あらすじ
これが運命でも意志でもいい。やるぞ。
ヨレンタは生き延び、異端解放戦線の組織長として闘っていた。
25年前、希望と絶望を味わった彼女は自らの運命を変えるという
強い信念を持つ少女・ドゥラカに何を想い、何を伝えるのか。
そして、時を経て復活した「地動説」の行く末は――!?
私達が出会ってしまったからにはさ、もう運命とかは置いといて、すべてを変えてみようよ。
地動説は美しい、命をかけても惜しくないほどに。
皆さんは地動説:太陽を中心として地球など惑星が回っているという学説を当たり前に知っているかと思いますが、それが当たり前ではない時代がありました。
それまでは天動説:地球を中心に太陽などが回っている説が当たり前という認識でした。
天動説は宗教的にも正しいとされ、それ以外の考えは異端思想であり、最悪火炙りの刑に処されてしまうこともありました。
この作品はそんな時代に生まれながらも、地動説の美しさを信じ、時代に抗った人々の物語です。
この作品の一番の魅力は地動説を信じ、己の意志を貫こうとする登場人物たちであり、読んでいて胸にこみ上げてくるものがあります!
歴史や科学好きだけではなく、現在に生きるあなたにきっと刺さる作品です。どうぞお手にとって読んでみて下さい。
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Posted by ブクログ
〇信念を忘れたら、人は迷う。
〇迷って。きっと迷いの中に倫理がある。
〇宗教は大切だ。宗教がなきゃきっと人はここまで強くなかった。遠く離れたどこかにも同じ神を信じる人がいる。それだけでどれだけ心強いか。
〇肯いたい うけがいたい
Posted by ブクログ
ヨレンタがノヴァクの目の前で自爆。巻末は味方の裏切りにあい、異端解放軍が窮地に陥り、活版印刷機も危なくなる。ヨレンタが受け継いだものが無に帰するのか。
Posted by ブクログ
感想
ヨレンタとノヴァクの再会、目が合ったか分からない。ノヴァクさんの反応的に合わなかったのだと思う。ドゥラカ1人を逃がしてどうするつもりなのだろう。泣いても笑ってもあと1巻。この物語がどう着地するのか、どう転がるのか、最後に何を伝えてくれるのか、とても楽しみ。
匿名
面白過ぎてやんばい。ヨレンタさんとお父さん再開してないけどいつか名前見て何か思う事ありそうで今からどきどきする…次が最終か…読むの勿体無いけど読もう。
Posted by ブクログ
プラトン曰く、「人の作る『模倣(ミメーシス)』は遊びのようなもので真剣に従事することじゃない」。神の創造物だけが本物だ。人がつけ上がり、自然を理解したなどと勘違いする為の技術など不要。
繰り返すが、私は人の知性を信じていない。
アリストテレスも「技術は自然を模倣する」と言っている。でも、「一方で技術は自然が成し遂げないことも成し遂げる」とも言ってる。
この布と血のついた金は、私の父の形見です。これを見て信念を思い出す。父を思い出す。この二つは自然に生えてきたものじゃない。人が人工的に作ったもの。だからって無価値じゃない。人の作る模倣が時として「自然が成し遂げないことも成し遂げる」こともある。じゃ。
大丈夫でしょうか?会ったばかりの素性もわからない娘です。
そういう人には機会を与えたくなる。協力されづらいだろうから。
私を信用できますか?
私には貴方の過去とかこれまでの歴史とか関係ない。シュミットさん達に頼めばいいじゃないですか。こんなものまたすぐ燃やすかもしれない。なんで私に。
貴方は若いから。
は?
それを別の言い方で言うと、今は貴方達が歴史(このものがたり)の主役だから。だから貴方に託す。
は、は?だから勝手に巻き込まないでくれます?私は その歴史ってのに関係な、
関係ある。人は先人の発見を引き継ぐ。それもいつの間にか勝手に自然に。だから今を生きる人には過去のすべてが含まれてる。
何故、人は、記憶に拘るのか。何故、人は個別の事象を時系列で捉えるのか。何故、人は歴史を見出すことを強制される認識の構造をしているのか。
私が思うにそれは神が人に学び与える為だ。つまり、歴史は、神の意志の下に成り立ってる。
は?神の意志?なんですか、その意味って。
創世記50章に書いてある。神は"この世にある悪を善に変える"。それが神の意志。神は人を通してこの世を変えようとしてる。長い時間をかけて少しずつ。この"今"はその大いなる流れの中にある。とどのつまり、人の生まれる意味は、その企てに、その試行錯誤に、"善"への鈍く果てしないにじり寄りに、参加することだと思う。
悪を捨象せずに飲み込んで直面することでより大きな善が生まれることもある。善と悪、二つの道があるんじゃなく すべては一つの線の上で繋がっている。そう考えたらかつての憂き節さえも何の無意味なことはない。
でも、歴史を切り離すとそれが見えなくなって、人は死んだら終わりだと、有限性の不安に怯えるようになる。歴史を確認するのは、神が導こうとする方向を確認するのに等しい。だから過去を無視すれば道に迷う。
抽象的すぎる。
私には具体的な問題。
どこが?
歴史認識は私の選択(決断)に関わるから。
例えば、私の父は全く違う道を歩いた。今、父が何をしているのかは知らない。生きているのか、そうじゃないのか、すらね。
もう二度と会うことはないだろうけど。時々想像する。もし今の私が父と対峙したら、道を阻まれたら、どうなるだろうって。考えただけでそれは人生最悪の瞬間で、混乱して平静を失うと思う。でも、
でも、その時にこそ正しいと思った選択をしなきゃいけない。きっとその一瞬の選択の為に、私の数奇な人生は存在する。積み上げた歴史が動揺を鎮めて臆病を打破して思考を駆動させて、いざって時に退かせない。全歴史が私の背中を押すの。
なんで?なんであの本のためにそこまで理屈こねてまで。
私は、地動説を愛してる。そして愛してしまったことを祝福したいから。
そんなの幼稚だ。
そう。だからあなたが乗り越えて。
死ぬ覚悟は出来ている。我々にとって死は日常、重要なのはどこで死ぬかだ。彼女の決断はその背後にいる神の決断だ。信念の為、名誉ある死だ。
ここで終わったら、ヨレンタさんの感動も死ぬ。
神に聞きましょう。表なら皆で逃げる、裏なら私を逃がす。
待て、このやり方で決めていいのか?
…はい。
…
…表だ。
皆で逃げよう。
よし、皆急ぐぞ。
…
…君が逃げろ。我々が守る。
皆、聞いてたか。
隊長、それは提案ですか?
命令だ。
了解。
本の出版
今ではありふれている本だけど、この時代は本一冊造るのにとても苦労しているのかと実感しました。
次巻でついに完結!
匿名
「やっぱり文字は奇蹟ですね」
現代の日本人には当たり前のことでも、文字に触れることなく一生を終える人達が過去や現在にいることを意識させられる。文字とは様々な可能性を秘めた重要なものだったんだと感じた。
Posted by ブクログ
活版印刷キター!!ドゥラカとヨレンタの出会いにより、地球の…世界の歴史を変える時がついにきそう。「君が逃げろ。我々が守る」は鳥肌でした。1巻からずっといるあの異端審問官との対峙(バトルではないが)も見逃せない。単行本待てないなあ〜リアルタイムで完結を追いたい。果たして希望ある完結となるのか。光あれ
Posted by ブクログ
地動説を巡る物語、第3章第2巻目。
父・ノヴァクと、娘・ヨレンタの再会は叶わず。もし叶うとすれば、『地球の運動について』が出版され、発行人の名前をノヴァクが目にするときだろうが、その場面が実現したとして、それはノヴァクにとって祝福となり得るのだろうか。
「地」と「知」と「血」を底に据えながら、人と人との偶然の出会いや、思いの継承を描いてきた作品だけれど、ついに次巻で最終巻とのこと。異端審問官から逃れたドゥラカとシュミットが誰に出会うのか、何を継承するのか、続きを待ちたい。
Posted by ブクログ
物の価値ってなんだろう。
人の心ってなんだろう。
心ひとつで物の価値が変わることがある。
ほんの小さな出来事で人の心が変わることがある。
うまく言えないけど、そういうことの積み重ねで歴史ってつくられてきたんだろうなと感じる。
ヨレンタさんの名前を表紙に入れるところが良すぎた。
ヨレンタさんのNが、ドゥラカの何よりも大切にしていたお金で造られているところが良かった。
Posted by ブクログ
異端審問官たちは解放戦線の目論見が地動説を出版することだと気づき、アジトを突き止め急襲する。
直前に気づいたヨレンタは、ドゥラカから聞き取った文章と活字をメンバーに託し、自らは異端審問官をひきつけておいて、自爆する。
印刷所にたどり着いた一同は印刷を開始する。しかし書籍が完成する直前、メンバーの一人が寝返り、印刷所も急襲される。メンバーが白兵戦を挑むなかドゥラカとシュミットは相手の馬を奪い逃走する。
書籍を巡る歴史群像劇といったところか。活版印刷や火薬がテーマになっているあたり、ルター派がモデルってことですかね。それにしてもこの人の絵、どこまで読み進めても慣れない…。