魚豊のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
この巻の主人公が、平和に生きたい波風立てず生きたい。当然痛いのは嫌だっていう考えを持ってて、この主人公だけじゃなく影響を与えた異教徒も誰もがそう思っているのに、それでも真理を追求せずにはいられない。それを解き明かすためなら自死も厭わない。今まで読んだマンガの中で一番誰も彼もの人生が煌めいてて、本当にすごいです。語彙力なくてもどかしい。すごく面白い。このマンガに出会えてよかったです。
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購入済み
歴史の厚みを何と取る
長きに渡る時間をかけて踏み締めた道のりが、たとえば進む方向が間違っていたとして、進んだ道そのもの全ては果たして無駄であったのだろうか。費やした時間は、それまでに消費したものは、得た経験は、何の役にも立たぬがらくたであったのだろうか。
到達を強く夢見ていた者ほど、徒労に終わった事実は耐え難い苦痛となるだろう。
しかし、その苦痛は、長きにわたる研鑽は、必ずしも全く無駄であったと言えるものではない。
同じ志を持つ者、これから同じ道へと歩みを進めようとする者の背中を押し、道を照らす灯火の一つとなることだろう。 -
購入済み
受け継がれていく
考え尽くした知が、流した血が、去りゆくものが踏み締めた地が、受け継がれていく。託されていく。「託す」とは、去りゆくものに残された権利である。
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購入済み
理屈と理性より本能と直感
知識欲と美意識を胸に抱いた人間たちの戦いの物語。理性では過ちだと思っていても、己が本能は解を求める。その本能は受け継がれ、やがて幾重に積み重ねられた屍の上に真実が見つけ出されることを心から願う。
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ネタバレ
読んでよかった
秀吉のうんこが、めぐりめぐって今の私たちの命につながっているというようなことを語っていた学者がいて、つまりうんこは土の中で分解され、やがて誰かの栄養となり生命は連鎖しているということなのだそうだ。本作を読んで、ふとこのエピソードを思い出してしまった。
「チ。」の中では様々な人物が、志半ばで死ぬ。思いを遂げられずに死んだりする。
しかし彼らの”思い”は、彼ら自身がそうと知ることはなくとも、何かしらの形で別の誰かに引き継がれ、つながっていく。
引き継いだ側の人間は、志なかばで死んだ人間のことなど知る由もない。時には受け継いだという意識すらない。
今自分が生きているこの世界はまさに、ずっ -
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チ
ノヴァクの最後のセリフが印象的でメタ的に見えて会話として成立しているところに感動します。
託すことで、ある意味ぶつ切り的に繋がっていく物語の中で縦軸として存在し、途中からは家族を含めて巻き込まれていく様はまさに裏の主役でした。
故に彼の退場後の話はエピローグでしか無かったですが作者の『知』に対する論理的解釈を見させてもらいました。
また次回作期待しています。 -
ネタバレ 無料版購入済み
情熱を捧げる、とは。
地動説を唱えるもの、それについて勉強するものは、
体罰が。2回目は死刑。冒頭から手厳しいシーンがあり
意外な程に内容の濃さに惹かれていきます。
ラファウは基本地頭が良く飛び級で大学へ行ける段階に
なったところである地学者と出会います。世の中イージーモードで
軽く見ていたラファウは地学者の天文に対する情熱に
どんどん引っ張られていきます。私はこの時点でラファウが
この本の主軸になる人だと読んでいたのに
あっさりと裏切られてしまいます。
そしてラファウ自身が12歳にして気づくんです。
あることに情熱を捧げるということは命を懸けて研究することだと。
最初の地学者から受け取ったバ -
チ。
新しい説を唱えることが、どれだけ大変だったのか…厳しい拷問にも屈しない人々が居たから、今があるんだなと考えさせられました。拷問シーンはキツいのですが、とても面白い。この先、どういう展開で地動説が正しいということになったのか興味をそそられます。