降田天のレビュー一覧
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降田天の連作ミステリ作品集『ネメシスⅣ』を読みました。
周木律の『ネメシスⅢ』に続き、小説版「ネメシス」シリーズの作品です。
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シリーズ23万部突破!
連続ドラマ化
主演 広瀬すず 櫻井翔
今村昌弘、藤石波矢、周木律に続き、降田天が描く本格ミステリドラマ! 複数著者が同一世界軸で描く話題シリーズ第四弾!
天狗伝説が残る土地で、ブランド鮭養殖場の社長が海に転落死。
怪しさは残るが殺人の証拠は一切出ない。
探偵事務所ネメシスは警察も手をこまねく事件の調査に乗り出す! 探偵・風真は身分を偽り、怪しげな一族が待ち受ける現場に一人赴くが、天狗の仕業としか思えない奇怪な事件が頻発し!?
ネメシス社長栗田の秘密に迫る小説オリジナル「探偵Kを追え!」も収録のシリーズ第四弾!
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連続テレビドラマ『ネメシス』の第5話の脚本協力として書き下ろした作品と、そのキャラクターをもとにしたスピンオフ小説を収録して2021年(令和3年)刊行された、小説版「ネメシス」シリーズの第4作です……ちなみに 降田天(ふるた てん)という名前は、主にプロットを担当する萩野瑛(はぎの えい)と主に執筆を担当する鮎川颯(あゆかわ そう)の合作ペンネーム(筆名)だそうです。
■父が愛した怪物
■探偵Kを追え!
天狗伝説の残る土地で、ブランド鮭養殖場の社長が海で転落死する事件が発生する……殺人を示す証拠が一切出ない奇怪な事件に、探偵事務所ネメシスの風真らが挑む、、、
収録内容テレビドラマ第5話の脚本協力として書き下ろされた小説およびスピンオフ……ネメシスの社長・栗田の秘密に迫る小説オリジナル短篇『探偵Kを追え!』も同時収録。
本作に収録されているのは、ドラマ第5話の脚本協力として書き下ろされた『父が愛した怪物』と、そのキャラクターをもとにしたスピンオフ『探偵Kを追え!』の2篇……作者が変わっても、“ネメシスらしさ”が味わえるし、そこに作者の個性が心地よく混ざり合い、シリーズの奥行きを感じさせる一冊でしたね、、、
『父が愛した怪物』は、天狗伝説の残る土地で、ブランド鮭養殖場の社長が海へ転落死する事件……一見すると地方の奇妙な事故ですが、物語が進むにつれ“ブランド鮭養殖”という現代的な産業が、事件の動機に深く絡んでいることが明らかになるのですが、この“鮭養殖”にまつわる動機がとても印象的で、伝説と産業、そこに個人の欲望が複雑に絡み合う構図が愉しめて、読み応えがありました。
『探偵Kを追え!』は、化粧品会社の女性社員が行方不明となる事件を追うスピンオフ……その事件そのものの動機や隠された背景等が明らかになる展開が愉しめるのですが、その事件の背後には所長の栗田が追い続ける大きな謎――アンナの父親捜し――が影のように寄り添っており、今後の展開が気になる作品、、、
次第にシリーズ本編の核心へとつながる気配が濃くなり、物語の地図が広がっていく感覚が心地良いですね……単発の事件を追いながらも、ネメシス全体のストーリーラインが静かに動いていることを感じさせる構成が巧みでした。
今後の展開が気になるところですね……続篇を読んでみようと思います。 -
Posted by ブクログ
途中で急に不穏な空気が流れて、あとは一気に引き込まれていきました
ミステリーという区分に対して特段意識はなかったんだけど、この本をきっかけにもしかしたら私はミステリーが好きなのかもと思い始めました
犯人はなんとなく想像できちゃったけど...!
「チェーホフの銃」という話が文中に出てくるだけであって、全ての出来事が最後にちゃんと意味付けられていてすごいなって思った。
シェイクスピアに関して全く素養がなく、、マクベスの内容に関してはさっぱりでしたが...笑
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具体的な目標と努力の方法が示されている状態は、綾乃の精神を安定させた(p.101)
うろたえる了の姿は、間違えて言い直された台詞や、舞台の上に落とされた小道具のようだった(p.235)
入っていいかとも訊かず、するりと体を滑りこませる。彼女が持ち込んだ朝の空気が肌に触れるのを感じた。(p.273)
なんとなくわかる、とさやかは思った。自分じゃない誰かのことを簡単に「わかる」とは言いたくないので、口にはしなかったけれど。(p.362)
語彙集
・業を煮やした貴水は(p.219)
・彼は薫陶を垂れた(p.231)
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人は嘘をつく。よく目にするセリフだ。
嘘が罪だとすれば、書名のとおり、本作品にはさまざまな「罪人」が登場する。善良に話をしているようにみえて、次第に嘘が暴かれていく。
では、一体誰が真の「罪人」だったのだろう。
読み終えても、わたしには答えは出せなかった。
「もし、あの時こうしていれば」
「あの時ああしなければ」
誰でも一度は思う「もし」。それが、ゆくゆくはその人を嘘に導いていくように思った。
誰が悪いわけではない。でも確かに「罪人」はいたのだ。
少しずつ暴かれていく嘘。
少しずつ明かされていく「罪人」の思い。
誰の立場で読み、考えるか。
こうした楽しみのある作品だった。 -
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名家・旧紫峰邸から発見された白骨死体を巡り、戦前・戦後の動乱期に隠された一族の秘密が明かされる。かつての使用人たちの証言によって過去が何度も掘り返され、証言者が変わるたびに人々の見え方がガラリと変わる多重解決の展開に、私は一気に引き込まれた。
何より胸を衝かれたのは、女中・ヒナの壮絶な覚悟だ。彼女はすべての嘘を自分で被り、自ら顔に火傷を負うという過酷な道を選んだ。そこまでして彼女が守りたかったのは何か。
紫峰家の当主や三姉妹、使用人たち。彼らは決して私利私欲のために罪を犯したわけではない。誰もが「誰かを守るため」に、自ら進んで嘘をつき、秘密を抱え、罪人になる道を選んでいたのだ。
タイトルにある「罪人」の意味が心に深く刻まれる一冊である。 -
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足もとで、おまわりさん、と小さな声がした。幼い女の子が今にも泣きだしそうな顔でこちらを見上げている。
狩野はその場でしゃがみ込み、にっこりと笑いかけた。
──神倉駅前交番は今日も忙しい。
『女王はかえらない』ぶりに読んだ降田天氏の作品。本作は全5篇の連作短編集であり、表題作『偽りの春』は、第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。
この連作短編集は全ての作品が『犯人の視点』で描かれているミステリーという、一風変わった設定で描かれていることで、犯人側の心情の変化や追い込まれていく描写が、かなり斬新で楽しめました。
個人的には1話目の『鎖された赤』と、5話目『サロメの遺言』が好きでしたね。
今回の『狩野雷太シリーズ』の続編も積読してるままなので、そっちも期待大ですなー。
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この”おまわりさん”からは逃げられない。日本推理作家協会賞受賞作!
老老詐欺グループを仕切っていた光代は、メンバーに金を持ち逃げされたうえ、『黙っていてほしければ、一千万円を用意しろ』と書かれた脅迫状を受け取る。
要求額を用立てるために危険な橋を渡った帰り道、へらへらした警察官に声をかけられ──。
第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作「偽りの春」をはじめ、“落としの狩野”と呼ばれた元刑事の狩野雷太が5人の容疑者と対峙する、心を揺さぶるミステリ短編集。 -
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★★★★ 何度も読みたい
演劇の名門・百花演劇学校で最大の公演・定期公演の最中、脚本の天才・設楽了が事故死した。そんな天才の下、万年2位だったさやかと、百花には了の死の真相を探りに来たと豪語する貴水が、了の最後の作品・『百獣のマクベス』の関係者を調べていく話。
物語が進む中で明らかになっていく様々な少女の苦悩に読む手が止まらなかった。いじめられていた過去を抱える少女も登場し、その過去や現在とのつながりに胸が締め付けられることもあったが、そこまで生々しい演出ではない。
「舞台のためにすべてをー限りなく全てに近いものを犠牲にできる人はいるのだろう。舞台に立つために生まれてきたとか、舞台を作れないなら生きる意味がないとか、心からそう思える人たち。たぶん了はそうだった。さやかは違う。舞台を作るのが好きで、本気で脚本家、演出家を目指していて、その仕事に一生をかける覚悟だってあるつもりだが、必ずしもそれを最優先にはできない。いくらいい舞台を作るためでも、誰かをむやみに傷つけることはしたくない。(略)もしも舞台っくりに携わることができなくなったらー考えるだけで暗闇に放り出されたような気持ちになるけれど、それでも自分は生きていくだろう。観客として演劇を楽しみながら、他にやりたいことを見つけて、それなりに幸せに生きていく気がする。
嫌になるほど、自分は普通だ。(略)少なくとも了のように特別ではないし、麻衣の言うような舞台人でもない。わかっていても認めたくはなかった。そうでなければ夢は叶わないのではないか、舞台人である他の人たちに敵わないのではないかと、常に不安だった。
だから貴水が「おかしい」と断言したのは衝撃だった。貴水はそこに引け目を感じたりはしないのだ。鈍感なのか、大物なのか。いずれにせよ痛快な気分にはならなかった。それどころか、自分が目を逸らしてきたコンプレックスを直視させられたようで、うらめしく感じた。」
中盤のさやかのこの感情には非常に共感した。その上で、自分は了にも貴水にもなれないと認め、それでも演劇に関わっていくのだと決意した終盤はよかった。 -
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原作『小説の神様』の世界を8人の作家が描く、豪華なアンソロジー。作家、編集者、読者など、様々な視点から紡がれる「小説の神様」の物語は、どれも個性的で一気に引き込まれた。
特に心に響いたのは、相沢沙呼さんの『神様の探索』だ。帆舞こまにの誕生秘話、シリーズでは語られなかった余白の部分をスピンオフならではの面白さがある。
一也と詩凪を見守る編集者・河埜が、若い才能の居場所を守るために戦う姿が最高に格好いい。神崎部長を熱い思いで説き伏せる場面や、「帆舞こまに」の傑作が誕生した瞬間の喜びは、読んでいるこちらまで胸が熱くなった。
一方、紅玉いづきさんの作品は、まるで私小説のような『小説の神様』誕生秘話として楽しめた。「神様って何?」「自分で考えなよ、小説家でしょ」という作家二人の淡々としたやり取りが面白い。特に「売れなければ心細いし、売れたら売れたで嫉妬に狂う」という言葉には、作家同士の本音が詰まっている。良き友であり、同時に負けたくないライバルでもある——そんな二人の関係性がとてもリアルで、深く心に残った。
一冊を通して、物語の裏側にある作り手たちの情熱を存分に味わえる、贅沢な作品集だった。