降田天のレビュー一覧
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名家・旧紫峰邸から発見された白骨死体を巡り、戦前・戦後の動乱期に隠された一族の秘密が明かされる。かつての使用人たちの証言によって過去が何度も掘り返され、証言者が変わるたびに人々の見え方がガラリと変わる多重解決の展開に、私は一気に引き込まれた。
何より胸を衝かれたのは、女中・ヒナの壮絶な覚悟だ。彼女はすべての嘘を自分で被り、自ら顔に火傷を負うという過酷な道を選んだ。そこまでして彼女が守りたかったのは何か。
紫峰家の当主や三姉妹、使用人たち。彼らは決して私利私欲のために罪を犯したわけではない。誰もが「誰かを守るため」に、自ら進んで嘘をつき、秘密を抱え、罪人になる道を選んでいたのだ。
タイトルに -
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足もとで、おまわりさん、と小さな声がした。幼い女の子が今にも泣きだしそうな顔でこちらを見上げている。
狩野はその場でしゃがみ込み、にっこりと笑いかけた。
──神倉駅前交番は今日も忙しい。
『女王はかえらない』ぶりに読んだ降田天氏の作品。本作は全5篇の連作短編集であり、表題作『偽りの春』は、第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。
この連作短編集は全ての作品が『犯人の視点』で描かれているミステリーという、一風変わった設定で描かれていることで、犯人側の心情の変化や追い込まれていく描写が、かなり斬新で楽しめました。
個人的には1話目の『鎖された赤』と、5話目『サロメの遺言 -
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★★★★ 何度も読みたい
演劇の名門・百花演劇学校で最大の公演・定期公演の最中、脚本の天才・設楽了が事故死した。そんな天才の下、万年2位だったさやかと、百花には了の死の真相を探りに来たと豪語する貴水が、了の最後の作品・『百獣のマクベス』の関係者を調べていく話。
物語が進む中で明らかになっていく様々な少女の苦悩に読む手が止まらなかった。いじめられていた過去を抱える少女も登場し、その過去や現在とのつながりに胸が締め付けられることもあったが、そこまで生々しい演出ではない。
「舞台のためにすべてをー限りなく全てに近いものを犠牲にできる人はいるのだろう。舞台に立つために生まれてきたとか、舞台を作れ -
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原作『小説の神様』の世界を8人の作家が描く、豪華なアンソロジー。作家、編集者、読者など、様々な視点から紡がれる「小説の神様」の物語は、どれも個性的で一気に引き込まれた。
特に心に響いたのは、相沢沙呼さんの『神様の探索』だ。帆舞こまにの誕生秘話、シリーズでは語られなかった余白の部分をスピンオフならではの面白さがある。
一也と詩凪を見守る編集者・河埜が、若い才能の居場所を守るために戦う姿が最高に格好いい。神崎部長を熱い思いで説き伏せる場面や、「帆舞こまに」の傑作が誕生した瞬間の喜びは、読んでいるこちらまで胸が熱くなった。
一方、紅玉いづきさんの作品は、まるで私小説のような『小説の神様』誕生秘 -
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「偽りの春」では、狩野の出番が多かったのに比べ、こちらは少なかった。
せっかくなのでもっともっと犯人に突っ込んで欲しかった。
借りたままのドン・キホーテ。当初「これ絶対あぶないだろ」と思っていたが
確信に迫る材料ではなかったようだ。
今回は、供述から違和感を感じ取るのではなく、行動、言動から「どうしてそうなる?」という違和感から落としていったように思う。
アサヒとユウヒ、美織は、それぞれ「大切な人」を守るためにウソをついた。
ウソをつく理由がどうであれ、狩野はスルーしない。
「幻想は幻想のままでいい」という大人たちに対して、「本当のことを知っても立ち直れる人にすることこそが優しさ」と狩野は言っ -
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演劇に特化した全寮制の女子校で起きた公演中の転落事故。1人の少女が亡くなり、その一年後、一人の生徒が入学する。その死の真相が知りたいー。
私は、この始まりだけでドキドキしてしまう。「幕が上がる」そんな言葉が浮かび上が上がって物語は始まる。
登場人物は多くない、ほぼ学園内での話。コンパクトで読みやすい。それでいて、人間関係や青春、夢にかける必死さが多面的に示される。登場人物の出身地が北海道や大阪など地方でのエピソードがあったり、作中の時間の流れが空間的・時間的広がりを与えている様に感じた。
読みやすい、面白い。作中、「マクベス」が出てくるけど、知らなくても大丈夫。知っていたらきっと、尚更面白い -
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演劇専門学校で発生した、"神"と崇められた生徒の事故死。
最初はただの事故として処理されたが、何故緞帳の降りた舞台で下がった迫りに落ちたのか?何故上がる必要の無い舞台に上がり事故にあったのか?等の
謎が残る事件となっていた。
そこへ、新入生の『貴水』が事件に隠された真相を調べに学校へ入学してくる事により物語は進んでいく。
個人的にこの作品は世界観へ引き込む文体をしてると感じました!
読めば読む程この世界への没入が深くなりました。
気付けば一気読みでした。
特に、登場人物の心理描写はとても好きでした!
『人の心の奥の奥までは見えない』
この台詞に濃縮されてる意味が濃くて好