地動説は美しい、命をかけても惜しくないほどに。
皆さんは地動説:太陽を中心として地球など惑星が回っているという学説を当たり前に知っているかと思いますが、それが当たり前ではない時代がありました。
それまでは天動説:地球を中心に太陽などが回っている説が当たり前という認識でした。
天動説は宗教的にも正しいとされ、それ以外の考えは異端思想であり、最悪火炙りの刑に処されてしまうこともありました。
この作品はそんな時代に生まれながらも、地動説の美しさを信じ、時代に抗った人々の物語です。
この作品の一番の魅力は地動説を信じ、己の意志を貫こうとする登場人物たちであり、読んでいて胸にこみ上げてくるものがあります!
歴史や科学好きだけではなく、現在に生きるあなたにきっと刺さる作品です。どうぞお手にとって読んでみて下さい。
感情タグBEST3
本の出版
今ではありふれている本だけど、この時代は本一冊造るのにとても苦労しているのかと実感しました。
次巻でついに完結!
匿名
「やっぱり文字は奇蹟ですね」
現代の日本人には当たり前のことでも、文字に触れることなく一生を終える人達が過去や現在にいることを意識させられる。文字とは様々な可能性を秘めた重要なものだったんだと感じた。
Posted by ブクログ
9歳の人が39歳になってた。この短い巻数でこの歳月が経ってることから、物語の早さというか激動の流れは想像に難くない。
色んな人が混じり合い、結果的な行動が同じでもみんなそれぞれの思いや信念・思想を持ち、『そもそもこの活動をしている理由や契機はなんだ?』と初心に帰らされる内容が多かった。逆に、改めてそれぞれの立ち位置や行動の理由を明確にしていたとも捉えられる。
本作は明らかに話が進んでいて、物語のクライマックスに向かっている感じが強い。言葉の一つ一つに造詣があり、長年のそれぞれのキャラが考え抜いた言葉が紡がれていた。
それにしても、マジで絵が上手くなったな。絵の違和感がほぼほぼ全くないし、構図とか見せ方が上手くなりすぎてた。
というか次最終巻なのか。そしてすでに発売しているようだ。令和に出てきたトンデモナイ作品が終わってしまうのは悲しいがこれもマンガの宿命か。
Posted by ブクログ
いよいよあの父子を中心に話が回る…かと思いきや…。
やはり全編を通しての主人公は彼なのだろう。
次巻で完結するそうなので、どう着地していくのか楽しみ。さまざまな歴史を織り込んで、宗教と科学の折り合いをどうつけていくのだろうか。
相変わらずの重厚感
フィクションだとは分かっていても、中世の歴史を見ているかのようなリアル感と熱い哲学のような言葉に圧倒される。ヨランダの父との再会とすれ違いのドラマ部分も良かった。個人的には活版印刷作業の描写が非常に興味深かった。
Posted by ブクログ
物語のコペルニクス的転回。
宗教と科学、中世と近代、集団と個、信と利、停滞と進歩。
あれほどに絶望的に盤石であった、教会が、国家が、権威が足元から揺らぐ。
人類が宗教という揺り籠から科学の厳しい大海に出ていこうとする話。
Posted by ブクログ
活版印刷キター!!ドゥラカとヨレンタの出会いにより、地球の…世界の歴史を変える時がついにきそう。「君が逃げろ。我々が守る」は鳥肌でした。1巻からずっといるあの異端審問官との対峙(バトルではないが)も見逃せない。単行本待てないなあ〜リアルタイムで完結を追いたい。果たして希望ある完結となるのか。光あれ
Posted by ブクログ
地動説を巡る物語、第3章第2巻目。
父・ノヴァクと、娘・ヨレンタの再会は叶わず。もし叶うとすれば、『地球の運動について』が出版され、発行人の名前をノヴァクが目にするときだろうが、その場面が実現したとして、それはノヴァクにとって祝福となり得るのだろうか。
「地」と「知」と「血」を底に据えながら、人と人との偶然の出会いや、思いの継承を描いてきた作品だけれど、ついに次巻で最終巻とのこと。異端審問官から逃れたドゥラカとシュミットが誰に出会うのか、何を継承するのか、続きを待ちたい。
彼は知らないのか
ヨレンタが自爆した際の、ノヴァクの一瞬の逡巡。火の灯りでヨレンタの顔が見えてしまったからなのか。それは読んだ限りではまだわからない。ヨレンタは父と相対した時にどうするのかを考えていたが、当の父親の方はどうだったのだろうか。
匿名
もう、次で終わっちゃうの…!?と、衝撃です。
登場人物たちの人生の疾走感がとてもすごくて作品自体も駆け抜けていく印象があります。
ちょうど、この辺の時代に興味あったので次の最終巻もすごく楽しみです。
Posted by ブクログ
本来ならば、こんな長期連載になる様な話ではない。
あらすじ解説は数行で済む。
15世紀中世、天動説が唯一の真理とされ、地動説を称える者は火あぶり含む凡ゆる迫害を受けていた時代において、それでも「地球は動いている」ということを証明しようとした者たちの列伝である。
第1集に於いて、既に「自分の生命よりも大切なことは何か」という、本作の大きなテーマは出尽くしている様に見える。そのあとにはよくある英雄物語にに変化する。と、私は予想していた。命を賭して守った「論文」を巡って、異端審問官たちと渡り合うバトルマンガになるのか?‥‥ところが、1度までか2度も、彼らの遺した「論文」は、歴史の中に埋もれる。ヒーローは勝利しない。
これはホントに天動説対地動説、つまり「地」の物語なのか?描かれるのは「血」にまみれた世界だ。
これは地動説の物語を借りた、戦前の共産主義者対特高のメタファーなのか?確かにノヴァクの執拗な異端追求そして拷問は、かつての特高を思い起こす。ただ、それが第7集にもなる様な大長編になるとも思えない。
そもそも第1集で作られた「論文」が、決定的な文章だとは思えない。形を変えて、次から次へと復元され、最後は全く違う文章になる。第5集に於いて復元されるのは「理論」ではなかった。「感動」だった。そしてこの巻に於いて更に重要なことが語られる。
「この世に何かを残して
全く知らない他者に投げるのは
私にとってなんら無意味で無価値だ。
しかし、不思議なもので、それを無価値だと
判断しない領域もあるようだ。例えば‥‥
歴史がそうらしい。」(86p)
「この世を変えるのに
必要なものは知です」(169p)
私たちは知っている。
やがて歴史は、天動説から地動説へと
「知」が、
コペルニクス的転回を遂げる。
15世紀初めから始まった物語は、第五集で10年後、第6集で更に25年後に飛躍する。
それでも「たった」35年しか経っていない。
しかし、コペルニクスが論文を書くのは16世紀の初めなのである。更に言えばガリレオが裁判にかけられるのは17世紀の初めだ。ともかく「歴史の転回」まであと半世紀以上ある。
C教(キリスト教?)とかP王国(神聖ローマ帝国?)とか、架空の言葉が使われているのは、当時異端審問でこんな酷い拷問は存在しないという説があるからだろう。そうかもしれない。そうでないかもしれない。マンガの視覚的効果を狙っているだけなのかもしれない。それは歴史が後に決めることなのかもしれない。
さて、第6集7集の15世紀中頃のお話について一言のみ。
この頃、何故かC教正統派は弱体化しているらしい。代わりに台頭しているのはC教H派(ルター派?)。なおかつ、爆薬と羅針盤が既に開発されて、もう一つ作られたばかりの「活版印刷」によって、5集から生き残ったヨレンタたちはH派に「感動」つまり『地球の運動について』の本の「情報の解禁」を始めようとしているらしい。
話はかなり広がっているが、
「信念とは何か」「信仰とは何か」が語られる。
もはや、地動説の根拠たる「科学とは何か」は
後方に追いやられる。
1〜7集一気読み。次回、最終集?
2022「このマンガがすごい」オトコ編第2位。
2021「マンガ大賞」第2位。2022年第5位。
結末は未だわからないが、大河物語風の作品で、最後をハッピーエンドで終わらせないとしたら「進撃の巨人」以来、21世紀のトレンドのひとつを踏襲しているのかもしれない。
「世界は残酷」だけではない。
「世界はフェイクニュースだらけ」。
という若者の世界観を反映しているのかも。
Posted by ブクログ
いやぁ〜今回も読んでいて胸が熱くなりました。本当にすごい漫画だなぁと思います。
「この“今”はその大いなる流れの中にある」
この世の中に「偶然」はないのでしょうね、きっとすべては「必然」なのでしょう。
実は「彼」こそが、この漫画の主人公だったんじゃないかと思えてきました。彼は娘と「再会」できるのでしょうか?
ついに次巻で最終巻!!!だそうです。
うわぁ〜終わって欲しくないなぁ。
そして今回の帯はなんと朝井リョウさん!
先日『正欲』を読んで衝撃を受けたばかりです。
あの朝井さんと同じ漫画を読んでいるのかと思うと、ちょっと嬉しいです。
Posted by ブクログ
20冊目『チ。 ー地球の運動についてー 7』
(魚豊 著、2022年4月、小学館)
作者の熱量が今巻も凄い。
成長したヨレンタとドゥラカの出会いが、歴史の歯車を全力で回転させる。
脈々と連なる「地動説」の感動は、物語をどこへ運んでゆくのか?ドラマも遂に佳境に入った。
凄い才能を持った書き手が出てきたなぁ…。
「きっと 迷いの中に 倫理がある。」
思ってたんと違う
ヨレンタ、お父さんと再開出来るのかと思ってた。
こんなことになるとは!
相変わらず絵がキタナイ。
セリフは長くて理屈っぽい。
解りにくい。
今までずっと読んでいて、1番内容が軽いかな。
今までの重厚さが無い。
次に期待!
Posted by ブクログ
物の価値ってなんだろう。
人の心ってなんだろう。
心ひとつで物の価値が変わることがある。
ほんの小さな出来事で人の心が変わることがある。
うまく言えないけど、そういうことの積み重ねで歴史ってつくられてきたんだろうなと感じる。
ヨレンタさんの名前を表紙に入れるところが良すぎた。
ヨレンタさんのNが、ドゥラカの何よりも大切にしていたお金で造られているところが良かった。
Posted by ブクログ
異端審問官たちは解放戦線の目論見が地動説を出版することだと気づき、アジトを突き止め急襲する。
直前に気づいたヨレンタは、ドゥラカから聞き取った文章と活字をメンバーに託し、自らは異端審問官をひきつけておいて、自爆する。
印刷所にたどり着いた一同は印刷を開始する。しかし書籍が完成する直前、メンバーの一人が寝返り、印刷所も急襲される。メンバーが白兵戦を挑むなかドゥラカとシュミットは相手の馬を奪い逃走する。
書籍を巡る歴史群像劇といったところか。活版印刷や火薬がテーマになっているあたり、ルター派がモデルってことですかね。それにしてもこの人の絵、どこまで読み進めても慣れない…。