スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「戦争は女の顔をしていない」2巻。
ニーナ・ヤーコヴレブナ・ヴィシネフスカヤの第十一話が最も印象深いか。
取材後に届いた手紙で、語った内容を否定する言葉が綴られていたこと。
大祖国戦争に勝利した英雄と、戦争に参加した一兵士としての乖離。自分の心を殺して戦ってきた日々が終わり、戦後の日常に戻ってきても、自分自身の言葉で語ることができないというのは、心が休まる日がないのではないかと思う。
ニーナが語ったエピソードが、日常の冗談に溢れているので、余計にそう感じてしまいます。一方で、生き死にの境をくぐり抜けてきたエピソードもあり、彼女の日常と非日常の違いはどこにあったのだろう。
「でもあたしはここ -
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Posted by ブクログ
冒頭がちょっと衝撃的。
‘わたしたちは勝利の申し子 勝利国の子供たちなのだから’(p.4)
学校の図書室の本は半数が戦争についてだったという。
その内容は言及されていないが、おそらく、勇猛果敢に戦った男性兵士たちの勇姿と、勝ったという“正義”と“それ故の”共産主義の正当性を讃えるものだと想像する。
それは、このコミック原作の出版交渉での出版社側からの意見から想像に容易い。
「悲惨すぎる……生々しすぎる……」
「共産党が指導的にリーダーシップを見せている部分はどこにあるんだ?」
「『あの戦争』ではない!」
日本の戦争に関する児童書は、市民の目線も前線兵士に共通する、戦時中の物資不足とそこか -
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Posted by ブクログ
本の帯にあるように、「この本は理解するためのものではありません。理解していないことを知るための本です。」なぜ彼女たちが口をつぐんでいたのか、それを考えると胸を抉られるような気持ちになります。戦争に出たのも、そこで経験したのも、それぞれ語る人によって思いは違うが、戦後受けた周りからの目はおそらく同じようなものだっただろう。そう思うとこの本のタイトル『戦争は女の顔をしていない』というのが腑に落ちる。これは原作版を読んで気がついたことなのだが、漫画版も2巻目に入り、少しその辺についても触れられている。どこまでこの漫画版が続くのかわからないのだが、是非ともその、従軍した女性に対する世間の目のことをしっ
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