スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのレビュー一覧
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ソ連で第二次世界大戦を生きた子供達をインタビューした本。
戦争は誰が起こしたのか、と一言で言えるものではないが、少なくとも子供達は完全に巻き込まれた被害者であることは間違いない。
そんな子供達の視点だからこそ、戦争の悲惨さがわかる。
自分は良い大人だが、勇ましくもなんともないので、祖国のために戦った女達より、ただひたすら運命に流された子供達の方が共感し、戦争の恐怖を感じた。
ソ連で第二次世界大戦を生きた女達を書いた「戦争は女の顔をしていない」は、戦後の「戦争に参加した女性に対する社会の扱い」「大祖国戦争という祖国を守った誇らしい戦争であり悲惨さより栄光を伝える社会」など問題点にも焦点があたって -
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Posted by ブクログ
3巻で印象に残ったエピソードは、第16話タマーラ・ステバノヴナ・ウムニャギナ赤軍伍長(衛生指導員)の話だ。
戦時下の過酷な環境で、なんとか生き残り、戦後を迎えるものの、戦地から帰ってきた女性軍人には冷たい仕打ちが待っていたことを知る。戦争は、戦地から日常に戻れば終わるようなものではないことを教えてくれる。長期間、全ての人に影響を与え続ける負の力がある。
現実の世界では、ロシアがウクライナへ軍事侵攻を始めて50日くらい経過している。なんとも複雑な心境になる。
我々は、歴史を学ぶことで、過去の事例を紐解き、未来に向けて歩んでいけるのだ。こんな現実だからこそ、学び続けることって大事なのだと思う。 -
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Posted by ブクログ
二巻は真実を語るということの難しさに触れている。
一巻にも増して読み応えあり。
殊に
ニーナがインタビューで語ったことを否定した手紙を送ってきたくだり。
体験した抱えきれない出来事は、そのままの形で伝えられるわけではないということ。
「心の奥底で追いやられているその人の真実と現代の時代の精神の染みついた新聞の匂いのする他人の真実
第一の真実は二つ目の圧力に耐えきれない
話を聞く時に彼女のほかに身内や知り合い
ことに男性が居合わせると真心からの打ち解けた話が少なくなる
それはもう聞き手を意識した話になり
始終内側の堅い守りに突き当たったセルフコントロールに
しょっちゅう訂正しようとする
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戦場の外や戦後の苦しみもある
女性が戦場で大変な環境で戦ったという話だけでなく、戦場から日常に戻ってからの差別だったり、戦後何年も続くPTSDであったりとおそらくは正式な戦史には記録されていないことが生々しく描かれている。女性が多く戦場に出ていった特殊環境の話と、戦争そのものがいかに人間を壊すかの二つの側面で読んでいてつらい。
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イデオロギー面での描写
一巻よりも戦場の描写が少なかったのか、全般的にイデオロギーを信じる人民としての生き方と、生活者としてのいわゆる普通の暮らしを望む生き方の対比が印象に残った。インタビューではおそらくは本音に近い生の声が聞けたはずなのに、著者が文字にした原稿に対しては話をした本人から人間味のあるエピソードを削除されてしまったのが印象的。
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購入済み
生々しく圧倒される
監修者の後書きにあるように、元のインタビューの一言を漫画に落としこむにあたって想像で絵にする部分も多かったのだろう。余白をある程度埋めてくれた漫画でも、展開の飛び方などで若干分かりにくいところもある。ただそれもインタビューされた人たちの生の声を紡いでいるからこその分かりにくさなのだろう。女性射撃手のことはこの本を読む前から聞いたことはあったが、それ以外の役割を担った女性たちの戦争の話も当時の戦争や女性の関わりを知る上で興味深い。下着や生理の話などは戦闘行為そのものではないが、戦争という異常事態に急遽女性が放り込まれたことによる当時のリアルを示す生々しい逸話だと思う。
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Posted by ブクログ
ウクライナに生まれベラルーシで弾圧を受けながらも、国家の影に隠された人々に取材し、その生の声を届けるジャーナリスト スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ。
ウクライナにあり、1986年4月26日に事故を起こし、隣国のベラルーシに深刻な放射能被害を及ぼしたチェルノブイリ原発事故。このチェルノブイリ原発事故の事故処理にあたった人々はソビエトにおいては国家の英雄として扱われたが、その事故の被害の真実は長く隠匿され、ベラルーシにおいてもそれは同じだった。
アレクシエーヴィッチはこのチェルノブイリの事故の処理にあたった人々、その事故処理による被曝で亡くなった人々の遺族、この事故のために住む村を追われた -
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Posted by ブクログ
第二巻。描かれる、彼女たちから語られる戦禍の惨状は、ますますの苛烈さを増したように感じた。多分読んで知ったことのエピソードが私の中に降り積もっているのだと思う。
長らく文通を続けていたというニーナさんに、インタビュー記事をまとめた原稿を送ったところ、訂正で埋め尽くされて戻ってきたという話が心に突き刺さる。
どうしても戦いたくて潜り込んだ本部で、軍服を貰えないからと合切袋をほどいてスカートにして穿いたこと、上官の冗談に騙されたり、大尉の名前を忘れておじさんと呼んでしまったり、"乙女の心は燃えている"と詩に書くような恋があったり。
お茶を飲みながら、親しく打ち解けて語ってくれた