魚豊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
元陸上部で短距離でした。陸上で学んだことは、どうやっても勝てない人がいるということです。まさか、漫画でそんな残酷な現実を表現するとは…。漫画なんだから、もっと夢のある世界を描けばいいのに。
それでもスポーツ漫画の王道的な熱さもあって、夢と現実の温度差で涙が出てきます。
ゲームじゃないから駆け引きとかもないし、勝てない相手にはどうにもならないし、でも、だからこそ熱くなれたし、虚しさからも一時解放されました。
陸上は一人しか勝者がいなくて、後の全員は人生かけてもそこには行けなくて、それでも何のために走るのか?
作品を読みながら考えてみてください -
Posted by ブクログ
(一週間昏睡状態から目覚めた)
オクジー
迂闊にも憧れて、求めてしまったからだと思います
何を
自由を
ノヴァク
自由なんて聞こえはいいが、規範がないなら獣と変わらないではないか
オクジー
今ある規範を疑えないなら、それも獣と大して変わらない
84ページ
復元されるのは君の文章だ
あれは論文としての価値はないが
感動
が伝わる可能性は高いだろう
この世に何かを残して、全く知らない他者に投げるのは、私にとって何ら無意味で無価値だ。しかし、不思議なものでそれを無価値だと判断しない領域もあるそうだ。例えばーーーー
歴史がそうらしい。
墨で書かれた虚言は、血で書かれた事実を隠すことはできない。
魯迅
花にきバラのニ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「浅く考えろ 世の中舐めろ 保身に走るな 勝っても攻めろ」
「不安とは君自身が君を試す時の感情だ 栄光を前に対価を差し出さなきゃならない時 ちっぽけな細胞の寄せ集め1人 人生なんてくれてやれ」
財津の言葉が人生とか物事の価値とかを考えすぎてしまう私にとても刺さった。
ちっぽけな細胞の寄せ集めって、、え、、って笑
結局考えて考えて考えた先に他人からの評価や社会的な意義なしにただただ好きだから走るというのが
好きな食べ物の理由を聞かれた時になかなか答えられないような感じでそれでも生きる上で大切な視点だと思った。
映画も絶対観ます!!!
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Posted by ブクログ
ネタバレ時は暗黒の中世ヨーロッパ。主人公ラファウは神童と呼ばれるほど優秀で、神学校へ進学することを期待されていた。当時は異端審問官が「異端」の疑いありとする人を拷問にかけ、C教の教義と少しでも外れると異端者として火あぶりで処刑されることが日常茶飯事だった。ラファウは「異端」として道に外れない様時には嘘をつき要領よく振る舞うことが得意で、この世は「チョロイ」と思っていた。だがある日、異端審問から「改心」した謎の男を受け入れて世話することになり…
「それでも地球は回っている」と「地動説」を唱え、教会から「異端」とされ処刑されたガリレオ・ガリレイに至るまでの、沢山の「天文」に取りつかれた人たちの物語。
ラファウには要領よく振る舞うことも、嘘をつくことも簡単なことだった。だが、「地動説」に出会い、それこそが真理なのだと気付いた人が、その真理のために命をなげうつ様を見た。そしてラファウもまた、自然が真理を証明していることを誤魔化せずに命を捨てる。星の動きを観察すれば、動いているのはこの地球なのだとの結論に至る。それが「異端」とされる考えでも現象はそちらが正しいことを示し続ける。「真理」に気付いてしまえば、やはり「それでも地球は回っている」と処刑されると分かっていても叫んでしまうだろう。
現代は科学が進み、「地動説」は当たり前となった。その「当たり前」が「当たり前」になるまで、沢山の科学者が屠られてきた。「神」の名の下に。真理を知った後にラファウから見た世界は、どれほど歪なものに見えただろう。真理を「異端」として研究することを禁止し、誤った教義を押し付け学ぶ自由もない世界。いつかもっと沢山の気付く人が現れて、今の誤りを覆せる日が来るだろうか-。ラファウ、覆ったよ。とても長い時間がかかって、その最中にある君たちからみれば無意味かもしれないけれど。
現代科学の礎となった天文学や物理学は、「異端審問」と科学者の戦いの結果だ。科学の恩恵を享受している現代人が、その恩恵の影にあった悲劇を知らずに、生きることに退屈したり失望していてはいけない。何よりも「考える」ことを縛られる当時の恐ろしさを知っておかないといけない。自由に考え、望み、学び、どこにでも行き、発言する。ラファウが夢見た世界に生きている素晴らしさを感じよう。 -
Posted by ブクログ
常々思っていたと言うとアレですが、
歴史物で「人の意思は受け継がれる」と言う割に1人の人生を重んじすぎでは?と思っていたのをとても上手に体現してくれたような。
チ。というテーマに沿って数々の人の想いが受け継がれていく(つまり主人公と思ってた人がバンバン死んでく)。
そしてその想いが結実するだいぶ前に物語は突然終わる。というかつまり、歴史上では「始まる前の」物語だったようだ。
個人的には、尋問官が物語の軸のように見えるのがやだなーとずっと思ってたら、チの意味の一つを担ってたり、最後「同じ時代を生きる仲間」のようなメッセージで、より高い視点を持たされてはえーってなった。
自分の生き方を振り返ったりさせてくれる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ■「100mさえ速ければ、すべてを解決できる」という全能感。 足が速いという天賦の才が、教室での居場所や友人関係を担保する唯一の通貨となる小学生コミュニティの絶対のリアリティから始まる。100mというわずか10秒足らずの直線が、世界と自分を繋ぐ唯一の「橋」であるという切実な生存戦略が、物語の序盤から胸を打つ。
■特筆すべきは、安易な友情や精神論を突き放した先にある、乾いた熱量。「100メートル速くてなんかあるの?」、「そんな意味ないこと、いつまでやるの?」という冷笑を認識しながら、それでもなお「今、熱いか」を自らに問い続ける。
どうせみんな死ぬので、会社頑張っても、100メートル頑張っても一緒。なら、熱い方が人生は豊か。
■何者でもない者が、ただ「速さ」という一点においてのみ世界を圧倒しようとする美しき執着。 本作は、のちの『チ。』にも通ずる、既存の価値観から逸脱してでも「個の真理」に殉じようとする人間の覚悟を促す。人生を賭けるに値する何かを渇望する者にこそ響く、鮮烈な一冊。 -
Posted by ブクログ
相対性理論に関する本を読んでいた時に、特殊相対性理論はアインシュタインがいなくとも、それほどの年月を待たずに何者かが発表したであろうという文章があった。すなわち特殊相対性理論の発見は、それまで積み上げられてきた研究内容に対して、ひとりの天才のひらめきと理論により完成したもので、「アインシュタインが存在しなかったのなら特殊相対性理論は生まれなかった」というわけではない、ということだ。革新的な発見は何者にも代えがたい世紀の天才によるものだと思っていたので、意外だった。先人からバトンを受け渡され、そのとき、理論のもっとも完成に近いタイミングでアインシュタインという天才がいて、最後のピースをはめることができたのだという。
世の中の常識を覆すような「知」のバトンを受け渡す者と、それを「血」にまみれながら阻止しようとする者の物語が「チ。-地球の運動について―」という作品だ。ただ、最終的に受け渡されたのは「知」でも「血」でもなく、「想い」だった。研究資料は全て焼かれ、「地球の運動について」を記した本が世界に広く普及されることもなかった。志を受け継ぐ者は全員死に絶え、後世に彼らの名前は残らない。ただ、彼らを突き動かした「タウマゼイン」――「?」という疑問を持つこと、そしてそれに伴う感動は、ひとつのメッセージに乗って、後世に届いた。そしてその「?」がコペルニクスにまで行きついて、「地動説」の発表につながったのかもしれない。
最終巻、コペルニクスにつながる存在として登場するアルベルト。彼を導き、そして絶望させる存在として、ラファウさん2号(便宜上、1巻に登場する子どもラファウさんを1号、最終巻に登場する大人ラファウさんを2号と呼ぶ)が出てくる構成が良かった。12歳でこの世を去ったラファウさん1号が神聖化されつつあるなかで、ラファウさん2号は自身の信念のために容赦なく人を殺す。ラファウさん1号がもし生き延びて大人になったときに、この物語とはまた違った、もっと狂気にまみれた景色があったのかもしれない。この物語において地動説を信じる者をただ肯定しない仕掛けのように感じた。
最後に、様々な人間の想いと死を通して、「知」のバトンが渡されていくこの物語の根底には、ヨレンタさんの「文字は軌跡」という言葉がある。研究資料の多くが失われるなかでも、「ポトツキさんに利益の1割を」というメッセージは、その意図がくみ取れなくなるほど時が経っても、文字として受け継がれ、そのメッセージをきっかけにアルベルトの「?」につながった。先人の研究を後世に引き継ぐ決意と、これまでの研究に対する敬意、そして文字の軌跡が重なってこのラストにつながる。
マンガを読んでこれだけストーリーの余韻にひたるのは久しぶりな気がする。すごい物語を読んだものだとしみじみ思う。