降田天のレビュー一覧

  • 事件は終わった

    Posted by ブクログ

    地下鉄内で、男が刃物を振り回し、乗客が死傷する事件が起きた。最初に切られたのは、隣に座っていたマタニティマークをつけた女。そして、それを助けようと男に向かっていった老人が、メッタ刺しにされて死亡。その様子はスマホで撮られていて、ネットに上げられる。乗客たちの、後日譚。

    いち早く車内から逃げた男は、そのことをネットで責められ、社会生活が送れなくなり、マタニティマークの女は霊の影に怯えるようになる。その時の記憶を失ったテニス選手の高校生は、見ないようにしていた自分と向き合うことになり、ホストの男は、植物状態で寝たきりの息子の幻影を見るようになった。電車に乗れなくなったジャーナリスト志望の女子高生は、正義について悩み、不登校になった同級生のもとを訪ねる。最終話は、絵が描けなくなってしまったイラストレーター。そこで、死亡した老人の人となりが明かされる。

    無差別殺傷事件の被害者のその後の話、という、前情報から考えていた話とまったく違った。解説で、桜庭一樹さんが書かれているように、「人の人生は切り取れない」。ちょっとネタバレすると、事件の直前、その電車に乗っていた女子高生は老人に痴漢をされ、「死ねよ」と言ってしまう。その老人が本当に死んでしまったことで、女子高生は悩むんだけど、英雄だと思った老人が痴漢をするような男だった? という驚きがあり、それが最終話でひっくり返るというか。一話、叙述ミステリがあったな。ミステリがあまり得意でないので、騙された気持ちになる。いくつか続けて読むと、なんだまたかよ、と思ってしまうな。

    0
    2025年10月15日
  • すみれ屋敷の罪人

    Posted by ブクログ

    ミステリーとしての風呂敷の広げ方、閉じ方が丁寧で安心して楽しめる一作だった。
    「証言」という形でパズルをはめていくような仕掛けに、真実のディテールが形取られていき読み進める手が止まらない。

    ただ作品の仕掛け上、情緒的な表現は少なめで「当時はこういう考えの人が多かった」という一般論で片付けられてしまう部分がやや多く感じられた。

    感情の揺れや余白を楽しみたい人には、やや淡々と感じるかもしれない。

    繰り返しになるが、ミステリーとしての仕上がりは几帳面でスッキリとした読み心地があり、さすが「このミス」だと感じた。

    0
    2025年10月10日
  • 事件は終わった

    Posted by ブクログ

    降田天『事件は終わった』集英社文庫。

    地下鉄内で起きた無差別殺傷事件の終わりから始まるという面白い構成の連作短編集。

    降田天の短編は幾つかのアンソロジーで何作か読んだことがある。

    ホラーや都市伝説のようなテイストを漂わせながら、事件と関わった人びとの人生を描くのだが、爽快感も納得感も無く、尻すぼみにつまらなくなっていくという残念な作品だった。


    『00 事件』。以前は、年末になると何時も陰惨な殺人事件が起きていたが、今は毎日のように殺人事件のニュースを目にしているように思う。それだけ、何気ない日常の中に危険が潜んでいる恐い時代になったということだろう。

    物語の発端となる事件が極めてシンプルに描いている。

    12月20日の夜、地下鉄S線の車内で、迷彩柄のダウンを着た男が突然ナイフを取り出し、奇声を発しながら、右隣に座っていた妊婦を切り付け、助けに入った老人を滅多刺しにして殺害する。犯人は駅職員に取り押さえられ、事件は終わる。


    『01 音』。今の時代は、誰もが何時如何なる場所でもスマホで画像や映像を撮れるようになり、便利な反面、それらがネットに公開されれば、バッシングにつながる場合もあるから恐い。

    世の中には様々な場所に様々な悪意が忍んでいる。どうしてこんな酷い世の中になってしまったのだろうか。

    地下鉄無差別殺傷事件発生時、犯人の右隣に座っていた会社員の和宏は、一目散にその場から逃げ出した映像がSNSにアップされてから、SNSで非難が集まり、以来、会社を辞めて家に引きこもる、母親と2人暮らしの和宏は古いアパートに引っ越し、ひっそりと暮らしていたが、正体不明の音に苦しむようになる。


    『02 水の香』。無差別殺傷事件の生き残った被害者も身体に傷と大きなトラウマを抱えることになる。

    もう一つの悲しい心の傷。

    地下鉄無差別殺傷事件で犯人に最初に切り付けられた妊婦の千穂は幸い軽傷で済んだが、自分を助けようとした70歳の向井正道が亡くなったことにショックを受けていた。また、千穂は事件の直後から急に、霊が見えると言い出し、行動と言動がおかしくなる。


    『03 顔』。テレビなどで無差別殺傷事件などの発生時の映像などを観ると、誰もが我先にと逃げ出していることが解る。人間の生存本能からして、それは当たり前のことなのだろう。

    この話で事件の全貌が大きく変わるとは思わなかった。

    地下鉄無差別殺傷事件の際に足首を骨折した高校三年生の池渕亮はテニス部のエースと目されていたが、怪我により休養とリハビリを余儀なくされる。池渕は高校の報道部からドキュメンタリーの取材を受け、事件当時のことについて話す。


    『04 英雄の鏡』。なかなか込み入った内容で、結末には驚愕する。

    地下鉄無差別殺傷事件の現場に居合わせたホストのユウは2年前に亡くなった勇気の声を聞くようになり、次第にそれが常態化していく。


    『05 扉』。こちらも地下鉄無差別殺傷事件とは一見無関係と思われるストーリーなのだが。

    『03 顔』に登場した高校生の池渕亮たちが再び登場し、未来ドアの都市伝説を探る。


    『06 壁の男』。絵が描けなくなったイラストレーターの似鳥が再生していくプロセスを描きながら、地下鉄無差別殺傷事件で妊婦を犯人から守り、刺殺された70歳の向井正道の心の内を描く。

    どうにもシックリこなかった。

    本体価格820円
    ★★★

    0
    2025年10月01日
  • すみれ屋敷の罪人

    Posted by ブクログ

    前半は、お屋敷の秘密をインタビュー形式で明らかにしていく。主観が入るから仕方ないけど、その人に見えていたことと、また別な人では見え方が違っていて話すことも微妙に齟齬が出てしまい、後半は登場人物みんなが怪しく見えてしまった。
    最後まで読むと悲しくも優しい秘密の話。戦争でうやむやになってよかった、という単純な話ではないから当事者はずっと苦しんでしまった。最後は許しあえたらいいなぁと思った。

    0
    2025年09月11日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    一人の天才に対する少女たちの葛藤が明かされていく様子が面白かった
    特に努力型の優等生の子の葛藤は共感できるものがあった。

    0
    2025年09月01日
  • 有限会社さんず スーサイド・サポート・サービス

    Posted by ブクログ

    短編集
    死にたいけど死ねない人のお手伝い…だが。
    一話目が一番のどんでん返しでスッキリして面白かった。せっかくプランがふたつあるのだから両方の話を読みたかった。でもこの小説の死に対する向き合い方としてはやはり選択肢はひとつになるのかな。

    0
    2025年09月01日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    演劇専門の学校で起きた「天才劇作家少女の死」。万年二位の陰口をたたかれる二番手劇作家結城さやかは、その真相を探るべく入学してきた藤代貴水に巻き込まれる形で事件の関係者たちに話を聞きに行く。

    面白かったです。ちょっと強引だな?と思うところもなくもなかったですが、少女たちの青春小説的な側面もあって楽しく読めました。特に「3人の魔女」たちが文章上でも華があるのか読んでいて引き込まれますね。
    半面やっぱりミステリとしては弱め。なんとなく真相も予想がついたし、怪しい言動や行動が妙に浮いてたりとか。。。

    0
    2025年08月14日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    大切な人の神か、友か。
    さて、どちらになりたいだろう・・・

    演劇学校の生徒が、自ら手がける舞台の上演中に奈落に転落死した事件の真相を追う学園ミステリー。

    伏線回収と真相究明の部分はとてもスカッとしました。とにかくうまい!
    ミステリー好きにはたまらない内容なのではないでしょうか。

    0
    2025年07月31日
  • 偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

    Posted by ブクログ

    そんなんで分かるかい!というスーパースキルを持った巡査がタイミングよく現れるという短編集。
    巡査の過去編が気になる!

    0
    2025年07月26日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    女子演劇学校で、神と称される天才脚本&演出家が死んだ。事故で処理されたそれは本当に事故だったのか?神の友達の新入生と共に犯人は探しが始まる。
    そこには、個人が抱える苦悩や秘密が沢山あった。人はそれを乗り越えて成長していく。
    初めから事件が起きており、ワクワクさせられたが、後半〜結末がちょっとダレたのが残念。
    犯人探しの理由が自己都合な感じだと、はじめから強気だったのとそぐわない気がするが…
    伏線となるセリフが多いが、全てに気づけなかった自分にも残念。読み返しも楽しめるかもしれない。

    0
    2025年07月19日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    命に関わる重病人がいて、病状もどんどん悪化しているのに、先生を含め誰も気がつかないっていう状況がどうにも不自然に思われた。

    0
    2025年07月15日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    「今のわたしはどんな本が楽しいのかな」
    設楽了はなぜ死んだのか?学園ミステリー。内容は面白いと思うが今のわたしには響かず。自分が今どんな本が読みたいのかなと思った。

    0
    2025年07月14日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    物語の謎に共感できなかった。ミステリーとしても青年群像劇としても中途半端。一つ一つのエピソードは面白いのに残念

    0
    2025年07月01日
  • 女王はかえらない

    Posted by ブクログ

    あるあるなミステリーな進行、そこまでの大どんでん返しみたいなのはないけど、スピード感をもってよめる。
    ミステリー初心者にはおすすめかも。

    0
    2025年06月18日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    面白かった
    登場人物が途中混ざって混乱したものの、基本的には分かりやすく話が進んでいく。悩みとか喜びとか、心から望むことがある者が皆持っているものがはっきりと描かれていて、熱くなれる。
    マクベス、読んでみたいと思った

    0
    2025年06月06日
  • 彼女はもどらない

    Posted by ブクログ

    何をいい話みたいな雰囲気だしてるんだと思った。

    登場人物全員気持ち悪い。この感想になるように物語が作られているので良くできているとおもう。
    人間の気持ち悪さの表現が上手く、主題が読後きちんと伝わるいい本だった。

    何度も冒頭を読み返して、どうなるんだとハラハラしたし、展開されていってそういうことだったのか!と脱帽した。
    話の構成がとてもいい、後味は少し悪い。

    0
    2025年06月05日
  • 少女マクベス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     演劇学校内で起きた転落死の真相を知る物語。
     俳優志望の少女3人に事情を聞いた後の、「この人は犯人じゃないな」と、主人公があっさり認めていく展開が、単調に感じてしまった。
     最後の舞台で真相を知る者と対峙している時には、マクベスをあまり知らないながらも、タイトル通り、マクベスを高校生に落とし込んだ物語だったんだと感じられた点は面白いなと思った。
     コンペ用の台本を紙で印刷して、先生の机に置いて終わりなんて、「絶対すり替えがあるだろ」と思ったし、かつ先生が、すり替えを決めつけていたのは、「どんな先生だよ、コンペを失格にさせる展開が雑だな」と思った。
     相手が自分を崇拝していたとしても、それが嫌だと感じるなら、嫌われる勇気を持って、伝えるのが大事だなと思った。
     話題作だから読み始めたが、学園物の青臭さがなんとなく自分には合わないのかなと思い始めた。

    0
    2025年05月16日
  • 朝と夕の犯罪 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

    Posted by ブクログ

    「偽りの春」が面白かったので2作目のこちらも読んでみた。前回は短編集だったけど、今度は読み応えのある長編。
    終盤明らかになる事実にびっくり!
    個人的には前作の方が好みだけど、まだ続編が出るなら読むかも。

    0
    2025年03月16日
  • 有限会社さんず スーサイド・サポート・サービス

    Posted by ブクログ

    面白かったが、結末がどうもしっくりこない。妹の自殺の動機にどうもリアリティがなく、腑に落ちないまま。

    0
    2025年03月15日
  • 有限会社さんず スーサイド・サポート・サービス

    Posted by ブクログ

    カトウとスガの2人による自殺幇助サービスのお話。
    「さんず」は三途と3Sがかかっているようです。
    死にたいと思わないことって、とても幸せなことなんだろうなぁ。
    個人的に第三話の「蝶の男」がお気に入り。

    0
    2024年12月19日