魚豊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレま、しょうがないですよ。それぞれの状況の中でやれることをやった。お互いにね。
お互いじゃない。君と私は大きく違うんだ。同じ立場じゃない。地動説が異端じゃないと言われて、気付いたよ。
私は、私はこの物語の悪役だったんだ。
クソ、全く驚きだ。
確かに、僕らは敵対した関係でしたね。
この世の中には様々な人がいる。正直者も、嘘吐きも、情けない奴も、勇敢な奴も。さらに驚きなのが、一人の人間にそのすべての要素が入ってることもざらにあるし、それが日々変化したりする。こんなに大勢いるのに誰一人、同じ人はいない。そりゃ争いは絶えないでしょう。
でも、だけどです。
過去や未来、長い時間を隔てた後の彼らから見れば、今いる僕らは所詮、皆 押しなべて"15世紀の人"だ。
僕らは気付いたらこの時代にいた。別の時代でもよかったのにこの時代だった。それはただの偶然で無意味で適当なことで、
つまり奇跡的で運命的なことだ。
だから、絶対そんな訳ないと思いつつも、感情と理屈に拒絶されようともこう信じたい。
今、たまたまここに生きた全員は、たとえ殺し合う程憎んでも、同じ時代を作った仲間な気がする。
面倒くさがって感情を無視してはいけないよ。
最後の日の出が差し込んでくるシーンで号泣した。
私のアレテーは?じゃあお前のは?
アリストなんちゃらはこうも考えた。人は自分の特性を活かしている時が一番幸福だ、と。
告解室っていいな、。
タウマゼインは、
この世の美しさに痺れる肉体のこと。そして、それに近付きたいと願う精神のこと。つまり、「?」と、感じること。
知が人や社会の役に立たなければいけないなんて発想はクソだ。知りたいからやる。それだけだよ。
そしてねアルベルト君。これだけは覚えていてくれ。
真理の探求において、最も重要なことだ。
信じろ。自分の直感を。世界の絶美を。僕は何があろうと、君の好奇心を否定しない。
僕が家庭教師をさせてもらってるが、彼の聡明ぶりには驚くよ。まるで、この少年の内には手練の論理学者が入っているようだ。
だけど、それより注視すべきはその好奇心の強さだ。学術の未来において、これが何より重要な才能だ。
聖アクィナスは知性を、一方では物体的で他方では非物体的と捉えました。身体と魂、理性と信仰、哲学と神学、疑うことと、信じること。これらの矛盾は両立します。何故か、
それが、人間だからです。
奇跡が貴方が生きる場所だったのに、です。
でも、いくら悩んで問うても神は口を開かない。
そうですよ。だから永遠に、私達は考え続けられるのです。私はそれを、幸福だと思いたい。
最後に一つ質問です。
硬貨を捧げれば、パンを得られる。税を捧げれば、権利を得られる。労働を捧げれば、報酬を得られる。なら一体何を捧げれば、この世のすべてを知れる。と、思いますか?その答えを探してください。
今の私は、"圖囚圉国(ずしゅうぎょこく)"を捧げる、と答えよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレプラトン曰く、「人の作る『模倣(ミメーシス)』は遊びのようなもので真剣に従事することじゃない」。神の創造物だけが本物だ。人がつけ上がり、自然を理解したなどと勘違いする為の技術など不要。
繰り返すが、私は人の知性を信じていない。
アリストテレスも「技術は自然を模倣する」と言っている。でも、「一方で技術は自然が成し遂げないことも成し遂げる」とも言ってる。
この布と血のついた金は、私の父の形見です。これを見て信念を思い出す。父を思い出す。この二つは自然に生えてきたものじゃない。人が人工的に作ったもの。だからって無価値じゃない。人の作る模倣が時として「自然が成し遂げないことも成し遂げる」こともある。じゃ。
大丈夫でしょうか?会ったばかりの素性もわからない娘です。
そういう人には機会を与えたくなる。協力されづらいだろうから。
私を信用できますか?
私には貴方の過去とかこれまでの歴史とか関係ない。シュミットさん達に頼めばいいじゃないですか。こんなものまたすぐ燃やすかもしれない。なんで私に。
貴方は若いから。
は?
それを別の言い方で言うと、今は貴方達が歴史(このものがたり)の主役だから。だから貴方に託す。
は、は?だから勝手に巻き込まないでくれます?私は その歴史ってのに関係な、
関係ある。人は先人の発見を引き継ぐ。それもいつの間にか勝手に自然に。だから今を生きる人には過去のすべてが含まれてる。
何故、人は、記憶に拘るのか。何故、人は個別の事象を時系列で捉えるのか。何故、人は歴史を見出すことを強制される認識の構造をしているのか。
私が思うにそれは神が人に学び与える為だ。つまり、歴史は、神の意志の下に成り立ってる。
は?神の意志?なんですか、その意味って。
創世記50章に書いてある。神は"この世にある悪を善に変える"。それが神の意志。神は人を通してこの世を変えようとしてる。長い時間をかけて少しずつ。この"今"はその大いなる流れの中にある。とどのつまり、人の生まれる意味は、その企てに、その試行錯誤に、"善"への鈍く果てしないにじり寄りに、参加することだと思う。
悪を捨象せずに飲み込んで直面することでより大きな善が生まれることもある。善と悪、二つの道があるんじゃなく すべては一つの線の上で繋がっている。そう考えたらかつての憂き節さえも何の無意味なことはない。
でも、歴史を切り離すとそれが見えなくなって、人は死んだら終わりだと、有限性の不安に怯えるようになる。歴史を確認するのは、神が導こうとする方向を確認するのに等しい。だから過去を無視すれば道に迷う。
抽象的すぎる。
私には具体的な問題。
どこが?
歴史認識は私の選択(決断)に関わるから。
例えば、私の父は全く違う道を歩いた。今、父が何をしているのかは知らない。生きているのか、そうじゃないのか、すらね。
もう二度と会うことはないだろうけど。時々想像する。もし今の私が父と対峙したら、道を阻まれたら、どうなるだろうって。考えただけでそれは人生最悪の瞬間で、混乱して平静を失うと思う。でも、
でも、その時にこそ正しいと思った選択をしなきゃいけない。きっとその一瞬の選択の為に、私の数奇な人生は存在する。積み上げた歴史が動揺を鎮めて臆病を打破して思考を駆動させて、いざって時に退かせない。全歴史が私の背中を押すの。
なんで?なんであの本のためにそこまで理屈こねてまで。
私は、地動説を愛してる。そして愛してしまったことを祝福したいから。
そんなの幼稚だ。
そう。だからあなたが乗り越えて。
死ぬ覚悟は出来ている。我々にとって死は日常、重要なのはどこで死ぬかだ。彼女の決断はその背後にいる神の決断だ。信念の為、名誉ある死だ。
ここで終わったら、ヨレンタさんの感動も死ぬ。
神に聞きましょう。表なら皆で逃げる、裏なら私を逃がす。
待て、このやり方で決めていいのか?
…はい。
…
…表だ。
皆で逃げよう。
よし、皆急ぐぞ。
…
…君が逃げろ。我々が守る。
皆、聞いてたか。
隊長、それは提案ですか?
命令だ。
了解。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第一に「神は存在しない」神に支配される必要は無い。
第二に「考えろ」そのために文字を学べ。考えるために文字を学べ。その過程に知性が宿る。知性があれば、留まる勇気と踏み出す度胸が得られる。
第三に生まれるものが「信念」ってやつだ。コレがあれば不安に打ち勝ち泣きやめる。
この本で、大稼ぎできる気配を。
基本から考えよう。大稼ぎする為には広く人に受け入れられる必要がある。そもそも受け入れられるってなんだ?史上最も人に受け入れられたのは、おそらく、神だ。では、神は何故こんなにも受けてる?
それはきっと皆、「不安」だからだ。
将来や死後など、人は未知なものや不確かなものを恐れる。そのきゅうさいとして絶対的で揺るがない存在であって魂の保証である神がいる。
でもおじさんは言った。神はいない。その言葉が事実なら今は単に神以外の選択肢がないだけでもしかしたら代替となる不安の紛らわし方もあるんじゃ?成就するかわからない"祈り"で不安を紛らわすより、もっと確実に"娯楽"で不安を紛らわせたとしたら。人はわかりやすいモノのほうが好きな筈。いずれ娯楽は身近で刺激的なモノになるんじゃ、そして、もし、もし読書が、その娯楽になれたら?
この本で大稼ぎ出来る、かも。
人々の"不安"。
本の内容とその内容で世界が揺らぐ時代、あとは生産方法はどうする?何か生産手段の技術があれば。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私はね、元々 傭兵をやっていた。血腥いって軽蔑するかもしれないけど、そこで得られた知識もあるんだ。ほんとうに強い奴ってのは、殺す覚悟のあるヤツなんかじゃない。
死ぬ覚悟のあるヤツだ。
戦場では"上辺の技術"より"ブサイクなド根性"が勝る。つまり君には、殺された兄弟の為、死ぬ覚悟があるか?
本当は、君はもっと大きな"理念"で動いている。いや、動かされている。言わば君は、その"理念"の召使いだ。もっとも当の君自身は、その理念なんて念頭になく、自分とは無縁のモノだと思っているようだがね。
まァしかし、人は元来自然にそれに憧れ、それを欲するように設計されているのだよ。そして私は、それを求めるところこそが、人間の数少ない尊さであると考えている。
君が、心の底で憧れ求めたものがある。それに気付きたまえ。
迂闊にも憧れて、求めてしまったからだと思います。自由を。
今ある規範を疑えないなら、それも獣と大して変わらない。
ノヴァクの娘との回想。全部全部合理的な世界。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ誰もが簡単に文字を使えたらゴミのような情報で溢れ返ってしまう。そんな世の中目も当てられん。
文字跋扈する現代、乱世、混沌、無秩序。原初地球を想起させる。混沌から偏りがミニ偏が組み上がる。理想像の生まれ合い。真理探求者にとって、これ程自由で笑みこぼれる謎に満ちた世界は無いだろう。尽きぬことない宇宙、将棋もそうなのだろうか。
託すの本質。
託すとか任せるとか一見 聞こえはいいけれど、思い通りにいくわけじゃない。でも実は、寧ろ反論や訂正をされることが託すことの本質というか、自分の思い通り行かない誤解とか事故とか予想外の存在とか、教会にとっての異端者が。天動説にとって、地動説が。そういう他者が引き起こす捻れが現状を前に向かわせる希望なのかもしれない。
前、なんで本なんか書くんだって聞かれましたけど、それは俺が地動説の意味を知った時、多分、感動したからです。そして、それが日に日に強くなってる。つまり俺は、ちょっと前までは早く地球を出て天国へ行きたかったけど、
今はこの地球を守るために地獄へ行ける。
天動説の教会を、神を殺すために、神に祈りを捧げる。アーメン。