あらすじ
500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家の主著。『狼と香辛料』小梅けいとによるコミカライズ、第3巻が登場。
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当時のソ連にとって、第二次世界大戦は「大祖国戦争」であり母国防衛戦だった。それでも、このような悲惨な話が山のようにある。もちろん、原作でも言及され本書にもあるように、語り部の主観を「あえて」そのまま記録されたもの。それゆえに事実と異なる部分も多いだろうが、個人にかかる心理的圧迫感はより如実に伝わる。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまった昨今。今度は祖国防衛戦ではない(がプロバガンダでさもそのように国民には伝えられているらしい)。取材された女性たちのほとんどは恐らく鬼籍に入っているだろうが、このことを知ったらどんな顔をするのだろうか。
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1巻が出た時は「伝えていかなければいけない負の遺産」として読んでいた。
まさか、同じ状況が起こるとは思わなかった。
今戦場となっているウクライナには、先の大戦から生き残り必死で生きてきた女性たちが産み育てて繋げた先の命がある。
なぜこうなるのか? なぜ人殺しが正当化されるのか?
そこまで憎しみや恨みを買ってでも奪いたいのか?
ただただ愚かしく情けなく思う。
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三巻では、パルチザンの斥候になった話を始めとして、戦場の凄惨さが描かれて、かなりの重さとなっている。
が、そのため、もっとも読み応えがあった。
読むのが辛いくらいの描かれ方だ。
これが戦争なんだなと、何も見たことがない私にも伝わってきた。
こんな戦争の描かれ方をしたものは他には無いと思う。
戦車や戦闘機のおもちゃを捨てる気持ちが、読者の私にも当然だと思えた。
多くの人に読んでほしい。
本当に得難いコミックだ。
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今、ウクライナで起こっていることは、わずか百年もたたない前に他国によって行われていたことだ。
百年も平和が持たない世界。男も女も銃を取り、大統領は核ボタンを押すことをためらわないと語る。
わずか30年前、世界は一つの節目を迎えたソ連邦の解体、ベルリンの壁の崩壊。そして、偉大な研究と言われたEUができた。
長い歴史の中ではまばたきのような一瞬であることが哀しい。
ここに描かれている彼女たちはどう思うのだろう。
『戦争が終わるまで生き延びられたら、戦争の後の人々はどんなに幸せな人だろう!』
『どんなに素晴らしい生活が始まるんだろう』
『こんなに辛い思いをした人たちはお互いをいたわりあう』
『それはもう違う人間になるんだね』
その言葉は焔の中で今も焼かれている。
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一巻二巻を読んでいた時と、この漫画の舞台の状況が全く変わってしまった。
過去ではなく、今の読み物として読み、想像するようになっている。
残されなければならない。
このような、二度と起きてほしくないことこそ、人の幸せを奪うものこそ、記録され、出版され、多くの国、人々の間で共有されなければならない。
次こその幸せのために。
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1.2につづくソ連女性従軍歴書。必死に人を助けていたらドイツ軍(敵)兵だったお話、国のために命をかけて戦ったのに嫁入りしたら罵られた話、心が痛い?
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「人間の血が染み込んでいない地面は1グラムだってなかった」「それでもこれより一歩でも引けない/国全部が‥ロシア国民が滅びるか勝利するしかないとみんなわかっていたのよ」
文明社会で戦争以外ではありえない人命の浪費、停滞前線対峙の消耗戦。
人を信じないスターリンが唯一信じたのがヒトラーで不意打ちを受けた。民はドイツ軍をファシストと呼ぶが独裁者の盟約は〈石油〉をめぐって裏切り前提/勇敢な者から死んでいく/占領軍が撤退する前に旧政権協力者となりそうな者を射殺する。朝鮮戦争下ソウルでも見られた/WW2で戦略的には勝者となったソ連はダントツに多い1450万の戦死者、700万以上の民間人死者を出した(しかもレニングラード包囲戦生存者などは真相隠蔽のため戦後収容所送りとなった)。
WW2の転回点であったスターリングラードは双方の軍にメガデスが出現し別に市民60万の残存は9796名。「補充兵がやってくる 若い元気のいい人たちが/一日二日で死んでしまって誰も残らない/私はもう新しい人たちが来るのが怖かった‥」
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とうとう3巻目まで読み進めました。
衛生指導員の女性のストーリーが印象的でした。
思い出したくない、口に出すのも恐ろしい、でも伝えなければと懸命に話す姿が伝わってきました。
沢山の友人や仲間の死、そして勝利をした時に『生きていたいと、熱烈に思った』という言葉が心に残りました。
そして読んでいて戦争は『男』のものとされていたのだと思いました。
その場に確かに存在していた『女性』は無いものとされ、隠されてきたのだと。
でも彼女たちはしっかりとそこにいて、自分の人生を生き抜いたのだと思いました。
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1、2巻とはまた違う恐怖を感じた。こんなにも悲惨な時代があったのかと。そして、どうして今も戦争は無くならないのか。こんなにも苦しい哀しい思いをした人が語り継いでも戦わなければならないのか?同じ地球上に生まれてきた人間なのに……。
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パルチザンになって、捕虜になった母や子供を撃たなければならない状況とは、
次々描かれる悲惨な内容に言葉もない。
本で読んだ時より絵があることで生々しく迫ってくる。
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1~3巻の感想をまとめて。
戦争の最前線に行っていた女性たちのインタビューをもとに書かれた原作を漫画化したもの。
ひどい話がたくさん。
第二次世界大戦時の話なのだが、今も彼の地で繰り広げられている戦いを思うと、昔の話という一言ですませられない。
ただ、漫画にすることで読みやすくなる一方、自分の考えを掘り下げづらい印象に。
ぜひ原作を読んで、絵ではなく文章から受け取る自分の考えをまとめたいと思う。
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第3巻。女性たちの口から語られる当時の記憶、そのあまりの惨禍は想像を絶する。
絵や文章でさえこれほど凄惨なのに、それを現実に目の当たりにし生きるというのはどういうことなんだろう。
「この戦争に勝利しさえすれば素晴らしい人生が待っている、と信じていた」と話した女性の言葉が、心の底に澱のように留まって、ずっと繰り返し考え続けている。
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3巻で印象に残ったエピソードは、第16話タマーラ・ステバノヴナ・ウムニャギナ赤軍伍長(衛生指導員)の話だ。
戦時下の過酷な環境で、なんとか生き残り、戦後を迎えるものの、戦地から帰ってきた女性軍人には冷たい仕打ちが待っていたことを知る。戦争は、戦地から日常に戻れば終わるようなものではないことを教えてくれる。長期間、全ての人に影響を与え続ける負の力がある。
現実の世界では、ロシアがウクライナへ軍事侵攻を始めて50日くらい経過している。なんとも複雑な心境になる。
我々は、歴史を学ぶことで、過去の事例を紐解き、未来に向けて歩んでいけるのだ。こんな現実だからこそ、学び続けることって大事なのだと思う。
Posted by ブクログ
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ原作の漫画化。第二次世界大戦時のソ連軍元女性兵士たちの証言から浮かび上がる、戦争の凄惨さと戦後も続く苦しみ。元衛生兵・タマーラの言葉が胸に突き刺さった。
Posted by ブクログ
ほぼ1年ぶりのコミック第3巻。この第3巻が出版される前に、原作の方は読み終えた。
独ソ戦を共に戦ったロシア人とウクライナ人が、今は敵同士としてとして戦っている。とくかく戦争はダメです。勝っても負けても、それぞれに傷を残してしまう。とても悲しいことです。
戦場の外や戦後の苦しみもある
女性が戦場で大変な環境で戦ったという話だけでなく、戦場から日常に戻ってからの差別だったり、戦後何年も続くPTSDであったりとおそらくは正式な戦史には記録されていないことが生々しく描かれている。女性が多く戦場に出ていった特殊環境の話と、戦争そのものがいかに人間を壊すかの二つの側面で読んでいてつらい。
Posted by ブクログ
2巻までは過去の戦争の話として読んでいた。現実にロシアとウクライナの戦争が始まってしまった今は、兵士の人たちや子ども達が殺されてしまうシーンがよりリアルに恐ろしく感じる。
戦争が終わってもいつまでも血の匂いや叫び声が忘れられない人たち。無事に帰ってきても、女性で戦争に行ったと同じ女性たちから差別される。戦争は本当に巻き込まれた人たちの人生を狂わせる。やってはいけないことだ。
Posted by ブクログ
第十六話の、赤軍伍長(衛生指員)の話が印象的だった。
一つは憎しみのための心
もう一つは愛情のための心ってことはありえないんだよ
人間には心が一つしかない
自分の心をどうやって救うかって いつもそのことを考えてきたよ
Posted by ブクログ
第二次世界大戦の真実を明らかにする…。
「一言で言えば、ここに書かれているのはあの
戦争ではない」…。500人以上の従軍女子を
取材し、その内容から出版を拒否され続けた、
ノーベル文学賞受賞作家の主著。
小梅けいとによるコミカライズ。
Posted by ブクログ
メモ:苦難の意義付け『故郷は何故兵士を殺したか』に関する関心から、1巻から定期購入中。
本書28ページで「~そういう人達は新聞や本で読んだ言葉ではなく自分の中から言葉を取り出す」「自分で体験した苦しみから出てくる言葉だ」「不思議なことに教養のある人ほどその感情や言葉遣いは時代の常識の影響を受けている」にどうしても目が吸い寄せられる。
現在のウクライナ情勢だけでなく、日本が経験した戦争というものに思いが及ぶ日本人はどれだけいるのだろうか。
残された人々だけでなく、それを知り得る立場にある我々が語り継ぐべき歴史とは何か?を考えさせる書籍である。
この漫画を書いているのであれば某月刊誌等はしばらく良いので、是非とも最後まで描ききって頂きたい。