魚豊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
NHKアニメの再放送 をたまたま見て、先が知りたくなり原作コミックを夢中で読んでいる。
地動説が必ず迫害の対象になったかは意見が分かれるらしい。確かに聖書に何も反していないような気がする。以下Wikipediaより。
-----
地動説について言及する際には、必ずと言っていいほど、「地動説を唱える者はキリスト教会によって厳しい迫害がなされた」という主張がされる。しかし、ジョンズ・ホプキンス大学シングルトン前近代ヨーロッパ研究所所長、科学史教授、化学教授で、アメリカを代表する科学史家[46]のローレンス・M・プリンチーペ(英語版)は「科学者と宗教家の勇壮な戦い」という構図は、19世紀後半に考案さ -
ネタバレ 購入済み
命にかえても
冒頭から拷問で口が裂けている人が出てきます。
12歳で大学への入学が認められたラファウ、大学では神学を学ぶと言いますが、ある異端者・フベルトに出逢います。
天動説はあまり美しくはないだろ?という発言もあり、ラファウは6等星まで観測できる視力の持ち主です。この辺から地動説の話が出てきて、ラファウも直感的にこれが正しいのでは?と感じます。
フベルトが箱に入れていた資料、あとオリオン座の三連星をモチーフにしたペンダントがこの作品のキーアイテムです。
フベルトも、そしてラファウも命に替えてでも自分たちの感じた感動を後世に残そうとしていましたが、異端審問官で元傭兵のノヴァックは仕事として当然のように異端 -
Posted by ブクログ
ネタバレアントニ司教に「勘違い」と言われた時のノヴァクの
絶望…
ラファウの最期に痛みを感じたが、それを無視したと
いうノヴァク。自分のその感情に問いかけることなく
考えることを拒否した結果だとは言え、勘違いという
一言で片付けられては堪らない。
たった一人の人間(司教)の考えで、教えに反するこ
とかどうかが決まるというのは恐ろしい。
でも最後にヨレンタに”会えた”のは良かった。
突然、舞台がポーランドに移った時は驚いたけど、そ
れまでの話は、よく聞くようにパラレル世界なのかも
しれないし、こういう事があったかもしれないという
フィクションかな。
まぁ アルベルトの若い頃のことは知られてないような
-
Posted by ブクログ
地動説から
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神まで。
信じることと疑うことの矛盾ができるのが人間。
語りたいことは山ほどあるが。
最後にラファウ自体も相対化されているのがいいし、これがおそらく、現代の様々なものを繋げて探究してしまう、陰謀論を書こうと思ったキッカケにもなっているのかも。
神が死んだ時に、
大学でまなびたくない、という自分の希望をねじまげて、倒立させて、その思想に染まる、ルサンチマンは良くない。
神が死んだ時、信念を持てるか。そして次世代に贈与することが自分の死に繋がったとしても良いか。それはつまり、生き甲斐を、神、信仰、死後の世界なしで見いだせたということ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレバデーニが気持ちいいくらいに差別的で笑えてしまう。
皆が書くことを学んだら、ゴミのような情報で溢れか
えってしまう… 確かにそうかもしれない。
でも、情報を「ゴミ」と判断するは「誰」?
政府がネット情報の規制(検閲)の必要性に言及して
るけど、政府に判断させるの?
有識者?TVで偉そうに話してるコメンテーター?
バデーニの言うことは検閲以前のことだし、確かにゴ
ミのような言葉を吐く人もたくさんいるけど、様々な
アイデアを持った人や違う考え方をする人がいて、そ
ういう人から学ことも得ること多い。
そこが人間の面白いところでもあると思うんだよね。
学術や研究に大切なのは「自らが間違っている可能性
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「物理の前提が「嘘」だとしてもそれは公表されない。
何故なら、絶望した研究者が自死を選択するから」と
言っている人がいる。そのことを教授とピャストを見て
思い出した。
そして思い出すのが「不正解は無意味を意味しない」。
不正解だったとしても、それまでの観測や記録や計算
は無意味なものじゃないし、その中での発見も多いと
思う。命をかけてでも取り組む研究に成果がどれほど
重要かは想像はつくけど…
希望も夢も見出せない世界で、ひたすら「天国」へ行
けるよう教会の教えに沿って生きる - そんなオクジー
の発言は聞くのも辛い。格差ある世界を作ったのも、
維持しているのも神様ではなく人間なのに。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいると、作中のことは、異常に、非情に見える
けど、現在起こっていることとさほど変わりないな
と思ったりする。
国民の生命や健康に関わる事でも、思考停止で「仕事
だから」の一言で執行する政治家とか?
今回石箱を託した異端者が語った「悲劇を肥やしに新た
な希望を生む」も興味深い。
地獄があるとしたら「この世」こそが地獄だと思うと
言ったアメリカの牧師がいたけれど、「天国」が人々の
希望ではなく権力者が人々を制御するツールになって
しまっている気がする。
異端者を移送中の聖職者がノヴァクに「信仰の安定を
守るために働いている」も面白い。
安定させなきゃいけないと思う時点で、それはもう信
仰では -
Posted by ブクログ
ネタバレアニメを観て「面白い」と思って、数話で観るのを
やめて漫画を揃え始めました。アニメは読み終えた
後に、一気に観ようと思ってます。
やはり印象的だったのは、ラファウがノヴァクに、
「敵は僕や異端者ではなく、想像力であり、好奇心
であり…知性」だと言う部分。
あと好きだったのは、フベルトが、神を信じるから
こそ追求するし、神が作ったこの世界はきっと何よ
り美しいと断言するところ。
知り合いの外国人が、このアニメは難しいから観て
ないと言ってたけど、この作品は地動説に関してる
けど、核心はそうじゃないよね。
教会が信じることこそが真理で、それ以外は認めな
いし、疑問を持つことも許さない…。なんて暴 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1巻から読み始めたが面白すぎたので次々と続きも買ってしまい、昨日読み終えた。
天文と哲学と歴史と人の感情の話だった。
地動説を次々と命を投げ打ってでも伝えていく心意気が読んでいて胸に刺さるし、その手法も自分では思いつかない驚かされるものばかりだった。
解説とか読めば読むほど考えさせられるし、この漫画自体が1つの哲学書みたいな感じだった。でも堅苦しく見せるのではなく、アクションもあり、頭脳戦もありでエンターテインメントとしてしっかり消化されているのがすごい!
それぞれのキャラクターに対する言葉選びが本当に素晴らしいなと思い、ラストの終わり方にも私は痺れました。言葉に詳しい人になりたい。
死ぬ