あらすじ
女子高生の恋バナ相手は70代のおじいさん。
北鴎町にある「かもめジム」はバブル期に建てられた7階建ての大型ジム。今では利用客が減り、経営難が続く一方で、会員の八割を締める高齢者たちの出会いの場となっていた。
ジムの受付でアルバイトをする17歳の柏夢は、70代男性・西原さんから会員の三田園さんという男性が好きだと相談を受ける。「恋なんてオレの人生でこれが最後」という西原さんを応援する夢も、次第に自身の恋を打ち明けはじめ、共通の悩みである“恋愛”を通して56歳差の友情が始まるが!?
30代半ばで結婚に焦りながらも推し活に勤しむサオリさん。会員になる気ゼロでも毎日愚痴を吐きに来るおばあさん・橋本さん。アイドルをやめてボディビル選手を目指すかえちゃん。憧れの先輩を追って野球部を辞め、吹奏楽部に入った道重くん……。
世代や性別を超えて、交わるはずのなかった人たちの人生が交差する群像小説。
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Posted by ブクログ
とても面白かった。
高校生が、真面目にずっと一人の人を好きでいて。
真面目にスポーツジムでアルバイトしてて。
そのジムでは、お爺さんお婆さんが、恋愛とか恋バナして(ちょっと憧れる)。
なんか、ぽわーんと、面白かったよー。
Posted by ブクログ
ジムを中心にみた相関図のような構成。
西原さんがいい味出してるなぁ!
勝手に自分が孤独だなんて思っちゃいけないよね。
若い2人のその後もストーリー化されないかなぁ!
Posted by ブクログ
地方都市にあるバブルの時にできて、今は存続が危ういかもめジムが舞台。
会員は高齢の方ばかりだけど、ジムのロビーでは彼らが話す恋バナがいつも盛り上がりを見せている。
そんなかもめジムでバイトする高校生の柏夢(かしわ・ゆめ)ちゃんは、ひそかに利用者やジムで働くスタッフを観察していろいろと想像を巡らせていたりする。
そんな中利用者のひとり70過ぎの西原さんと話すようになって、近くの河原で彼の恋愛相談に乗ったりします。
夢ちゃんも自分の話をするようになり...。
なんとなく殺伐とした今の時代に、懐かしくしみわたる人の優しさ。
ちょっとおせっかいかな?と戸惑いながらも人との距離を詰めていく夢ちゃんの姿に自分を投影したりして、思わずがんばれ!って心で呟いちゃう。
大前さんの小説は初めて読んだけれど、期待以上に良かった。
他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
高校生の煮え切らない恋話には焦ったさを感じ、おっさんの恋には新鮮味もあり、かもめジムのスタッフとお客さんが妙にひとつになって物語になり、とても楽しく読んだ。続編があってもいいのでは。
Posted by ブクログ
心にしみた。読んでよかった。
やさしくない世界を生きるやさしい人たちの日常が描かれていた。
かもめジムが閉館になる箇所では、しんみりと寂しい気持ちになった。
もしかしたらこの先、ほとんど会うことがないかもしれない。それでも大切な人に「また明日ね」と言って別れられるのは素敵だと思った。
Posted by ブクログ
かもめジムのスタッフや顧客4人それぞれの視点で各章が語られる。最初は、高齢者の出会いの場になっているというかもめジムや、そこで31歳下の男性に恋をして「やりてえ」とか言ってる75歳のおじいさん(西原さん)についていけないというか、そのノリに合わないような気もしたけど、現代的な繊細で優しい感覚で恋愛が語られていて、最終的にはよかった。告白はされたものの遠距離恋愛になるから、付き合うかどうか会いに通って決める、という道重徳弥に、一方的に決めるのはキモいから私からも会いに行く、っていう柏夢の最後の考え方がとても好きだ。恋愛の責任はどちらかが負うものでもなく、主導権も片方の手にあるのではなく、担いあっていかないとね。『ぬいぐるみとしゃべる人は優しい』の方が静かで繊細な恋模様で好き。
Posted by ブクログ
ラストシーンが可愛かった〜
『つきあうかつきあわないか
一方的にそっちが決めるのは
かなりイライラするしキモい
だから私もどうするか決める』
と好きな人に言えちゃう夢ちゃんの健全さがとても可愛いなとほっこりしました。
Posted by ブクログ
読みやすく、気がつけば読み終わっていました。
いろんな愛に溢れている物語。登場人物みんな良く、程よい距離感でみんなの恋愛模様を観させてもらいました。
ありがとう!
Posted by ブクログ
よかった。
あったかくてやさしい小説っていいね。
トランプさん勝っちゃうし、愛媛のジンベエザメは死んじゃうしで、少し落ち込んで寒々とした気持ちをあたためてくれた。多謝。
かもめジム、という高齢者の憩いの場になっているジムがメイン。
女子高校生バイトの柏夢はジム利用者のおじいさん、西原さんから恋愛相談を受ける。
西原さんは同じかもめジム利用者のアラフォーの三田園さんという男性会員が好きだという。
柏夢にも同じ高校に好きな男子がいて、ふたりは恋バナをする仲に───。
多主人公、多視点の連作短編集。
クセはあるけどやさしくて「いい奴」が多く登場する。
恋愛小説は読んだあとふわふわするな。
読み終わったあと、もうちょっとこの小説の世界にいて、かもめジムのみんなを見守っていたかったなって思った。
ラストの章で夢が観ていた映画は何だろう。気になります!
Posted by ブクログ
登場人物全員の恋愛を応援したくなる本だったし、恋愛って甘酸っぱくていいなと改めて感じた。
前に「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」を読んで、大前粟生さんは心に問いかけてくるような重めの物語を描く人というイメージがあったので、かもめジムの恋愛のようにどこか切ないけれどキュンとする恋愛物語も描くことを知って、物語の幅の広さにびっくりした。
Posted by ブクログ
「かもめジムの恋愛」
「大人っていつからなるんだろう」
「寂しさで満たされて」
「恋なんて、この世にあっていいものなのか?」
「また明日ね」
高齢者達が集う、かもめジムを舞台にした5話収録の連作短編集。
大前粟生さんの作品は軽やかだ。
本作も恋と友情をテーマに流れるように展開していく。
けれど、行間からほんの少し滲み出る寂しさ。
それがとても魅力的。
不器用な登場人物達に自分を重ね、共感したり切なくなったりしながら、一期一会を大切にしようと思えた。
年齢や性別に関係なく、人が人を想う真っ直ぐな気持ちに愛おしさが込み上げる一冊。
Posted by ブクログ
ちょっとずつの場面展開が素敵で、どんどん話がつながっていく感が楽しかった。
中身もすっごく素敵。一つ一つの、一人一人の出会いとお話と、変化が少しずつ少しずつで、すごくいい歩調で、ゆっくりと恋っていいなぁって思わせてくれる、そんなお話。
Posted by ブクログ
初読みの作家さん。
北鴎町の空気を体感したような気分。
柏夢ちゃんと西原さんのお互いの恋愛相談の話が好き。
おじいちゃんだから、男の人同士だからこう思うんじゃないといいなあと思う気持ち、とても共感した。でも私も自分を間違っても性的に見ない人たちってだけで安心してしまったり、だからこそかわいいと思ってしまうことってあると思う。まあ私はおじいちゃんでも「ヤりてえ」って思ってることをそのまま伝える人、きついけど。
てっきり夢ちゃんの話で、道重とあすみさんが付き合ったのかと思っていたので、最終話でびっくり。
高見沢と「じきゅじそっ!」(このゲームタイトル出てくる度に笑ってしまった)で仲良くなった浦吉さんのサイドストーリー読みたい。
Posted by ブクログ
私もジムに通っているからか、なんだからとっても身近な話だった。どこにでもありそうな話だけど、なんだかほっこり癒されて、感動して、わっと涙が出そうになった。