降田天のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ読んで一番最初に感じた感想は、これはミステリーというよりも純愛。
戦前・戦中にとあるお金持ち一家に起きた出来事について、現代になってから追う、というお話です。
話の中心になるのがその一家の美人三姉妹。盛大なネタバレですが、その三姉妹の子孫が、当時何が起きたかを知らないまま(何なら自分が子孫だと知らないまま)、当時の出来事を調査するという流れで進みます。インタビュー形式で話が進むので、要所要所でまとめのようなものが挟まれていて、一気読みできず細切れにしか読めないという人にも読みやすいです。
そしてお話の鍵を握るのが、一家に雇われていた少年(後に老人になってから取材される側として登場)。
再 -
Posted by ブクログ
戦前の名家である紫峰邸の敷地内から、白骨死体が発見された。西ノ森がかつての使用人や女中から、当時の様子を聞き取っていくと、戦火に埋もれた一族の秘密が明らかになっていく。慈悲深い主人と、美しい三姉妹。主人に救われた使用人や女中たち。すみれの丘にある、すみれの館で起こった出来事の真実が、脆く鮮やかに顕になる──。
「窓の外では、音もなく振りだした雨が庭の紫陽花を濡らしていた。こんな日はヒナを思い出す。周囲と交わろうとせず、感情を表に出さず、常に霧雨のベールに包まれているようだったひとつ年上の娘」
「私の人生に過ちは数えきれないけれど、後悔はなかったわ」
三姉妹に関わりある使用人・女中の話がそ -
Posted by ブクログ
ネタバレ自殺幇助業者という、これまで読んだことのない職業がメインキャラの物語だった。
殺し屋とか殺人事件を解決する探偵とか、そういう話はたくさん読んできたけど、自殺を手助けすることを物語にしてしまおうというのはユニークな発想だと思った。
それぞれの章は話が長すぎず、視点もコロコロ変わるので気持ちを切り替えて読みやすいと感じた。
4章目のラストでやっと本名が出て、そこから5章へのつながりがとても面白く、ドキドキしながら読み進めた。
最後あれで終わるのはちょっと心がムズムズするというか、もう少しゆっくり話が展開していってもよかったのかなあとは思う。
まあ、自殺の理由は本人にしかわからないというのと同様に -
Posted by ブクログ
★3.9
盲信は破滅への道しるべ。
才能と傲慢、崇拝と孤立が交錯し、覚醒と堕落の群像劇。
シェイクスピア「マクベス」を巧みに翻案した、現代学園ミステリー。
物語の舞台は演劇学校。
この舞台の「王」である設楽了という“カリスマ”は、その周囲の生徒たちの欲望と嫉妬を掻き立てる。
絡み合う野心は、「王」の死を引き金に、疑心暗鬼と混乱を加速させていく。
この“マクベス構造”を現代の心理劇として巧みに再構成した点が、本書の最大の魅力だ。
劇中劇「百獣のマクベス」は、内容が語られぬまま象徴的な外枠として機能する。
このメタ構造が、原典「マクベス」の気配を忍ばせながら本作に独自の深みを与えている。