魚豊のレビュー一覧
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最終の巻である。読み終わって、脱力感に襲われた。なんだ。この結末はと思った。
シュミット隊長とドゥラカは、二人は馬で逃げ、それをノヴァクが追いかける。そしてシュミットはノヴァクと戦う。そこで、シュミットは敗れ、死ぬ。ノヴァクも傷がついた。
そして、ドゥラカは教会に辿り着き、アントニ司祭に会い、本を出すことについて、交渉し、ドゥラカは20%の利益をとることで、契約が成立する。
そこに、ノヴァクが現れ、地動説を認めたアントニ司祭は、「君の宇宙論関係の仕事は非公開処刑が多すぎた。君の残っている記録を処分せよと指示した」という。
ノヴァクは、「地動説の迫害を実行したのは、この世で私だけ?」そして、アントニ司祭は「君や、君が担当した異端者たち、君らは歴史の登場人物ではない」だから、ノヴァクに「地動説の本が出ても、騒がないでくれよ、無意味だから」と言われる。
ノヴァクは、門番には「異端者の捜査で教会に向かう。容疑者は地動説者」と言ったと司祭に伝え、アントニ司祭を殺し、教会に火をつける。ノヴァクは、ドゥラカは刺されるが、逃げる。ノヴァクは、シュミットから受けた傷で倒れる。その前に、幻の神童ラファウが現れる。
ノヴァクの独白。「地動説を異端思想じゃないんだって、全く笑えるよな。私は、この物語の悪役だったんだ。全く驚きだ。」
物語の中で、悪役をしていたノヴァクが、自分で悪役と名乗るのは、物語のちゃぶ台返しに似ている。これまでに、そのことで死んだ人は、なんだったのか?実際、アントニ司祭も、若い司教を火あぶりにしたことがあった。
ラファウは、「僕は同じ思想に生まれるよりも、同じ時代に生まれることのほうがよっぽど近いと思う。今、たまたまここに生きた全員は、たとえ殺しあう程憎んでも同じ時代を作った仲間な気がする」
ノヴァクは、「あの時、君の選択を見て、気の毒に思った。死を選ぶな。痛みを感じた」という。
そして、拾った手に、ヨレンカの手袋をつけるとピッタリで、それを抱きしめて命を落とす。
どうか、娘を天国に送ってくれと祈る。
ドゥラカは、傷を負い、逃げ、座っているとそこから陽がのぼるのを見て、目を閉じる。
物語は、アルベルトが、大学に行かないと悩む。父親は、常に疑うことを教え、それが何に役に立つかを考えろという。プラグマティズム的思考を教えこむ。ラファウがアルベルトを教えることになる。
そのアルベルトは、のちに、コペルニクスを教える教授になるのだった。そして、なぜかラファウは、アルベルトの父親を、意見が合わなかったと言うことで殺してしまう。
感動は、受け継がれて、初めて本当の感動になるのだ。
『チ。地球の運動について』の物語は、「硬貨を捧げればパンを得られる」「税を捧げれば権利を得られる」「労働を捧げれば報酬を得られる」といった言葉から始まる。そこに対して問いかけがなされる。「なら一体何を捧げれば、この世の全てを知ることができるのか?」と第1集で問いかける。
著者は、「知」とは何か、そしてそれをどう追求するべきかをそれぞれの主人公が提示する。そして、「疑いと信念」という矛盾を抱えながらも、それでもなお真理を求め続ける人間の営みそのものが、この世の全てを知るための「捧げもの」だということだ。 -
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若い司教で異端審問官のアッシュはノヴァクの傷つける手法と同じ、異端審問をしていた。
ダミアン司教は、アッシュのやり方を批判する。
アッシュは、異端審問所を襲ったもの達がいて、本を持っていったことをダミアン司教に伝える。
その本には、「ポトツキに寄付しろ」と住所が書いてあった。
それを聞いたダミアン司教は、引退しているノヴァクに聞きにいけという。初めは、ノヴァクはダミアンを拒否していたが、「地動説」を憎んでいることでダミアンに協力する。
ヨレンタは、ドゥラカに、手に入れた本を燃やした理由を聞く。ドゥラカは、あの本を燃やさないと、本部に連れて行かれないからだ。あの本の先に何があるのか?そして印刷して、利益の2割ほしいという。
ヨレンタは、9歳の時に、幾何学に夢中。14歳で地動説にあい、20歳で初めて人を殺し、39歳でドゥラカと会った。つまり、30年で土星は9歳の時と同じ位置にいるという。ちなみに、太陽を一周するには、水星は、約88日。金星は、約225日。火星は約687日(約1年11カ月)。木星は約11.9年、土星は約29.5年であり、ヨレンタの言っていることは正しい。
ドゥラカの手に入れた本は、地動説のことが書いてあり、神の偉業が見えるとヨレンタはいう。それがなんの話かとドゥラカが聞くと、ヨレンタは「私の感動を必死に伝える」という。
ヨレンタは、ドゥラカになぜか稼ぎたいのかと聞くと、「私の信念だから」と言う。ヨレンタは「信念はすぐに呪いに化ける。それは、私の強さであって限界でもある。信念は迷いの中に倫理がある」
この迷いの中に倫理があるという意味が深い。既存の権威や教え、天動説に盲目的に従うのではなく、自分で思考し、葛藤することを重視する。絶対的な答えがない世界であり、迷うことは、自らの判断に責任を持つための思考プロセスであり、そのことによって真理が探求できるということだ。
ヨレンタは、ドゥラカの話したことで、本を完成させる。それで、ヨレンカは自分の目的が達成したようなそぶりを見せる。ヨレンカのしたいことは、そんなことだったのか?
隊長シュミットに、ドゥラカはなぜ異端解放をしているのか?と聞く。シュミットは、「死を受け入れるためだ」妹がいた。10歳で病に倒れた。妹は死ぬ間際に「私はなんのために生まれたの?」と聞いた。私は、「神のためだ。天国へ行くため」と思ったが、それを言う自信がなかった。妹に死を納得させる自信がなかった。そして、神の解釈で殺し合いが生じ、家族が殺された。人工の社会、人工の掟、人工の神、人つくるものなど醜い模造品でしかない。「人の作る模倣は、遊びのようなもので、真剣に従事することじゃない」とプラトンはいった。神の創造物だけが本物だ。私は人の知性を信じない。とシュミットはいう。
このシュミットの発言は、なぜか重みがある。
ドゥラカは、父親のスカーフと銅コインを大切に持ち、お金を稼ぐことを目標としていた。そして、ヨレンカの話を聞きながら、大きく変化する。銅コインを印刷の活字に使い、スカーフを与える。そして、ヨレンカのスカーフをもらい、自分に身につける。父の意志をつぐことから、ヨレンタの意志を継ぐのだった。
そして、ヨレンカは、異端審問官隊が異端解放戦線の印刷所に押し寄せた時に、自爆自殺する。異端審問官隊のの中に、ヨレンカの父親ノヴァクもいた。そこに、ヨレンカの腕がとんできて、ノヴァクは拾う。なんとも言えない、悲しい対面である。印刷所にいる異端解放戦線と印刷をする人は、逃走の決断を迫れ、ドゥラカは逃げた。さて、ドゥラカは、どうする。 -
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話は、全く違う展開を見せる。C教の教会の腐敗を追求し、C教正統派を排除する勢力の登場。
「異端解放戦線」シュミット隊長。主張は、神を信じている。人倫に汚された神を復活させること。そのため、C教正統派を弱体化させる。ただし、C教を否定し、すべての宗教を廃絶する自然主義者という。人間の作った神は信じない。シュミットの姿勢がスッキリしている。
教会は、人々に「勤勉で、謙虚で、質素に生きろ。それで救われる」という。
清貧を説きながら、自分たちは聖職売買で稼いでいる。たらふく食って、僧侶が酒を飲みクダをまき、貧民の女児や男児を買ってる。教会に豪華絢爛な装飾がなぜ必要か?信者に上下の階級が必要なのか?なんで救世主を殺した十字架が必要か?なぜ、この現状に黙って従わなきゃいけねぇんだという。
教会と信仰の価値を問いかける。それが、異端解放戦線の主張につながる。
西洋的な発想なんだね。日本的農耕文化だと、百姓一揆となり一過性になる。
そして、異端解放戦線の弟に殺された兄とその妻の娘、ドゥラカ。ドゥラカはおじさんに育てられる。学び成長し、近代合理主義で金儲けを徹底する。そして、死んだ両親のことで泣いていた。
おじさんは、「神は存在しない。考えろ。そのために文字を学べ。物知りになるためでなく、考えるためだ。そのことで、知性が宿る。それがあれば、とどまる勇気と踏み出す度胸が得られる。そして、空から、信念が生まれる」と解く。
おじさんの信念は、「信念を捨てても生き残る」だという。その意味は、後でわかる。
おじさんは、隠れ家に酒を溜めて、一人で飲むのが楽しみだった。そして、C教のアントニ司教に捕まる。交換条件で、女を差し出すと言って、ドゥラカを連れてきた。その落ち合う廃墟の机の中に本があった。その本は、オクジーのかいたものだった。それを読み切ったドゥラカは、頭に記憶する。
おじさんが、ドゥラカをアントニ司教に差し出すときに、ドゥラカは本を持っていた。
その本は何か?と問われたら、異端解放戦線の人たちが襲う。おじさんは殺され、アントニ司教が逃げる。第6集で受け継いだのは、オクジーの書いたノートだった。ドゥラカがどう変化するのか?
異端解放戦線のシュミット隊長らは、本を渡せという。ドゥラカは、その本を燃やして、全部覚えていると言って、結局異端解放戦線の本部に連れて行かれる。シュミット隊長は、ドゥラカに世界を揺るがす三つの発明、火薬、羅針盤、活版印刷について語り、ドゥラカの本を活版印刷で印刷することをいう。そして本部に着いたら、異端解放戦線の組織長は、なんとヨカレンカだった。おもしろい展開。
C教のやり方や体質に疑問を持つ人たちの存在、C教の弱体化も窺える。 -
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ノヴァクは、バデーニの事務所を視察する。そして、オクジーのペンダントを見て、二人は異端者であることを見破る。簡単な挨拶をして、事務所を立ち去るノヴァク。
オクジーは何事もなかったと安心する。バデーニは、事務所を立ち去る決意をする。オクジーは、ネックレスが見つからなかったとバデーニに言うと、バデーニはすぐさま立ち去ることを決める。最悪を想定する。バデーニは書類を燃やし始める。そして、オクジーに、次の場所に行くようにいう。
オクジーは、全て資料を燃やすバデーニに「あまり他人を排除しすぎると間違い気づきにくくなるのでは?紙の上、計算で誤差を競うことはできる。でも、確かな証拠がない以上、本当に地動説が真理だと誰も断言できない。自らが間違っている可能性を肯定する姿勢が、学術とか研究には大切」という。
バデーニに対して、オクジーは辛辣な批判をする。バデーニは、前に自分の研究成果を友人にとられて、決闘してその友人を殺した経験があり、その決闘の時に顔の傷を作ったのだった。
なぜそんなことを言うのか?バデーニはオクジーに聞く。「職場の先輩や、ネックレスの異端者。自分以外に託すと言う姿勢に希望を見出してた」と言う。オクジーの正論はすごい。たとえ死んでも、信仰ではなく、真理は受け継がれるものだと主張する。
そうやって、話しているうちに、異端審問官の馬車の音が聞こえた。オクジーは、異端審問官たちの馬車を停めるために向かう。死ぬ覚悟をする。
なぜと聞かれたオクジーは、「地動説の意味を知った時、感動した。俺は、ちょっと前までは早く地球を出て、天国に行きたかったけど、今はこの地球(かんどう)を守るために地獄に行ける」という。
そして「俺は地動説を信仰している」といって、馬車に向かう。これまでが、第4集の後半であるが。オクジーの心境の変化は多きい。そして、バデーニと対等に話し、運命を共同する。
馬車から、4名の司祭とノヴァクが降り、戦いが始まる。
新人の尋問官に、ノヴァクは異端者にどうするか?と聞く。尋問官は「異端を殺す覚悟はできている」というと、ノヴァクは「本当に強い奴は、殺す覚悟のある奴じゃない。死ぬ覚悟のあるやつだ」という。
オクジーとノヴァクと戦う。ノヴァクに、オクジーは投降せよと言われるが、オクジーは投降を断る。オクジーは「この世に期待してみたくなった」という。ノヴァクは、異端者にブチ切れている。さっさと殺したいが、しっかり捕まえて、尋問し、再犯防止に努める必要がある。とにかく、生けどりするしかないのだ。オクジーは、矢にうたれ、捕えられる。
傷で眠っているオクジーは夢を見る。大学の授業を受けているのだ。教授は、なぜ地動説を研究するのか?を聞く。オクジーは「この世に期待するため」と言う。教授は、もっと大きな理念で動かされているのだ。大きな理念に気づきたまえ。と言われて、夢が終わる。この構成は、実にうまいなぁ。大きな理念とは?
そして、オクジーとバデーニは、ノヴァクに拷問を受ける。この第1集の一番初めの場面、オクジーの口の中に武器を入れて歯と唇を引き裂く。さらに、目を刺そうとするが、バデーニは目を潰すのはやめてくれといって、自供する。目を守りたいというバデーニの思いがすごい。そして、二人は首吊り刑に会う。火あぶり刑ではなかった。それにしても、ノヴァクの残酷な拷問。オクジーの目覚めた鮮やかな人生が、まだやりたいことがあるだろうに。
そして、司教の息子、アントニ助任司祭は、日頃ノヴァクを嫌っていたので、ここぞと言うときに、ノヴァクの娘ヨレンタを異端尋問にかける。C教内のアントニとノヴァクの権力闘争にヨレンタは巻き込まれた。ヨレンタは、捕まえられて、拷問にかけられる。若い司祭が、ヨレンタを逃亡させる。ヨレンタは、なぜと問う?若い司教は、C教とは、生き方だと思う。だから、あなたを殺させるわけにはいかないという。
そして、そのことをアントニ助任司祭に見つかる。若い司教は「汝の敵を愛せ」とつぶやく。
アントニは、「ヨレンタは異端だった。そして処刑した。その後死体を火にかけた」とノヴァクに伝えろという。そして聞いた司祭は、死体などないというとアントニは逃した若い司祭を殺し火あぶりにしろと命令する。アントニもノヴァクと変わらない狂気の司祭だ。あくまでも、自己保身の対応だ。
ノヴァクは、アントニからヨレンタの手袋を渡される。ノヴァクは、ヨレンタの手袋の思い出にしたりながら、泣き崩れる。
神童ラファウが第1集で処刑され、それを引き継いだオクジーとバデーニは第5集で処刑される。
さて、第6集から誰が主人公となるのか?逃げたヨレンタがどんな風に登場するか?
コペルニクスが、地動説を発表するのが、1543年なので、『チ。地球の運動について』の物語の100年後である。まだ、たくさんの地動説を信じる異端の犠牲者が登場するのだろう。 -
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本作品は、独特の雰囲気を持つ漫画である。タイトルの「チ。」は、地球を指し、「ちいさな」または「ちょっとした」を意味している。題名のセンスがいいな。記憶に残りやすい。
物語は、「硬貨を捧げればパンを得られる」「税を捧げれば権利を得られる」「労働を捧げれば報酬を得られる」といった言葉から始まる。そこに対して問いかけがなされる。「なら一体何を捧げれば、この世の全てを知ることができるのか?」
舞台は、15世紀前期のP王国の某所である。ここでは、C教に背くことは異端思想とみなされる。異端者は火あぶりの刑に処せられる。火あぶりに処せられると、肉体は灰となり、最後の審判による復活の身体も失われてしまう。
宇宙の中心について、神の愛であると考える生徒に対し、主人公のラファウは、宇宙の中心は地球であると主張する。地球では重いものが落ちることから、最も下にあるとされ、それが中心だという。つまり、周囲の天体は回っていると考えるわけである。
ラファウの義父ポトツキは神父である。ラファウは孤児として生まれ、ポトツキが息子として育てた。ラファウは、12歳で大学に進学し、神学を専攻しようとする。彼の信条は「合理的に生きる。合理的なものは美しい」である。ラファウは、自身を清廉で聡明、謙虚で有力な人物と自負している。
天文学への関心も高いが、義父からは観測や天文学をやめるように言われている。一方、義父の知人であるフベルトの身柄を引き取るよう命じられる。フベルトは元学者であり、禁じられた研究:天文学を行っていた経歴を持つ。ラファウは、フベルトに会うことで変化を迎える。
フベルトは目が弱っているため、天体観測にはラファウに手伝わせる。地球中心の天体図を書かせ、「これが美しいか」と問いかけるとともに、地球が動いていることを告げる。フベルトは、地球の公転と自転について語る。それは「地動説」と呼ばれるものである。
ラファウは、その話に深く考えを巡らせ、ノートに記録する。しかし、そのノートが異端審問官ノヴァクの目に触れる。フベルトがそれを自分のノートだと申告し、連行され死刑に処される。後に、フベルトの遺した手紙を読み、資料を受け取り、地動説の証明を頼まれる。
この物語は、聖書の教えと天文学の対立を描いている。聖書の教えは天動説を支持しているが、ラファウは地動説を信じたいと誓う。その証拠や根拠を求め、真剣に考える中で、ラファウは下書きを燃やす。ところが、その下書きを義父ボトツキに見つかり、間違いを指摘される。やがてラファウは義父に密告され、宗教裁判にかけられることになる。そして、ラファウは最終的には火あぶりの刑を受ける。
フベルト、ラファウは、地動説が正しいと主張し、死んでいく。科学と真理を信じて、殉じる。
本作品は、科学と宗教、信念と権力の葛藤をテーマにしており、地動説をめぐって、歴史的背景と人物の心理を巧みに描いている。 -
Posted by ブクログ
めっちゃよかった、真理をめぐるひとの想いが紡がれてる様、素敵
心に残った言葉たち
・もし過去の積み重ねの先に答えがないなら、真理にとって我々は無駄だったかもしれん。しかしたとえ誤ちでも何かを書き留めたことは歴史にとって無意味ではないと、願っている
・私達の人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められている。だけど、文字を読むときだけはかつていた偉人たちが私に向かって口を開いてくれる。その一瞬この世界から抜け出せる。文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来のだれかを動かすことだってある
・自らが間違ってる可能性を肯定する姿勢が学術とか研究には大切なんじゃないかということです。第三者による反論が許されないならそれは信仰だ
・あの人は私に印刷機を貸してくれるって言ってくれて、その一言は本の内容と引き換えに引き出した言葉だし、ヨレンタさんからしたら軽い気持ちの何気ない一言だったかもしれないけど、でも私にはあの声が私の価値観への私の未来への肯定に聞こえた。きっとここにいるひとたちもヨレンタさんにこの組織にそう思った瞬間があるから、ここにいるんだと思う -
ネタバレ 購入済み
生涯を賭けた研究と観測データ
オグジー&バデーニは然るべき能力の持ち主を探すため、街の掲示板に設問を掲示し、それをヨレンタという14歳の少女が半日で解答します。
女性であるが故に無意識に差別されて天文学の研究からは遠ざけられていますが、ピャスト伯はそうではないようです。
たふぁ半世紀をかけて天動説を完成すべく師匠から研究を引き継いできても、完成には程遠く、最悪それは大前提が間違っているからでは?と満ちた金星を見た気がしていたので、疑念はあっても踏み切れなかったようです。
抜群の視力を持つオグジーが金星を観測し、満ちているのを確認するのは実証科学の手法でしょう。少なくとも金星は太陽の周囲をまわっていないとこうはならないのです。
オグジー
&バデーニは一旦ヨレンタさんとは別れ、ピャスト伯の観測データ等を譲り受けます。
文字が読めるってどうですか?と問い質すオグジーに、ヨレンタさんが地の集積との対話ができるのがまさに奇蹟みたいですと言われるのも名場面でした。
ピャスト伯みたいな人も多々いるでしょう……。 -
ネタバレ 購入済み
秘密の箱がつながります
グラスとコンビを組んでいるオグジー、代闘士という決闘の相手を代わりにしています。
グラスは2人による護衛任務で異端者と会話し、様々な感情をいだいたようです。
この異端者はノヴァックに刺されますし、グラスはこの後、橋が崩れて落下するときに、遺言のようにな話をして例のペンダントをオグジーに伝えて落下死してしなす。
1人、バディーニなら話が通じるだろうとオグジーは面会し、ここで例の箱なども見せ、宇宙が変わるぞ、と聞きます。
火星逆行の謎、の真実を説明するのにこのお2人がある中心点を廻ると、外側(火星、バディーニ)の動きが遅くなり、とまって逆向きに動き出すのが実感できるのです。
非常に分かりやすい地動説の説明でした。
名セリフが多々出てくる作品です。
最後は視力が非常に優れているオグジーが空を見るのが怖かった筈のところ、一大決心をして綺麗な夜空を見ていました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公補正が強そうだなという第一印象から一転、あまりにも早い物語からの退場に衝撃を受けた。命をかけてでも追い求めたい真理、そのために僅かな可能性に賭け、それを誰かに託す。
天動説、地動説、天文など理系がテーマかと思いきや、文字が奇跡であること、信念を貫くこと、またそれを疑うこと…人文学や哲学など、文系にも深く根差した物語だった。
人間ってどうせ死ぬし、自分が生きてる意味は無いという前提を持っていたが、自分も広大な歴史のごく小さな1パーツとして存在していて、もしかしたらそれが何か後世に影響をもたらすのかもしれないと思えた。後世に何を遺せるか、自分の命をどう使おうか、そういう考えを持てた。
久しぶりにこんなに漫画にハマった!!!!
全人類に読んでほしい作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本で得たいこと・背景
陰謀論にハマっている人は「みんなは気づいていない。私は気づいている」という選民意識が掻き立てられるのだろうと想像していた。ただなぜハマるのかがわからなかったので、その過程が描かれているだろうこの本を手に取った。
気づき
人生が自分の思い描いたようになっていないという不満、それは誰かがそういうふうに操っているからだという責任回避の思考、認知能力など様々な要因があるのだと思う。
人生を良くしていきたいという願望を主人公が陰謀論を信じることで、叶えられると考えている。一種の救いや希望になっているように感じた。
またこれは陰謀論に限らずだが、必要とされていることによる承認欲求や自己肯定感が刺激され、のめり込んでいく構造も面白いし、明日は我が身とも感じられる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一気に見た。
地動説の知識が、関係者ではなく、
偶然そこにいた他人に渡り歴史になっていくところが面白かった。
一方で、敵役がずっとノヴァクなのも良かった。ノヴァクは正義のために地動説信者を処刑しているが、最後にこの歴史の悪役であることに気付いた。
なぜ、元傭兵が聖職についているのかということも最後に明かされた。
処刑された主人公たちは、
最初は賢く生きようとしたり、死を恐れていたりするが、
最後には次の主人公に歴史を託し満足して死んでいくのが印象的。
ヨレンタは自爆したが、
ノヴァクの顔を見て予定より早く火をつけた感があった。
ノヴァクはヨレンタの顔を一瞬見ていて、
飛んできた手を常に持っていた。
最後手袋をはめて、死んだが、
自分の娘が異端解放戦線のリーダーとして、
ラファウや、バデーニ、オクジー、フベルトのように真理のために生きたと、
理解したというか、理解していた自分に気付いた感じがあった。
クラボフスキのところはよく理解できなかった。
バデーニは浮浪者にパンの代わりに本の刺青
浮浪者は読めないので情報は漏洩しない
バデーニは死ぬ可能性があるとかんがえ、クラボフスキに浮浪者に対応するよう手紙を書いた
浮浪者はパンが欲しくてバデーニの教会に
浮浪者の頭の文字をクラボフスキが本にした
最終話でポトツキの家に報酬が届き、
それをアルベルトがみて、のちの地動説のヒントにした
時代が変わり、
アルベルトの弟子であるコペルニクスが地動説を世に広めた
各主人公たちが残した小さなバトンが、
長い年月をかけて次の主人公に偶然渡って、
偶然それを手にした人たちが歴史の主人公になっていく感じ