大前粟生のレビュー一覧

  • かもめジムの恋愛

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    心にしみた。読んでよかった。
    やさしくない世界を生きるやさしい人たちの日常が描かれていた。
    かもめジムが閉館になる箇所では、しんみりと寂しい気持ちになった。
    もしかしたらこの先、ほとんど会うことがないかもしれない。それでも大切な人に「また明日ね」と言って別れられるのは素敵だと思った。

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    2024年10月13日
  • きみだからさびしい

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    恋愛の形が違う二人。
    人はそれぞれ違うからと相手の気持ちを察して行動する主人公。
    生きていてくれるだけで幸せ、なんて無償の愛に近い。
    優しい彼が、ぴたっとはまる相手にいつか出逢えたらいいと思う。

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    2024年08月31日
  • ピン芸人、高崎犬彦

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    お笑いの世界を描けるのは、現代の姿がすごくよく見えている人だという気がする。裾野が広がった上に先鋭化してしまって、先端も末端ももう見通せない。小説であつかおうとするだけで正直えらいと思うが、この作品はお笑いに味方されたり見捨てられたりしている人間を主人公に据えたことで、地に足が着いたものになっているように見える。

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    2024年05月11日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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    ネタバレ

    ネガティブな気持ちやつらい気持ちを人に話すと、その人までつらい気持ちにさせてしまうから、そういうことは人に話さないでぬいぐるみに話す。そういうやさしい人たちの物語だった。他者を「もの」ではなくて、自分とは異なる人間として尊重すること。好きになるとその境界が分からなくなりがちだけど、あるいは他者をジャッジする視線は他者を対象化しているけれど、相手を一人の相手として尊重し、見守ること。支配するのでも無関心でいるのでもないその距離感って実はすごく難しいと思う。やさしい、というのは、距離をとりすぎて無関心に近くなりがちだと気付かされた。
    オートロックではない家に住める側の性=男性である七森は、セクハラ

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    2024年03月27日
  • きみだからさびしい

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    ネタバレ

    たくさんの恋愛の形が出てくる。相手と自分のスタンスが違う時、どう折り合いをつけるか。。という答えのないことについて心の動きが細かく書かれている。相手にあわせればいいということでもない。作品にも出てくる通り、性別の違いなどもあり、「対等」は難しいなあと共感した。

    あとは片付けもモチーフとして出てくるのだが、片付けも結局、自分の中の優先順位をつけることであり、主人公はそこにも苦しさを感じている。いっそ全部捨ててしまいそうにもなったり。

    解決策や答えがあるわけじゃない。相手も自分も大事にしたいと思っても結果的には自分が傷つくことも傷つけることもある、て受け入れることなのかなあと思った。

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    2023年10月04日
  • きみだからさびしい

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    ここが良かった、このセリフが胸を打ったとか、そういうものを残しておけないくらい引き込まれて読んだ。
    あやめの不自由さや孤独、そのおもてにあるような快活さが好きだし、圭吾がお化けから始まり葛藤をじっくり炙るように燃させながらひとつ結論を得るまでが好きだし、青木の「おまえが幸せにならないと私は……」とか元木の「誰だって自分の信じたい考え方に洗脳されに行っているだけ」とかは手を固く握りたい衝動を得た。
    ポリアモリーという言葉が出て、それについてもじっくり扱っているが、それに限らずとにかく愛についての話。ひとがひとを愛そうとすることをとにかく言語化した物語だった。

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    2023年04月09日
  • きみだからさびしい

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    最近自分のセクシュアリティについて考えることがあり、ポリアモリーについて知りたくてしらべてこちらを読みました。

    結果的に何か分かったか、というと私自身何か明確な答えを見つけられた訳では無かったけど、
    登場人物がそれぞれ感じていること、思っていること考えていることに共感したり、たまに共感できなかったり、これはあの人っぽいなと思ったり……友達の話を聞いているような感覚で読めました。楽しかったです。

    ポリアモリーについてのことはもちろんですが、それらとは関係なく読んで良かったと思います。

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    2022年12月31日
  • 死んでいる私と、私みたいな人たちの声

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    ネタバレ

    『DVを受けているあなたは、誰???』

    〇〇からDVを受けているXX。って、あなたたち、誰だっけ?読み進めていくと、どうやらXXは幽霊らしいことがわかるけど、頭の中は混乱しっぱなし! でした…

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    2022年11月25日
  • きみだからさびしい

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    素敵
    なんというか、とてもよくわかると思ってしまったらこの本の意味が無いのかも知れないけど
    でもこういう側面あるかもな私にもって

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    2022年11月14日
  • おもろい以外いらんねん

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    日本のお笑い界で、男性優位の世界で、男性自身が違和感を持ち意識を変えていこうとする姿を見せてくれる本は初めて読んで、しかも男性の作家さんで、それがすごく嬉しかった!フェミニズムは女性だけの話ではない。古くからある根拠のない男らしさ・女らしさや価値観からみんなが解放されるべき。
    「自分が楽しんで笑っているものがダメなところを持っているのだと認めたくなかった。」(p84~85)というところ、すごく気持ちがわかる…。今こそ変わりたい。
    彩花と友達になりたいし、つぐみぼんぼんぴょん丸のネタが観たい…!
    めっちゃ読みやすい。2日間で読めた。早い人だと数時間で読めるのでは。

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    2022年04月18日
  • おもろい以外いらんねん

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    いままでは漫才とかお笑い芸人をおもろいから好きやなーっと漠然とした感情でしか観てなかったけど、芸人さんもいろんな葛藤があって、同じネタしてても1回1回感情とかちゃうんやろなって、次からそういうこと考えながらみちゃう

    このお話は、めっちゃ大きな出来事があるわけじゃなくて、ひたすら、人間の心の中を痛いくらい描いてて、すごいなって思った
    胸があったかくなるようなシーンで終わるから、読んだ後の幸福感がすごい

    何年後かに読み返したら、また違う印象になりそうやなって思う不思議なお話だった

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    2022年03月17日
  • おもろい以外いらんねん

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    「本当に素晴らしい小説は、真に差別的であることはありえない」と言っていた人(たぶん佐藤亜紀『小説のストラテジー』だと思うが不確定)がいたのだけど、「おもろい以外いらんねん」もそういう意味で、そういう話だったと思う。「笑い」は「普通」からの逸脱とそれに対するツッコミで成り立つものだが、その「普通」が変わりつつある令和という時代には誰かを傷つけてしまうこともある。誰かの容姿や性を踏みつけて取る笑いに順応できる空っぽな漫才師と、それでひとりだけ売れていく相方に「漫才をしろ」と怒る相方、誰かを踏みつけて笑いを取ることは良くないのだと気づいてはいても、過去にそれに加担してきたことを認めるのが怖い親友。三

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    2021年03月12日
  • 7人の7年の恋とガチャ

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    恋愛リアリティーショーという、何とも現代らしいテーマ。人の弱いところの描写がうまいのは大前さんらしい筆致。
    伏線の回収や読後感に、もっと納得のいくものだったらさらによかったかも。

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    2025年12月16日
  • マリッジ・アンド・ゴースト・ストーリー

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    結婚した直後に離婚しても仲の良い二人。
    そこに加わったゴーストは花でエネルギーをチャージ。
    親子の関係、友人関係。いろいろあるけどこれで良いと思う。

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    2025年12月04日
  • マリッジ・アンド・ゴースト・ストーリー

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    まず装丁が綺麗で手に取り、書名を読んでマリッジアンドゴーストとは何だ?…となったので読みました。
    大学の同級生で恋人関係だったさやかと春崎が27歳になり、結婚を意識し始めてからの葛藤がリアルでした。これを言ったら相手が傷つくかもしれないから言わない、ではなくちゃんと言い合ってぶつかることは大事ですね。そんな2人の前に現れた幽霊のヒロ。3人の関係が素敵です。

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    2025年11月24日
  • 7人の7年の恋とガチャ

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    30日間、離島を舞台として7名の男女の恋模様を描く「恋ガチャ」。前半は恋愛ゲームでしたが、7年後に再び集められたものの後半はデスゲームに。
    個性がなかなかに強い7人でしたね。え?こんな展開になるの?と思いながらいつの間にか読み終えた感じです。想像してたストーリーではなかったですが、前半の何故?が後半でちゃんと解明はされたのでスッキリはしました。

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    2025年09月21日
  • かもめジムの恋愛

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    ネタバレ

    かもめジムのスタッフや顧客4人それぞれの視点で各章が語られる。最初は、高齢者の出会いの場になっているというかもめジムや、そこで31歳下の男性に恋をして「やりてえ」とか言ってる75歳のおじいさん(西原さん)についていけないというか、そのノリに合わないような気もしたけど、現代的な繊細で優しい感覚で恋愛が語られていて、最終的にはよかった。告白はされたものの遠距離恋愛になるから、付き合うかどうか会いに通って決める、という道重徳弥に、一方的に決めるのはキモいから私からも会いに行く、っていう柏夢の最後の考え方がとても好きだ。恋愛の責任はどちらかが負うものでもなく、主導権も片方の手にあるのではなく、担いあっ

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    2025年07月29日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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    ネタバレ

    ぬいぐるみに話しかける活動をしている部活で、傷つきやすい学生たちを描く表題作のほか、計4篇の短編集。ちょっとファンタジーが入った、心優しい作品という感じかな。少し苛つくかもしれないが、まあまあ良かった。

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    2025年07月18日
  • かもめジムの恋愛

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    ラストシーンが可愛かった〜
    『つきあうかつきあわないか
    一方的にそっちが決めるのは
    かなりイライラするしキモい
    だから私もどうするか決める』
    と好きな人に言えちゃう夢ちゃんの健全さがとても可愛いなとほっこりしました。

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    2025年06月16日
  • ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

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    映画が良かったので読みました!
    文体というか雰囲気が独特で…たまに戻りながら読みました。本作の雰囲気を残しつつ、かつ描きたい主題やキャラを損なわず映像化できた映画に改めてすごいと思いました…。
    小説でもう少し欲しいなと思った情報を、映画がしっかり補完してくれていたイメージ。

    ほか収録作品も良かった。
    辛いよ!しんどいよ!みたいな事があって、それでも各々のしんどさがあって、でも譲れないところもあって、生活しながらちょっとずつしんどさと向き合い手放さず、極端に後ろ向きや過激にもならず…
    明るさは本人の努力、みたいな言説をしみじみと思います。

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    2025年06月05日