大前粟生のレビュー一覧

  • ピン芸人、高崎犬彦

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    お笑いの世界を描けるのは、現代の姿がすごくよく見えている人だという気がする。裾野が広がった上に先鋭化してしまって、先端も末端ももう見通せない。小説であつかおうとするだけで正直えらいと思うが、この作品はお笑いに味方されたり見捨てられたりしている人間を主人公に据えたことで、地に足が着いたものになっているように見える。

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    2024年05月11日
  • きみだからさびしい

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    ネタバレ

    たくさんの恋愛の形が出てくる。相手と自分のスタンスが違う時、どう折り合いをつけるか。。という答えのないことについて心の動きが細かく書かれている。相手にあわせればいいということでもない。作品にも出てくる通り、性別の違いなどもあり、「対等」は難しいなあと共感した。

    あとは片付けもモチーフとして出てくるのだが、片付けも結局、自分の中の優先順位をつけることであり、主人公はそこにも苦しさを感じている。いっそ全部捨ててしまいそうにもなったり。

    解決策や答えがあるわけじゃない。相手も自分も大事にしたいと思っても結果的には自分が傷つくことも傷つけることもある、て受け入れることなのかなあと思った。

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    2023年10月04日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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    「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」
    恋愛がよくわからない、セックスに興味がない男の子が主人公ってだけでも心底嬉しかったのに後半は私が欲しかった言葉がいっぱいあって、読み終えた後に駅のホームで泣き崩れていた。
    世間に蔓延る嫌なことを拾い上げ、自問自答をしていく。
    それが誠実で凄く良かった。
    「つらい」と吐露することがどれだけ難しいことなのか。
    だからこそ、最後の数ページをこれから先忘れられないと思う。
    私の心は強く強く揺り動かされた。
    ぬいぐるみとしゃべる人は優しいが、ぬいぐるみとしゃべらない人の中には優しい人もいる。
    愛しい愛しい物語。

    「たのしいことに水と気づく」
    結婚の話と忽然と消えた

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    2023年07月09日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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    すごく小さなものの集まりで、ぐるぐると回ってまた戻ってきたりして、それがオリジナルのものとして表出したりしなかったりするものが優しさに近いのかもしれない。初めて味わうような読書体験でした。

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    2023年05月02日
  • きみだからさびしい

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    ここが良かった、このセリフが胸を打ったとか、そういうものを残しておけないくらい引き込まれて読んだ。
    あやめの不自由さや孤独、そのおもてにあるような快活さが好きだし、圭吾がお化けから始まり葛藤をじっくり炙るように燃させながらひとつ結論を得るまでが好きだし、青木の「おまえが幸せにならないと私は……」とか元木の「誰だって自分の信じたい考え方に洗脳されに行っているだけ」とかは手を固く握りたい衝動を得た。
    ポリアモリーという言葉が出て、それについてもじっくり扱っているが、それに限らずとにかく愛についての話。ひとがひとを愛そうとすることをとにかく言語化した物語だった。

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    2023年04月09日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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    ネタバレ

    映画化すると聞いて原作から読んでみました。表題作は独特の文章と主人公のあまりに繊細な思考がしんどくてしんどくて。でもそこがとても良い。私もたぶん学生の頃に漠然と考えていたはずのことが丁寧に丁寧に言語化されていて、痛々しいったらなかったです。(いやでも私はこんなに優しくなかったしもっとアホでした)

    とはいえ、インターネット黎明期だった私の学生時代とは他者や社会との関わり方も全然違っていて、今の時代だからこその生きづらさもヒシヒシと伝わってきて。「あーこんなに先回りしちゃえるんだ」とか「あんなに繊細なのにここはスルーできちゃうんだ」とか。今っぽい感覚が新鮮でもありました。

    映画祭ではよりによっ

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    2023年04月08日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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    何回読んでも泣いてしまう。
    ずっと言葉にうまくできない自分のしんどさが七森くんのしんどさと繋がる。白城さんだってちゃんとやさしいし、ヤナだってちゃんとやさしいことがなんだか余計に苦しくなる。

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    2023年02月07日
  • きみだからさびしい

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    最近自分のセクシュアリティについて考えることがあり、ポリアモリーについて知りたくてしらべてこちらを読みました。

    結果的に何か分かったか、というと私自身何か明確な答えを見つけられた訳では無かったけど、
    登場人物がそれぞれ感じていること、思っていること考えていることに共感したり、たまに共感できなかったり、これはあの人っぽいなと思ったり……友達の話を聞いているような感覚で読めました。楽しかったです。

    ポリアモリーについてのことはもちろんですが、それらとは関係なく読んで良かったと思います。

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    2022年12月31日
  • 死んでいる私と、私みたいな人たちの声

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    ネタバレ

    『DVを受けているあなたは、誰???』

    〇〇からDVを受けているXX。って、あなたたち、誰だっけ?読み進めていくと、どうやらXXは幽霊らしいことがわかるけど、頭の中は混乱しっぱなし! でした…

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    2022年11月25日
  • きみだからさびしい

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    素敵
    なんというか、とてもよくわかると思ってしまったらこの本の意味が無いのかも知れないけど
    でもこういう側面あるかもな私にもって

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    2022年11月14日
  • きみだからさびしい

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    とても面白かった。
    わかる、昔その道(に似たとこ)を通った事ある
    わかる、わかるわかるわかる

    と同時にわからない。あの頃には聞かなかったし聞いても理解できなかった事が確実にある
    今なら知識としてわかる、そしてやっぱりわかる
    年齢を重ねたことで忘れていた、あまり気にしなくなったあの感覚がこの本にはある

    そんなぐちゃぐちゃしたとこも含めて読んで良かった

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    2022年06月17日
  • おもろい以外いらんねん

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    日本のお笑い界で、男性優位の世界で、男性自身が違和感を持ち意識を変えていこうとする姿を見せてくれる本は初めて読んで、しかも男性の作家さんで、それがすごく嬉しかった!フェミニズムは女性だけの話ではない。古くからある根拠のない男らしさ・女らしさや価値観からみんなが解放されるべき。
    「自分が楽しんで笑っているものがダメなところを持っているのだと認めたくなかった。」(p84~85)というところ、すごく気持ちがわかる…。今こそ変わりたい。
    彩花と友達になりたいし、つぐみぼんぼんぴょん丸のネタが観たい…!
    めっちゃ読みやすい。2日間で読めた。早い人だと数時間で読めるのでは。

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    2022年04月18日
  • おもろい以外いらんねん

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    いままでは漫才とかお笑い芸人をおもろいから好きやなーっと漠然とした感情でしか観てなかったけど、芸人さんもいろんな葛藤があって、同じネタしてても1回1回感情とかちゃうんやろなって、次からそういうこと考えながらみちゃう

    このお話は、めっちゃ大きな出来事があるわけじゃなくて、ひたすら、人間の心の中を痛いくらい描いてて、すごいなって思った
    胸があったかくなるようなシーンで終わるから、読んだ後の幸福感がすごい

    何年後かに読み返したら、また違う印象になりそうやなって思う不思議なお話だった

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    2022年03月17日
  • おもろい以外いらんねん

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    自分がお笑い芸人に対して、日本のお笑いスタイルに対してもやっと思っていたことが明確に言語化されて、それを登場人物に喋らせて物語という作品に昇華させていてすごいなぁー。と思いました。

    刺さりました

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    2021年12月10日
  • おもろい以外いらんねん

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    「本当に素晴らしい小説は、真に差別的であることはありえない」と言っていた人(たぶん佐藤亜紀『小説のストラテジー』だと思うが不確定)がいたのだけど、「おもろい以外いらんねん」もそういう意味で、そういう話だったと思う。「笑い」は「普通」からの逸脱とそれに対するツッコミで成り立つものだが、その「普通」が変わりつつある令和という時代には誰かを傷つけてしまうこともある。誰かの容姿や性を踏みつけて取る笑いに順応できる空っぽな漫才師と、それでひとりだけ売れていく相方に「漫才をしろ」と怒る相方、誰かを踏みつけて笑いを取ることは良くないのだと気づいてはいても、過去にそれに加担してきたことを認めるのが怖い親友。三

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    2021年03月12日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    SNSが題材なだけあって「ありそう…」と怖さとふむふむが混同した読後感。

    笑ってよいのか怖がった方がよいのか…。
    さまざまな切り口のアンソロジーならではの楽しさもありました。

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    2024年06月17日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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     個人的なことを聞いたり話したりするのを避けちゃうのすごく共感できた。踏み込んだ話をしないと仲良くなれないのに、なかなかそういう話ってできない。恋愛興味なさそうな人に恋愛のこと聞けないし、28歳実家暮らしの先輩に1人暮らしの話できない。
     学校や仕事に行かなくなるほど繊細ではないけれど七森に共感できることはたくさんあった。
     僕の周りに七森みたいな人いないから友達になりたいなぁ。でもそれは同じような人をみつけて自分が楽になりたいだけなのかなぁ。

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    2024年06月11日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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    あぁ…繊細な自分が戻ってきてしまう…と思った。
    言葉選びとか、面白い。
    うぅーとなる苦しい場面が多いんだけど、それでも優しく終わってくれて救われる。
    とても好きだった。

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    2024年05月30日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    ⚫︎感想
    エンタメの短編集。全体を通して面白かった。
    石田夏穂さんの作品全部読みたい!という動機で読んだため、最初に読んだのは石田さんの「タイムシートを吹かせ」。石田ワールド全開、しかもちょっといい話で終わっていて良かった。レジェンドはレジェンドたる歴史を持っていた。
    「かわうそをかぶる」浅倉秋成さん。「六人の嘘つきな大学生」以来。若者を描くのが上手いんだな〜と思ったし、今作は女の子のVtuberが主人公なので器用さを感じた。本音と建前と本当の自分ってどこ?…怖くて、でも、こんな世界もあるのかなぁと思える、漫画みたいに画像が浮かんでくる作品だった。
    「まぶしさと悪意」大前粟生さん。TikTok

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    2024年05月14日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    画面の
    向こうに
    隠された

    秘密と嘘
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    仕事帰りの書店で見つけて購入しました。
    「世界でいちばん透きとおった物語」のスピンオフがあるということで。

    7作品中、6作品が平成生まれの作家さん。
    時代感じます。笑
    昭和生まれの私…おののきました。笑

    「かわうそをかぶる/朝倉秋成」
    人気VTuberへ楽曲を提供していた音楽クリエイターが殺された。
    犯人は、VTuberの熱心なファン。
    自分はあてがわれた役を演じてるだけなのか。

    「まぶしさと悪意/大前粟生」
    Tipshotというショート動画SN

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    2024年05月06日