スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのレビュー一覧

  • チェルノブイリの祈り 4巻

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    原作小説へのリスペクトが多分に伝わってくる素晴らしいコミカライズ。

    とても気持ちのいい読後感とは言えないものの、ほんのりと希望を予感させる幕引きで胸がすくわれた。当事者の実体験に比べれば、映像や文章から受け取れる想いは微々たるものなのかもしれないが、少しでもチェルノブイリの記憶を克明に伝わるよう努めてくれた制作陣には感謝を伝えたい。

    熊谷雄太先生、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ氏、素敵な作品をどうもありがとうございました。

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    2026年07月22日
  • チェルノブイリの祈り 3巻

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    原発事故に巻き込まれた一般市民の苦しみも相当だったが、原発事故に立ち向かっていった兵士や科学者の心にも絶望的な葛藤があったと知り、打ちひしがれてしまった。国家のために尽力した兵士はもちろん、何も知らない住民を救うべく尽力した科学者の無念を思うと胸が痛い。

    もし政府が誠実であったのならば、被害は最小限に抑えられていたはず……事態の隠蔽や自己保身に走る政府が腹立たしくて仕方がなかった。自分たちの暮らす日本が、こんな風に腐敗していないことを願いたいね。

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    2026年07月21日
  • チェルノブイリの祈り 2巻

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    いくら言葉を尽くしたところで、”そこ”にいた人たちの想いや痛みが正しく伝わるとは限らない。第9話に登場した医師の「あなたはこれを”このまま”書けますか」「だれもそんな本なんか読まないでしょうよ」という言葉でそう思い知らされた。

    チェルノブイリにいたことを隠したい、そこでの出来事を話したくない当事者にとって、本当に辛かったことや忘れたいことは口を噤み、歴史を正しく伝えたい、そこで何があったのかを知りたい部外者は、実験動物のように彼女らを観察し、記録する。

    彼女らには申し訳ないが、心を動かすようなドラマがなかったら、自分はこの作品を読んでなかったかもしれない。同時に他人の苦難をエンタメとして消

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    2026年07月21日
  • チェルノブイリの祈り 1巻

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    ”チェルノブイリ原発事故”の悲劇を記録ではなく、記憶として書き留めたノンフィクション漫画。

    読んだところで救いがあるわけではないのだが、知っておくべき真実がぎっしりと詰まってる。むしろ、福島第一原発事故を経験した日本人であれば、放射能がもたらす恐怖を忘れないために一読しておくべきだろう。ドキュメンタリーや映画とは違って、被曝者たちの声をありのままに書き綴っているから、より近いところで当時のリアルな空気感が感じられるはず……

    凄惨な現実を受け止める覚悟のある方は、ぜひ読んでみて欲しい。

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    2026年07月21日
  • 戦争は女の顔をしていない 6

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    6巻、メインになるのは32話の衛生指導員オリガ・ヤーコヴレヴナ・オメリチェンコの話。
    戦争の悲惨さ恐ろしさを語る彼女たちではあるが、戦争に行ったその自身の行動(この作品で証言している女性の殆どは志願兵だ)そのものを否定している人はほとんどいない。

    多くの方は既に亡くなられているだろうが、存命であれば現在のウクライナとロシアの戦争をどう感じるのだろうか?

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    2026年07月01日
  • 戦争は女の顔をしていない

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    真実を語ることを強く制限されている中で、
    聴くこと、届けることをやめなかった著者にどれだけの大変さがあっただろう、と思う。
    本当の声を知れたこと、心から有り難く思う。

    苦しい、悲しい、怖い、
    その言葉では全く収まりきらない。想像も止まってしまう。

    女性が戦場に行き、国を信じ、命をかけていた。
    想像を絶する世界を生き抜き、
    身体にも深く傷を負っている女性に、
    戦後、周りの人に言われた言葉や裏切りに、
    とてつもない悲しさを覚えた。

    恐怖からくる身体の症状は、読みながら何度も呆然とした。
    死と距離が近くなったときの現実は、
    生命の本能、そして残酷さ、愛と密接なように思う。

    戦争に関わった人の

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    2026年06月15日
  • 戦争は女の顔をしていない

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     読むのに1年かかってしまった。アレクシエーヴィチがノーベル文学賞を受賞した時、諸事情により群像社から出ていたこの本は絶版だった。その後岩波書店が刊行してくれた時、NHKの「100分de名著」が取り上げた時、ロシアがウクライナに侵攻した時。読みたいという思いが次第に募り、やっと手にすることができた。一つ一つの証言は短いが体験そのものが重く、心に残る言葉がいくつもある。

    「男たちは自分たちが独占してきた世界、そのテリトリーにしぶしぶ女を入れる。」(著者・アレクシエーヴィチ)

    「これは女の仕事じゃない、憎んで、殺すなんて。」(マリヤ・イワーノヴナ・モローゾワ〈イワーヌシュキナ〉、兵長〈狙撃兵〉

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    2026年04月30日
  • チェルノブイリの祈り 3巻

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    チェルノブイリは現在のウクライナに位置するものの、国境に近く、風の影響でベラルーシの南部への被害は甚大だった。と習った記憶がよみがえる。

    放射能の恐怖はあくまで”原子爆弾”の脅威としてのみ教育されていたため、そのあとの残留被ばくについては理解できずにとどまる人々。
    あまりにも多すぎる被害者。あまりにも多すぎる範囲。
    そして腐りきった上層部。
    立ち向かった人が、一人はいたのだ、ということが希望に思えた。

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    2026年04月11日
  • チェルノブイリの祈り 2巻

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    ずっと寝かせていたのを一念発起して読んだ。
    辛い。
    ヒロシマが、彼女たちにとって一つの希望だったのだろうか。

    ウクライナの人たちが日本人を同じ被爆国の仲間扱いすることがある、というのは定期的に聞いていたものの違和感があった。実際にその理由を表現されると、私は広島・長崎の民ではないけれど手を伸ばしたくなる。

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    2026年04月11日
  • 戦争は女の顔をしていない 6

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    ネタバレ

    To Nao
    とてもつらい内容だけど,これは読んでおいて損がない作品。日本語版の書籍だと自分でイメージを広げて,感情移入しがちな私たちは,むしろコミックの方がイメージが限定されていいのかも。

    「覚えているのは戦争の音」
    報道も戦争には境目がある。善と悪,敵と味方。でもこの書籍の中の話はそういう話ではない。
    地上にはこれまでたくさんの戦争があった。
    人間の本質,生命の本質に戦争は触れていく主要な何かかもしれない。
    「大きな物語を一人の人間の大きさで考えようとしている」

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    2026年04月07日
  • 戦争は女の顔をしていない 6

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    巻が進むほど読むのがしんどくなってきた。
    内容に現実が近づいていくのが怖い。
    その範囲が広まっていくのが怖い。
    自分のいる場所が戦場から離れていても、自分の「正義」はどこかを戦場にする原因になっているかもしれない。
    何故、戦場がこんなに増えていくのか、どうすれば減るのかわからない。
    自分より若い世代に、この本のような経験をさせたくない。

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    2026年04月05日
  • 戦争は女の顔をしていない 6

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    ネタバレ

     この時期だからこそ、読むのが辛かったです。
     畑は雑草の山になり、食料は配給券がなければ手に入らず……。
     なんて私たちの知ることができることが、少ないんだろう。
     そしてまた戦争を起こそうとしてるんだろう。
     私はいつだって表裏一体の場所にいることを忘れてはいけないと思った。アメリカと近い関係にある限り、私たちもまた同じ場所に立つかもしれないことを。

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    2026年03月28日
  • 戦争は女の顔をしていない

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    オーディブルで少しずつ聴き進めていたのを、雪の積もった投開票日に聴き切った 印象に残ったところを引用したいところだけど引用に足らない箇所なんてなかった ほとんどが自ら志願して戦争に参加した10代の少女たち、その当時の記憶を生き生きと語る高齢の女性たち、その語りに耳を傾ける若き(30代ごろの)著者という三世代の女性の身体をめぐる物語でもある インタビューのみならず差し挟まる著者の語りもいい


    「戦争体験というのはあまりに個人的で内的な体験であり、人間が生きていることの果てしなさと同じく限りがない。
    わたしが書こうとしている本の文章がいたるところにころがっている。農家や街の家々、街や汽車の中で。

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    2026年05月26日
  • ボタン穴から見た戦争 白ロシアの子供たちの証言

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    被ったオーバーのボタンの穴から、爆弾が落ちるのを見ていた少女の体験談をはじめ、戦争中に子どもだった101人の人々の断片的な語りを集めたもの。ベラルーシは第二次大戦中、ソ連の中で特に被害が大きかったところだそうだ。どの証言も生々しくて怖くて、子供の目で見た純粋で鮮烈な印象そのものだからか、他の戦争文学よりも辛かった。この当時で言うドイツ軍のような虐殺者が明日にでも家に襲ってきそうな錯覚に陥るというか、家族が平穏に暮らしている今の「有り難さ」を感じて未来が怖くなった。

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    2026年01月13日
  • チェルノブイリの祈り 1巻

    無料版購入済み

    チェルノブイリの原発事故は自分が生まれる前に起きたもので、名前をよく聞いたのは3.11の時の福島原発事故と比べられるようになっていた時でした。原発事故がどのようなものか、3.11を経た今でもよくわかっているとは言い難いですが、少なくともまだ放射線の影響がよくわからない時、その事故を人々がどう見て、経験したか、この漫画を通して少しだけ体験しました。原発は本当に無くさなきゃいけないと思います… 毎日浪費するエネルギーを生み出すために人が命をかける必要がどこにあるのでしょうか…

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    2025年12月05日
  • ボタン穴から見た戦争 白ロシアの子供たちの証言

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    ネタバレ

    白ロシア=ベラルーシ

    自分で穴を掘らせ
    その縁に立たせ
    子どもから順に撃つ
    大人が絶望するのを
    見るために

    お腹が空いて空いて
    お母さんという言葉を聞くだけで
    泣き声が止まらなくなる

    戦争
    この記憶がまだ残るのに
    なぜ繰り返す

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    2025年09月16日
  • 戦争は女の顔をしていない

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    ロシアによるウクライナへの侵略戦争が長期化している今だからこそ読んでおきたいと思った。
    タイトルは有名ながら、手に取ったことがなかった。
    内容としては非常に生々しい、従軍女性たちから聞き取った証言集。
    もっと書き手の主張が入ったルポライティングのようなものを想像していたが、インタビューに応じた女性の肉声が聞こえてくるような書きぶりによって戦争のむごさがより際立つ。
    「女たち」の視点ではあるが、前線に出される兵士たちの様子も証言から浮かび上がる。

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    2025年08月24日
  • 戦争は女の顔をしていない

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    ネタバレ

    漫画のほうを先に読んで、旧日本軍よりマシかも…とか感想を持った自分を殴りたい。
    いろんな人がいて、いろんな手段で戦ったり、生き延びたりして。でも戦争がハッピーエンドで終わるなんてことない。これは今まさに繰り返されている悲劇だってことを教えられます。
    腹立つのは、解放された捕虜に「なぜ生きてる?」と問うとこ。せっかく地獄を生き延びても裏切りを疑われながら生きなきゃならないとか。
    著者のインタビュアーとしての姿勢が素晴らしい。「話してください。悪魔には鏡でその姿を見せつけてやらなければ」と。
    しかしウクライナとかベラルーシの人たちのインタビューなんだよね。こんなことされてドイツを許す気になるかとか

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    2025年08月05日
  • 戦争は女の顔をしていない 1

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    独ソ戦の女性兵士たちの話。
    国のために、と教えられて育った少女たちは国のために戦う気概を持っている。
    でも男物のパンツは死ぬほど嫌だし、三つ編みを切るのも悲しい。普通の少女なのに兵士のときは勇ましくなれるのは、人間のなかにスイッチみたいなのがあるからなのかな。
    日本の戦争漫画に比べて、理不尽な上官とかビンタとか出てこないのはお国柄なのか女性だからなのか。これから出てくるのが。
    兵士じゃない女性はちゃんと花柄のスカートとか履けているので、やっぱ日本よりもましかなと思ってしまう。
    原作も買ってあるので読まねばです。

    追記…原作読んだらあらすじからして不穏だった。戦争行った女性たちは差別くらったと

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    2025年08月02日
  • セカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと

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    『死に魅入られた人々』では、ソ連邦崩壊までしかたどられなかったですが、しかし、本書では、対象がプーチン政権の時代まで延長されています。最初に「訳者あとがき」、とくに603-605頁を読んでソヴィエト/ロシア現代史の概略を知っておくと、インタヴュイーたちの言う意味がよく理解できると思います。要は、価値観、世界観がひっくり返るような政治の変動を生き抜くのはたいへんだということに尽きます。

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    2025年07月01日