スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのレビュー一覧

  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ原作の漫画化。第二次世界大戦時のソ連軍元女性兵士たちの証言から浮かび上がる、戦争の凄惨さと戦後も続く苦しみ。元衛生兵・タマーラの言葉が胸に突き刺さった。

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    2022年04月15日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    二巻は真実を語るということの難しさに触れている。
    一巻にも増して読み応えあり。
    殊に
    ニーナがインタビューで語ったことを否定した手紙を送ってきたくだり。

    体験した抱えきれない出来事は、そのままの形で伝えられるわけではないということ。

    「心の奥底で追いやられているその人の真実と現代の時代の精神の染みついた新聞の匂いのする他人の真実
    第一の真実は二つ目の圧力に耐えきれない
    話を聞く時に彼女のほかに身内や知り合い 
    ことに男性が居合わせると真心からの打ち解けた話が少なくなる
    それはもう聞き手を意識した話になり 
    始終内側の堅い守りに突き当たったセルフコントロールに
    しょっちゅう訂正しようとする

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    2022年04月13日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

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     ほぼ1年ぶりのコミック第3巻。この第3巻が出版される前に、原作の方は読み終えた。

     独ソ戦を共に戦ったロシア人とウクライナ人が、今は敵同士としてとして戦っている。とくかく戦争はダメです。勝っても負けても、それぞれに傷を残してしまう。とても悲しいことです。

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    2022年04月09日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

    購入済み

    戦場の外や戦後の苦しみもある

    女性が戦場で大変な環境で戦ったという話だけでなく、戦場から日常に戻ってからの差別だったり、戦後何年も続くPTSDであったりとおそらくは正式な戦史には記録されていないことが生々しく描かれている。女性が多く戦場に出ていった特殊環境の話と、戦争そのものがいかに人間を壊すかの二つの側面で読んでいてつらい。

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    2022年03月27日
  • 戦争は女の顔をしていない 3

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    2巻までは過去の戦争の話として読んでいた。現実にロシアとウクライナの戦争が始まってしまった今は、兵士の人たちや子ども達が殺されてしまうシーンがよりリアルに恐ろしく感じる。
    戦争が終わってもいつまでも血の匂いや叫び声が忘れられない人たち。無事に帰ってきても、女性で戦争に行ったと同じ女性たちから差別される。戦争は本当に巻き込まれた人たちの人生を狂わせる。やってはいけないことだ。

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    2022年03月27日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

    購入済み

    イデオロギー面での描写

    一巻よりも戦場の描写が少なかったのか、全般的にイデオロギーを信じる人民としての生き方と、生活者としてのいわゆる普通の暮らしを望む生き方の対比が印象に残った。インタビューではおそらくは本音に近い生の声が聞けたはずなのに、著者が文字にした原稿に対しては話をした本人から人間味のあるエピソードを削除されてしまったのが印象的。

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    2022年03月27日
  • 戦争は女の顔をしていない 1

    購入済み

    生々しく圧倒される

    監修者の後書きにあるように、元のインタビューの一言を漫画に落としこむにあたって想像で絵にする部分も多かったのだろう。余白をある程度埋めてくれた漫画でも、展開の飛び方などで若干分かりにくいところもある。ただそれもインタビューされた人たちの生の声を紡いでいるからこその分かりにくさなのだろう。女性射撃手のことはこの本を読む前から聞いたことはあったが、それ以外の役割を担った女性たちの戦争の話も当時の戦争や女性の関わりを知る上で興味深い。下着や生理の話などは戦闘行為そのものではないが、戦争という異常事態に急遽女性が放り込まれたことによる当時のリアルを示す生々しい逸話だと思う。

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    2022年03月27日
  • 完全版 チェルノブイリの祈り 未来の物語

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    ウクライナに生まれベラルーシで弾圧を受けながらも、国家の影に隠された人々に取材し、その生の声を届けるジャーナリスト スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ。
    ウクライナにあり、1986年4月26日に事故を起こし、隣国のベラルーシに深刻な放射能被害を及ぼしたチェルノブイリ原発事故。このチェルノブイリ原発事故の事故処理にあたった人々はソビエトにおいては国家の英雄として扱われたが、その事故の被害の真実は長く隠匿され、ベラルーシにおいてもそれは同じだった。

    アレクシエーヴィッチはこのチェルノブイリの事故の処理にあたった人々、その事故処理による被曝で亡くなった人々の遺族、この事故のために住む村を追われた

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    2022年03月06日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    自主的な検閲……。

    「その後もこのように一人の人間の中にある二つの真実にたびたび出くわすことになる
    心の奥底に追いやられているそのひとの真実と、現代の時代の精神の染みついた、新聞の匂いのする他人の真実が
    第一の真実は二つ目の圧力に耐えきれない」

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    2022年02月26日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    第二巻。描かれる、彼女たちから語られる戦禍の惨状は、ますますの苛烈さを増したように感じた。多分読んで知ったことのエピソードが私の中に降り積もっているのだと思う。
    長らく文通を続けていたというニーナさんに、インタビュー記事をまとめた原稿を送ったところ、訂正で埋め尽くされて戻ってきたという話が心に突き刺さる。
    どうしても戦いたくて潜り込んだ本部で、軍服を貰えないからと合切袋をほどいてスカートにして穿いたこと、上官の冗談に騙されたり、大尉の名前を忘れておじさんと呼んでしまったり、"乙女の心は燃えている"と詩に書くような恋があったり。
    お茶を飲みながら、親しく打ち解けて語ってくれた

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    2022年02月07日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    「戦争は女の顔をしていない」2巻。

    ニーナ・ヤーコヴレブナ・ヴィシネフスカヤの第十一話が最も印象深いか。
    取材後に届いた手紙で、語った内容を否定する言葉が綴られていたこと。

    大祖国戦争に勝利した英雄と、戦争に参加した一兵士としての乖離。自分の心を殺して戦ってきた日々が終わり、戦後の日常に戻ってきても、自分自身の言葉で語ることができないというのは、心が休まる日がないのではないかと思う。
    ニーナが語ったエピソードが、日常の冗談に溢れているので、余計にそう感じてしまいます。一方で、生き死にの境をくぐり抜けてきたエピソードもあり、彼女の日常と非日常の違いはどこにあったのだろう。
    「でもあたしはここ

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    2022年02月07日
  • 完全版 チェルノブイリの祈り 未来の物語

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    チェルノブイリのドキュメンタリー。体験者の話をそのまま聞くような気持ちになる。
    とくに、子供達との会話はすさまじい
    「あちこちでネズミの死骸に出くわして、彼らは笑っていたのです。ほらね、ネズミや甲虫やミミズが絶滅しちゃったら、こんどはウサギやオオカミが死にはじめて、そのつぎはわたしたちよ。人間は最後に死ぬんだよ、と。」

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    2022年01月14日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    マンガの力で、伝えていかなければならない大事なことを残せるのはよいことだなと思う。
    書籍も読んだけれど、あの膨大な情報量の一部でもこんな形で伝えられることで、多くの人に届くことを願う。自分の身にも、大切な人の身にも起きてほしくはい、大事なこと。

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    2022年01月07日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    冒頭がちょっと衝撃的。
    ‘わたしたちは勝利の申し子 勝利国の子供たちなのだから’(p.4)
    学校の図書室の本は半数が戦争についてだったという。

    その内容は言及されていないが、おそらく、勇猛果敢に戦った男性兵士たちの勇姿と、勝ったという“正義”と“それ故の”共産主義の正当性を讃えるものだと想像する。
    それは、このコミック原作の出版交渉での出版社側からの意見から想像に容易い。

    「悲惨すぎる……生々しすぎる……」
    「共産党が指導的にリーダーシップを見せている部分はどこにあるんだ?」
    「『あの戦争』ではない!」

    日本の戦争に関する児童書は、市民の目線も前線兵士に共通する、戦時中の物資不足とそこか

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    2022年01月04日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    第一巻に続けて。旧ソ連の崩壊とともに、急速にソ連史への関心は薄れていったのではないかと思うが、「知らなかった」では済まない歴史がここにはある。歴史、過去の忘却は、ともすれば「冒涜」にもつながることを忘れてはならないだろう。続刊や、Eテレテキスト、岩波現代文庫版も、期待しながら読みたい。また、岩波新書の『独ソ戦』などにも手を広げてみたいと思う。

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    2021年08月03日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    第二次世界大戦の独ソ戦が舞台。たくさんの若いソ連の女の子たちが兵士として戦争に参加していたことをこの本を読んで初めて知った。大勢のドイツ兵を狙撃した女性、燃える戦車から兵士を救出する女性、、。なぜここまでして戦争をしなければいけないのか。

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    2021年05月04日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    戦車大隊衛生指導員であるニーナ・ヤーコヴレヴナ・ヴィシネフスカヤ曹長の話が印象に残る。
    若い女性が志願して前線へ向かい、激しい戦火の中で、必死に役割を全うする。
    生き残った本人が語る体験談も、必ずしも、事実とは言い切れない部分もあるようだ。聞き手に身内の男性がいることで、言葉が変わったり、実体験した生々しい部分は隠れてしまうこともあったようだ。
    体験談を聞く場面と、回想する場面とを行き来し、現代と当時の対比を表現している。
    この作品の行末をこれからも見届けたいと思っている。

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    2021年01月18日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    原作でとてもつらかった部分が載っている。信頼し、心を預けて語られたものが、その語り手によって否定される。本当に読み応えある。

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    2021年01月09日
  • 戦争は女の顔をしていない 2

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    本の帯にあるように、「この本は理解するためのものではありません。理解していないことを知るための本です。」なぜ彼女たちが口をつぐんでいたのか、それを考えると胸を抉られるような気持ちになります。戦争に出たのも、そこで経験したのも、それぞれ語る人によって思いは違うが、戦後受けた周りからの目はおそらく同じようなものだっただろう。そう思うとこの本のタイトル『戦争は女の顔をしていない』というのが腑に落ちる。これは原作版を読んで気がついたことなのだが、漫画版も2巻目に入り、少しその辺についても触れられている。どこまでこの漫画版が続くのかわからないのだが、是非ともその、従軍した女性に対する世間の目のことをしっ

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    2020年12月26日
  • セカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと

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    ソビエト崩壊から現代ロシアにいたるまでのやく20年余りを生きた・生きている人たちからの聞き書き。第二次大戦を戦った人から、ソ連時代の記憶がない人まで、膨大な人たちの語りの記録。盗聴されたくない話をするときはラジオの音を最大にするとか、党員証を返却されたり夜中に投げ込まれたと思いきや、解散して発行できなくなる前に早く出してくれと頼まれた党幹部(というより地域の役員的なポジションぽいですが)の話だったり、細かな息遣いがつまった持ち運ぶのに困るぐらいの大著。やっぱりこれは文学なんだろう。

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    2017年03月26日