少し前にネットの広告などで見て気になっていた作品。
同時にまとめて4冊を購入していて、その中では正直一番期待しておらず、一番短そうだったので、サラッと読んでしまえそうだなという理由から読み始めたけど…。
いや、なにこれ、すごく良かった…。
古い洋館で発見された白骨化した遺体。その謎を探るべく、
...続きを読む当時の関係者に話しを聞きに行く。
そこで暮らしていたのは古くからの名家の主人と美しい姉妹だが、彼らは東京の空襲で亡くなったはず…そうなるとその白骨死体は誰なのか…?
関係者に昔の話しを聞きに行き、その人の語りで話が進行するのだが、まさに今事件が起きているわけではないので、割と淡々と進んでいくのに、何故か強烈に引きつけられて止まらない。
途中まで、何も疑うことすらせずに淡々と読んでいたら、終盤意外な事実が次々と畳み掛けられ…。
戦争で狂わされ引き裂かれたけど、旦那さまは最後まで優しい旦那さまだったし、姉妹も仕えていた人たちも、思いや背景は違えど、この家や家族のことが好きで、絶対的な“悪人”は存在しない。
ヒナさんは、両親や生まれた経緯などを考えるとツラい幼少期だったろうし、顔の傷や火傷のことを考えると切なくて…。誠くんの描いた自身の絵を見て、出ないはずの涙が零れ落ちるシーンは、本当に美しくて、引き込まれた。
幸せになってほしかった…。