れている。
「おもろい以外いらんねん」の含意が、「おもろければなんでもいい」から、「人を踏みつけなくても成立するほんまのおもろさを見せてみろ」に変わりつつある時代なんだろう。
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芸人さんの不安、人間味のある部分の描写について、自分が当事者だと思ったら、本当に恐いと思った。
2人の漫才より3人の漫才の方が面白かったのが、素敵だった。
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関西弁小説が好きなのですんなり読めた。
ハッピーエンド。
ツッコミというものが普通から外れたものを否定するという前提で成り立ってるから、その普通があやふやになってる現代、普通なんてほんとはないという当たり前に気づき始めた時代だから、ツッコミという文化のアップデートが必要なのかもしれない。
見てられないっていうベテランの芸人も増えたけど、最近のM1を見てるとお笑いってどんどんどんどん旧形態の笑いが削ぎ落とされておもしろくなってる。これからのお笑いに期待しかない。
Posted by ブクログ
文章に漫才のネタゾーンがあるので、すごく読みやすいです。高校からコンビを組んで、売れて、悩んで…、きっと世の漫才師さんは同じような気持ちを感じて、売れたいと思いつつ、売れると自分たちのネタをする時間が無くなり、かといって売れないと発表する場もない。そんな芸人さんたちの世界を垣間見た気持ちになりました。気持ちがぶつかり合うシーンもあり、タイトルのおもろい以外いらんねん、の意味も理解出来ます。実はおもろいってかなり難しいんだな、と思いました。
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笑いの境界線って、プライバシーとか社会とかの影響でだいぶ変わってくるんだよな、しかも顕在化しないから分からないんだよなと思います。んで、その笑いの本質から外れたものは、後になっていろんな人の目につくところで反復されて批判されるものと化することがある。いわゆる炎上というもので。結局日本人は足並み揃えて進んでいくことしか出来なくて、そこから遅れた人や速い人をみんなで指さして笑うことが多いなと思います、いい意味でも悪い意味でもね。
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そんな大袈裟な、というようなパーソナルな部分を描きすぎず仄暗いしておくことで飛躍時の虚構感に奥行きが出て、人物像に深みがあった。内容もなんとなく知ってる芸人さんのソレで、結末はずーーーっとそれ思ってた!というものでカタルシスがあった。
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おもしろかったな!これを男の人が書いたというのがなんか嬉しかった。こういう抽象的なことを高校生くらいの頃はずっと考えられていたのに、大人になったらできなくなった。俺は、めっちゃ嬉しかったから「考えとくわ。」と言った。の一文が凄いと思った。
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おもろい以外いらんねん、というタイトルは色んな意味をもつという点がおもしろい。ノリと空っぽの話は共感できた。わかりそうでわからない部分も少しあり、そこがストーリ全体とのギャップ。加納さん、面白かったです!
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podcastで紹介されていた本なので。
思っていたより難しかった。特に滝馬の人間性が。
何どこにでも馴染めて何にでもうまく対応できる、からっぽだからユウキは彼を求めた。自分の理想の漫才のために。
咲太はその事が分かっていて、滝馬が学校で人を笑わせたり楽しませたりする一方で自分の前ではありのままのからっぽの姿を見せることにどこか安心していたのだろう。そのことがわかっていたのに、滝馬がユウキと組むことを黙って見届けて、いずれどうなるかももしかしたら薄々とわかっていて、だから心配で馬場リッチバルコニーの亡霊で居続けたのか。そんな気がしてしまう。
ユウキくんはいい人ってことやな。とほぼ初対面の頃に咲太が言った理由がまだあんまりよく分からなくてそれがずっと気になる。
あの時点ではどう見ても咲太から滝馬を奪おうとしていたのは明らかでそのことは後からにユウキ本人も認めていたのに。
わたしからしたら、咲太のほうがいい奴すぎる。不器用で。滝馬への執着はもはやBLかよとすら思ってしまうが。
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アメトーークでAマッソ加納さんが紹介されていたので気になって手に取った一冊。
咲太と滝場とユウキという3人の人間関係と笑いに関する青春小説でした。
タイトル通り、『おもろい』とは何かを考えさせられました。ただただ、笑いを享受する側ではあるもののこの一冊を通して人を笑わせる苦悩の断片を学びました。
ただ想像以上にヘビーな内容だったので、元気なときに読み返したいです笑
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ユウキが一番初めに書いたネタが笑い飯みたいで面白かった。笑いをとるのに必死なため傷付く人がいるという自覚がなく、誰かを笑いものにすることで簡単に一体感を得たと思っている人は芸人に関わらずたくさんいると思った。
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「笑い」として行われるやりとりのなかに怖いものが混ざっていることがあった。
わかりやすい言葉で言えばそれはハラスメントや女性蔑視や同性愛嫌悪だった。
だれかを蔑むことで笑いを取ろうとしているのだった。
という筆者の感覚には共感できますが、「傷つけない笑い」が過度に評価されることには何だか違和感もあるんですよね。
今の芸人さんは大変だろうな。
一人称の視点やセリフが誰のものか分からないところがあった以外は読みやすかったです。
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『かもめジムの恋愛』を読んで気になった大前粟生さん。”おもろい”にこだわり続ける主人公たちの情熱と葛藤を感じて、お笑いの奥深さを感じました。ラストは嬉しい展開にグッときました!
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高校生の時に結成したお笑いコンビがプロになるまでの青春物語。他人の容姿や性別をイジってでも結果的に面白ければよいというスタンスと、「傷つけない笑い」を時代と共にアップデートしていくやり方の狭間でネタを考えていく芸人さんの葛藤は見ていて心を掴まれた。
見過ごされてしまうような小さな違和感をしっかり掬い取る著者の繊細な感受性にどこか安心感を感じる一冊。
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コロナ禍っていう今までのあたりまえが
あたりまえじゃなくなったこの状況。
そして「傷つけない笑い」が推奨されるような
新しい流れ。
そんな中で笑いを生み出し、
届け続ける芸人さんたちの苦悩と葛藤、
そしてお笑いへの愛が綴られた一冊
.
ひとりのお笑いファンとしては
正直共感できないところや
納得できない考え方もあったけど、
それはそれで新しい見方を知れて新鮮
そういうところを含めて「おもろい」本でした
Posted by ブクログ
稼げる笑いと理想の笑いと言えばイイのかわからないけど、それらの間で葛藤する姿がストレートに描かれている。笑いのことはよく分からないけど、クリエイティブな活動をする人たちには、理想を求めてこんなふうに悩んだりするのかな、と思いながら読み進めた。最後の最後、主人公を中心とする3人が語り合うシーンはとても良かった。「風景のなかには未来があって、もうやってきてんねん。」という言葉が印象深かった。
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男子高校生3人が漫才を通して成長していく物語。
表紙の3人は彼らでしょうか。
真ん中はユウキくん。中の世界が爆発して燃えている様子は漫才に対する熱量の凄さを表しているように見えます。
右は滝場。仮面をつけて見る自分の手には手首がありません。面白くない自分に彼なりの「笑い」の仮面をつけて面白いと思ってもらおうと努めるがそこに本当の自分は無い様を表しているように見えます。
左は僕。雑草が出てきたシーンあったっけ。うーん、思い出せない…
そして3人の腕の重なった部分はぼやけて融合している。これは今後トリオとして3人が協力して漫才をするメタファーであると考える。
つぐみぼんぼんぴょん丸って、ぽんぽこの高木ひとみ丸がモデルなんですかね、名前似てるから。
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Aマッソの加納さんがTVでおすすめしていたので。面白かった。文章のリズムに慣れるのに時間がかかって何度も同じところをなぞった。自分をなくす空虚さと、今のお笑いの空気がリアルで痛かった。
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おもろい以外いらんねん
全員がそう思っとるのに全員考え方がちがって、一個のことみとるだけやなのになあって感じ
お化けはほんまにおらんかったんか、おらんくなったんか少年にしかわからんのんやろな
読みたかった本読めて満足。
おもろい以外いらんなあ。
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バリバリの関西弁でお送りするコロナ禍の芸人青春小説!
それだけではないけど、おもろかったらなんやかんやでOKやろっていう関西だけ?の風潮の中で育ってるから少々無茶をしたり人をいじったりする笑いでもいいから笑いを取ろうとしてしまっていた陽気やけど痛い青春時代を思い出した
毎日芸人さんのラジオを聴くのが楽しみなお笑い大好き人間やからこそ凄く響くし面白い作品