大前粟生のレビュー一覧
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ぬいぐるみと喋るぬいサー、なる「ぬいぐるみサーク」
嫌な想いをぬいぐるみにだけ打ち明けるのは、仲間がいないというよりも、相手を傷つけなくないという優しさを持ちすぎてしまっているから。
ぬいぐるみの歴史って意外と浅いけど、これだけ数が増えているのは社会から求められているからなんだろうなぁ。
相手に踏み込まないでいられる。踏み込まれないでいられる。
とか、
心配されるのが嫌だった。人に迷惑をかけるから誰ともつながっていたくなかった。
という表現が散見されるけど、
これを優しいと捉えるのは難しい気がする。踏み込まない優しさと、踏み込む優しさ、前者は自分のための優しさで、後者は相手のための優しさ -
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面白い“ふわふわ”感のある文章だった。
でも、得体のしれない感じがして気持ち悪くもあって、何言ってるかわからないのにそれでよしとして読み進められる感じもしていた。
「わかる」ことに快感を覚えるタイプの人にはなんとも嫌な文章だろうとも思った。
読み進めて行けば、あの“ふわふわ”した難解な感覚の理由と意味がわかる。
これからはなんでもないのに誰かに見られているような気になったとき、少し「こわい」という感覚を抑えられるかもしれない。
それは“窓子”かもしれないから。
窓子が自分の味方であってくれるように祈る。
最後に気づいたけど、『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』の著者だった。
「私と窓子は覚 -
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ほんとうの「やさしさ」とは何かを考えさせられる作品でした。
誰かの辛さに寄り添おうとしたつもりが、相手をさらに傷つけてしまうことにもなりうる。
誰かに相談することも、その相手をも辛い気持ちにさせてしまうかもしれない。
被害者になるのも加害者になるのも紙一重なのだと痛感しました。
個人的には「バスタオルの映像」の主人公に一番共感しました。子供の頃からお笑い番組が嫌いだったり、本気で嫌だと怒ったことをずっと面白がってくる元恋人を振ったり、モラルが合わない人といる苦しさをずっと感じてきたから。
しかし、同時に主人公の恋人のように、親密な相手を他者と認められずに自分と同化させようとした過去もあり、「 -
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つらい、と感じたことを誰かに話したいけど、
誰かに話したら相手が辛くなってしまうかも
だからぬいぐるみにしゃべってみた、人たちの話。
語り手は主人公の七森かと思ったけど
麦戸ちゃんの気持ちにもなるし
白城の気持ちにもなる。
あくまで七森は〜的な表現だから第三者が語り手?
(読みづらくはない、伊坂さんな感じではない)
つらそうな人を見たり(痴漢にあってるのを見た)
つらかった話を聞いたり(↑の話を聞いた)
それだけで辛くなってしまう人たちの話。
だから多分想像力が豊かで
感情移入もすごいんだと思う、、
けどそれがゆえ相手の気持ちをすごく考えられる
けどそれがゆえ自分はすごく疲れてしまう
相手 -
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映画にすごく心動かされ小説も手に取る。
表題作の「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」はなんだかすごく不思議な文章の中にいた気がする。主人公は主人公で、その行動主だが、主語に「自分」と「七森」とが介在していて、(「麦戸ちゃん」って主語なんかもある)自らが自らをすごく俯瞰しているような、でもその登場人物に対する七森の感覚も感じる。そして思っていることをそのまま連ねているような、七森の脳内の言葉を全部聴いている感覚、でもそれはわたしもだよ、わたしの脳内みたいだったずっと。映画より深い七森を見た。
表題作以外の3作、特に後2作は、もう読めない、くらい苦しかった。でもそれぞれの主人公の心情全部やさ -
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ネタバレ自分が対等に恋愛したい相手と恋愛の価値観が異なった時、自分の性愛はエゴになりうるんじゃないのかっていう悶々とした葛藤を抱える圭吾に、わかる、わかるよわかるんだけどさーってなることが多くてこっちもむずむずした。誰かに対して独り占めしたいとか相手も自分のことだけ見ていてほしいと思ったことないから共感できるところは少なかったんだけど、好きな人が傷つくのは嫌なのに、ましてや自分の気持ちで傷つけるとかあってはいけないっていう感情とか、男とか女とかっていう分類じゃなくてあやめさんと僕っていう独立したものになりたいっていうのはなんとなくだけどわかるかなー、挿れる側と挿れられる側の構図が気持ち悪いみたいな場面
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ネタバレ自分が圭吾的な立場になったことからこの本を手に取りました。
読後違和感が拭えず2回読みました。
で、思ったのは
ポリ側の人の交際がとても軽く描かれてること
あやめに至っては、圭吾から想われてることを知っていながら自分はポリアモリーかもと、アプリに登録して会ってみて、波長があったからと付き合って…そしてそのハスモトの彼女に妬いたり…
ハスモトは、圭吾にポリアモリーの恋愛について語るけど、ハスモトも出会いは軽くて。すぐ好きになっちゃうって。
で、体の関係も結ぶまではあんなに線密に描かれてたのに、一回したらセックス漬けみたいになって…
ポリ側の人が軽く描かれすぎてて誤解を招くかなと思いました