降田天のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ冒頭 ずっこくないですかね。棚島=ソラパパが楓を殺すっていう結末に向けて物語が加速してる、と思わせといてのジェットコースター。もちろんしてやられましたとも。
楓への悪意の集中度合いがえぐい。匿名性の怖さというより、本当の自分を「埋めて、忘れて、存在しないことにしたい」楓の歪みが引き寄せてしまったように思う。
気になったこと一つ。
第一部の終わり、十一月十一日(2)にある4つの証言。これを言ったのは誰か、について。
最後深雪の墓参りに行った利一が裁判の中で棚島、水峰、夢乃、楓の母の四人の思いが語られた、と回想する。となると、「血まみれになった姿を見て、ようやく我に返りました」は夢乃の証言なんだよ -
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ読後にまず思ったのは「小説の神様」であって「小説家の神様」じゃないんだ、ということ。小説に関わる人――書く人、読む人、売る人、評する人――すべての人の神様なんですね。だから、小説家以外の人達にも「小説の神様」と関わる物語があって、それぞれの人たちが小説と真摯に向き合って……というお話が生まれ、小説好きな私はそうしたところで本作が気にいったんだろうな、と思いました。
個別の作品で言えば、収録作群の中では異色に映りますが「モモちゃん」が一番気に入りました。ラノベテイストに最初は違和感を覚えましたが、自作の世界に入り込んで自分の描写力の無さや知識の浅さを身をもって痛感するところなど、それこそ宮沢賢 -
Posted by ブクログ
極上ミステリー!仕掛けがいっぱいで、読み応えのある一冊になりました。
SNS、コスプレ衣装、ストーカー、匿名、炎上…イマドキミステリー
誰にでも人に見せたい顔がある。知られたくない顔がある。顔の見える相手には遠慮があるけれど、顔の見えない相手には必要以上に攻撃的になる。
そんなごく普通の人たちが陥る闇を上手くえぐっていると思う。
キャリアウーマンの楓は、仕事で知った男性《ソラパパ》のSNSへ批判的なコメントをする。
そこから始まる嫌がらせ、SNSの炎上、ストーカー…被害者は誰で加害者はどこ?視点によって目まぐるしく変わるのは、今の私たちのリアルにも当てはまるような気がする。
楓の事情、棚島の事 -
Posted by ブクログ
久々に読みました!
本友のまっちゃんからもらった本。
相変わらず、いい味の交番勤務のカノー。
ゆるさ加減とキレっぷりが最高です。
今回は子どもが絡んだ事件で、、、ちょっと胸が痛む、、、すくわれない、、、、
ちょっと、、、、、
子ども目線で語られる親への信頼が、なんだかとても胸を圧迫してくるようでした。
子どもを持つって。
本当に。
本当に幸せなことだけど。
こんなにも無条件で信頼してくれる人間がそばにいるっていうのは。
ある意味で、すごいことだよなぁ、、、と。
プレッシャーもあるし。
自分で自分を追い詰めるのもわかる。
自分も子ども時代が必ずあって、
親になって子どもを持つ。
この -
Posted by ブクログ
地下鉄内で、男が刃物を振り回し、乗客が死傷する事件が起きた。最初に切られたのは、隣に座っていたマタニティマークをつけた女。そして、それを助けようと男に向かっていった老人が、メッタ刺しにされて死亡。その様子はスマホで撮られていて、ネットに上げられる。乗客たちの、後日譚。
いち早く車内から逃げた男は、そのことをネットで責められ、社会生活が送れなくなり、マタニティマークの女は霊の影に怯えるようになる。その時の記憶を失ったテニス選手の高校生は、見ないようにしていた自分と向き合うことになり、ホストの男は、植物状態で寝たきりの息子の幻影を見るようになった。電車に乗れなくなったジャーナリスト志望の女子高生