スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのレビュー一覧

  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    当時のソ連にとって、第二次世界大戦は「大祖国戦争」であり母国防衛戦だった。それでも、このような悲惨な話が山のようにある。もちろん、原作でも言及され本書にもあるように、語り部の主観を「あえて」そのまま記録されたもの。それゆえに事実と異なる部分も多いだろうが、個人にかかる心理的圧迫感はより如実に伝わる。
    ロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまった昨今。今度は祖国防衛戦ではない(がプロバガンダでさもそのように国民には伝えられているらしい)。取材された女性たちのほとんどは恐らく鬼籍に入っているだろうが、このことを知ったらどんな顔をするのだろうか。

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    2022年05月05日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    1巻が出た時は「伝えていかなければいけない負の遺産」として読んでいた。
    まさか、同じ状況が起こるとは思わなかった。
    今戦場となっているウクライナには、先の大戦から生き残り必死で生きてきた女性たちが産み育てて繋げた先の命がある。
    なぜこうなるのか? なぜ人殺しが正当化されるのか?
    そこまで憎しみや恨みを買ってでも奪いたいのか?
    ただただ愚かしく情けなく思う。

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    2022年04月26日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    三巻では、パルチザンの斥候になった話を始めとして、戦場の凄惨さが描かれて、かなりの重さとなっている。
    が、そのため、もっとも読み応えがあった。
    読むのが辛いくらいの描かれ方だ。
    これが戦争なんだなと、何も見たことがない私にも伝わってきた。

    こんな戦争の描かれ方をしたものは他には無いと思う。
    戦車や戦闘機のおもちゃを捨てる気持ちが、読者の私にも当然だと思えた。

    多くの人に読んでほしい。
    本当に得難いコミックだ。

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    2022年04月13日
  • セカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと

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    ネタバレ

    共産主義下で生きてきた人びとへのソ連崩壊直後から20年以上にわたるインタビュー集。著者のライフワーク「ユートピアの声」完結作。

    この2月からロシア発信の報道にまるでWWⅡ当時の過去に生きているような違和感を感じ、手に取りました。

    WWⅡの「大祖国戦争」、彼らにとってWWⅡはファシストに打ち勝った偉大な国としての勝利、それを支えに生きてきたのに、結局は資本主義になにもかも奪われた、というのがペレストロイカ。

    第1部は1991~2001年、第2部は2002年~2012年の2部構成。話し手やその親族の実体験が多く語られていて辛い内容も多いです。特に第1部のWWⅡから戻った人々の経験は凄惨です。

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    2022年04月12日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    前作の2巻とこの3巻の間にロシアによるウクライナ侵攻が始まった。
    なんで、また、戦争してるの…って思わずにはいられなかった。

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    2022年04月06日
  • 完全版 チェルノブイリの祈り 未来の物語

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    「もう一つの戦争を体験、そしてそれはまだ終わっていない」「失ったのは町じゃない、人生丸ごと」「住民は人間ブラックボックス」「誰も何も理解していなかった。これが一番恐ろしい」……原発事故後、旧ソ連政権下で封殺された、或いは黙して語られることのなかった「チェルノブイリ人」の証言の数々。著者の地道な取材で拾い上げられ 、10 年という時を経て届けられた市井の人々の声なき声、拭い去ることのできない“心の傷跡”が痛過ぎる。特に冒頭の消防士の妻の証言には言葉を失う。ノーベル文学賞も宜なるかな、と思える衝撃の記録文学です。著者はロシアのウクライナ侵攻に際してもいち早く声明を発表。「市民に真実を伝えて」と訴え

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    2022年04月02日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    ネタバレ

     今、ウクライナで起こっていることは、わずか百年もたたない前に他国によって行われていたことだ。

     百年も平和が持たない世界。男も女も銃を取り、大統領は核ボタンを押すことをためらわないと語る。

     わずか30年前、世界は一つの節目を迎えたソ連邦の解体、ベルリンの壁の崩壊。そして、偉大な研究と言われたEUができた。

     長い歴史の中ではまばたきのような一瞬であることが哀しい。

     ここに描かれている彼女たちはどう思うのだろう。

     『戦争が終わるまで生き延びられたら、戦争の後の人々はどんなに幸せな人だろう!』

     『どんなに素晴らしい生活が始まるんだろう』
     『こんなに辛い思いをした人たちはお互

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    2022年03月28日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    一巻二巻を読んでいた時と、この漫画の舞台の状況が全く変わってしまった。
    過去ではなく、今の読み物として読み、想像するようになっている。

    残されなければならない。
    このような、二度と起きてほしくないことこそ、人の幸せを奪うものこそ、記録され、出版され、多くの国、人々の間で共有されなければならない。

    次こその幸せのために。

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    2022年03月27日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    今この現在(2022年3月)、この本を読むのはなかなかい辛いものがある。
    全ロシア国民に読んでもらいたい(原作の方でも良いが)

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    2022年03月27日
  • 完全版 チェルノブイリの祈り 未来の物語

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    読み始めると、辺りが静かになる。
    一人一人の物語を、己の少ない脳の記憶容量に刻みつけるように。文字を読むのではなく文字を聴くように読む。じっと。
    アレクシエーヴィチの著作を読んだのは「戦争は女の顔をしていない」を含めこれで二冊目(未読だが手元にボタン穴から見た戦争がある)。
    戦争は女の顔をしていないを読んだ時は、初めてアレクシエーヴィチの著作を読んだ時は、衝撃といろいろな感情がないまぜになって、これは今、ものすごく大変なものを読んでいるとわかって、恐れ多くて、畏ろしくて、感想が書けなかった。ただ心に刻みつけるしか。今回もそうだ。

    著者は、「スターリンの強制収容所、オシフィエンチム(アウシュビ

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    2022年03月25日
  • 戦争は女の顔をしていない 1

    ネタバレ 購入済み

    綺麗事では済まない現実

    無知のため、国によっては女性が自ら志願して出征することが可能だったことを知りませんでした。
    過酷な状況下でも楽しみを生み出そうとする反面、生理現象には抗えないという女性兵士たちの姿に胸打たれました。
    いくら仕方ないと言っても、男性物の下着を履きたくない気持ちはとってもよくわかります。

    #泣ける

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    2022年09月29日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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     第二次世界大戦で従軍していた旧ソ連の女性たちの証言集。そのコミック版の第2巻。
     買ってから1年近く積読状態が続いた。テーマがやたら重く感じるのは何故だろうと考えてみる。男と女の戦争に対する「目線」が違うからだと思う。男の側から見ると、「英雄」が求められ、更にそれを演ずることが求めれられる。女性の場合は、英雄ではなく「普通の女の子」でいたいのだろう。やはり戦争は女の顔をしていないのだ。

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    2021年12月02日
  • セカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと

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    他人を見ると、寂しいそう、とか可哀想だとか、こっちが勝手に想像するけど、それをしてはいけない。その人の気持ち、わかるかい、わかるわけがない。

    ソヴィエト社会主義共和国連邦。ソ連。

    日本の僕から見れば、やはり共産主義や社会主義は理想、気持ちよく暮らしているのだろうと思っていた。北の方だから寒いだけがネックだろうと思ってた。実は違ってた。




    今、それは中華民国、中国でのことだろう。
    共産党員、金持ち、以外の中華民国の人々は、筆舌に尽くし難い苦渋があるのだろうと想像するが、それは想像でしかなく、悪いんだけど、対岸の話なのだ。

    何度も思うけど、援助するには、僕は手が足りなずぎる。
    で、自分

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    2021年02月27日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    第2巻も深い。一番笑えて、かつ重かったのは、決戦前夜に、童貞の上官からSEXを迫られた女性兵士の話。上官の気持ちも分かるし、逃げた女性兵士の気持ちも分かる。それを公表することを嫌がったことも。そんな、表に出ない戦場の秘話がいくらでもあったのだろう。

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    2021年01月21日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    戦争というものの非情さが迫ってくる。体験者の真の言葉は重い。このような形で伝えてくれている意味はとても大きい。

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    2021年01月03日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    1巻同様に、可愛い絵柄にカモフラージュされてはいるけれど凄まじい内容。国のためにと女性としての幸せを捨て戦地に赴くことを望んだのは、やはり時代だったのだろうと思う。自慢の長い髪を失い坊主になり、スカートを捨て男と同じ格好をして、彼女たちが得られた幸福とは一体なんだったのだろうか。

    敵の骨を砕きながら進む車輪、全滅したせいで大鍋の料理が無駄になったという料理番。彼女たちの心にも、そして読者の心にも決して拭い切れない黒い感情を残していく。

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    2021年01月03日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    特に冒頭から引き込まれるのは我々が「戦後」を生きる日本人だから。
    何故か近年忘れられがちであるが、100人いれば100通りの戦争があるのだけど。

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    2020年12月27日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    読まなきゃ良かった……と、言ってしまいたい。これが事実で現実じゃなかったら。 #漫画 #戦争は女の顔をしていない

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    2020年12月26日
  • 戦争は女の顔をしていない 1

    購入済み

    とても深いお話

    タイトルを見たときにはどうせ味方の上官や敵兵に強姦されてるエピソード満載なんだろうと偏見を抱いていましたが、中身はそんなレベルの話ではなく軍隊における女性の立場の事を描写されています。

    女性の気丈さと切なさに思わず感涙を流してしまう、素晴らしい漫画です。

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    2020年09月28日
  • セカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと

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    今まであたりまえのように暮らしていた生活が、日常の小さな喜びすら味わうことができないほどに一変する現実に向き合ったとき、わたしたちはどうやって生きていくのだろう?ましてや、それが自分や家族の生存すら危うくなるような現実だとしたら。
    今わたしたちは、パンデミックという世界の誰もが経験したことのないような現実を目の前にしている。今までどおりに生活できない息苦しさも感じている。おそらく、パンデミック後の世界は、今までとは違った世界になるにちがいない。つまりは、それまでの世界が「セカンドハンド」となるのだ。

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    2020年04月28日