あらすじ
「神」とまで呼ばれた天才少女はなぜ、自身の手がける舞台の上演中に死んだのか?
演劇女子学校に入学した結城さやかは、劇作家を目指している。同学年には同じく劇作家志望で、学内一の天才と謳われる設楽了がいた。了は俳優の能力を引き出し、観客を魅了する舞台を作り上げる卓越した才能をもっていた。了の手がける舞台に上がりたい、了に認められたいと俳優志望の生徒達はこぞって渇望する。次第に周囲から「神」とまで崇められた了は、横暴な振る舞いをしても良い舞台を作るためだと許された。しかしそんな了は突然、自分の手がける演劇の上演中に舞台から転落死する。不幸な事故だと片づけられたが、翌年の春に入学してきた新入生・藤代貴水は全校生徒の前で高らかに宣言した。「わたしは、設楽了の死の真相を調べに来ました」――さやかは貴水に巻き込まれる形で、了と生前の関わりのあった生徒を調べることになり・・・・・・演劇を愛する生徒達が内に潜んだ「殺人者」を暴き出す、眩く鮮烈な学園ミステリー!
感情タグBEST3
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演劇✖️少女(青春)✖️寄宿舎(女子校)ものは大好物。
マクベスを舞台に、シナリオと事件が交差し、それぞれの抱える悩みや思惑を浮かび上がらせる。最後はタイトルで華麗に総まとめ。エネルギッシュで全力疾走した後のような爽快感。
ただし、タイトルとイラストでファラオの密室に続くシリーズものと勘違いしていたことはここだけの秘密。
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女子生徒だけの閉鎖的な空間の中で、
なぜ神と崇められる少女は死んだのか?
神と崇められる少女が死んだ。その理由が分かった時、なんて無慈悲な世界なのだろうと思いました。
少女たちが抱える秘密が切なく重く、
少女たちが葛藤に苦しむ姿、とても切なく重く胸に残りました。
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演劇学校が舞台。上演中に生徒が舞台裏で転落死。それは事故と処理されたが、真実は誰かに仕組まれた事件だと考える新入生が現れる。
演劇に人生をかける少女達の表と裏の顔が暴かれながら、徐々に生徒の死の真相が明らかになっていくミステリー。
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演劇学校で「神」と崇められた少女が不審な転落死を遂げた
彼女の死の真相を探るべく入学した藤代貴水
演劇学校という特殊な環境で才能と実力が全ての少女たち
その中にある秘密の感情が絡み合い
転落死の謎も含めて人間ドラマが面白かった
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神と称された天才が舞台の演劇中に事故で死亡した。被害者の友人が事故について疑義が生じたため学校に転校してきて当時の様子を調査していくと、天才の元に準天才の3人の魔女がいて、、といった話。
マクベスという演劇がテーマですが、事前知識がなくても読みやすく楽しめました。
何より作者さんの演劇への想いが伝わってきてよかったです。
ロジックゴリゴリというより、青春ミステリーに近いかと!
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人間の心に潜む闇。
誰にだって人には知られたくないトラウマや自分自身の醜い部分がある。
そこに立ち向かって、必死に生きている彼女たちの人間模様が心に染みる作品。
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おもしろくなくはないけれど、小説よりマンガに合う内容な気がするな。
私が何かを突き詰めて妄信的にどっぷりな人たちが苦手だからかな。
それにしても学校なのに先生の存在感がなさすぎじゃない?
先生も了を神と崇めていたならば、根本的に間違った学校で、やっぱりマンガっぽい。
それに女子校なら横の繋がりとか噂とかそういうのがもっとある気がするけど、なんだか個々の話が多かった。
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★3.9
盲信は破滅への道しるべ。
才能と傲慢、崇拝と孤立が交錯し、覚醒と堕落の群像劇。
シェイクスピア「マクベス」を巧みに翻案した、現代学園ミステリー。
物語の舞台は演劇学校。
この舞台の「王」である設楽了という“カリスマ”は、その周囲の生徒たちの欲望と嫉妬を掻き立てる。
絡み合う野心は、「王」の死を引き金に、疑心暗鬼と混乱を加速させていく。
この“マクベス構造”を現代の心理劇として巧みに再構成した点が、本書の最大の魅力だ。
劇中劇「百獣のマクベス」は、内容が語られぬまま象徴的な外枠として機能する。
このメタ構造が、原典「マクベス」の気配を忍ばせながら本作に独自の深みを与えている。
キャラクター描写も緻密で、生徒たちの複雑な感情や揺れ動く関係性が丁寧に紡がれている。
野心と疑念、そしてそれがもたらす破滅的な連鎖は、原作の悲劇性を引き継ぎつつ、青春群像劇としての共感も呼び起こす。
ただ、このような「"マクベス"がマクベスの脚本を書いている」とも受け取れるメタ視点は、あくまで一つの解釈に過ぎない。
マクベス構造をなぞるのも一興、という程度。
物語の駆動力となるのはあくまで「設楽了の死」の真相追求であり、若者たちの心理と関係性のドラマにある。
誰が嘘をついていて、誰が演じているのか。
演劇という閉鎖空間で繰り広げられるのは、切実な人間模様と、その果てに待つ代償だ。
単なるリライトや翻案を超えた「マクベス的エネルギー」の具現化。
最後は希望か、諦めか。
あなたの「少女マクベス」はどこへ向かう?
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演劇に無知でも面白かった。
話が出来すぎじゃないかと思いつつ、続きが気になり一気に読んだ。
周りを圧倒するほどの才能。どうしようもなく惹かれる相手。いるよね。
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Audibleで視聴。
ナレーターの方の声の使い分けがとてもうまくて、演劇を観ているようで楽しかったです。
ラストの展開がとんとん進んでしまい、もっと心理描写があったら…もっと深く神と呼ばれた少女の内面に触れたかったな。
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おもろでした。
少女マクベスたちの物語。
舞台はある、演劇専門の女子校。1人の天才が命を落とした。その少女をめぐる少女たちの葛藤が描かれる。
少女たちの心の機微がうまく表現されていて、没入することができた。ある個人に注目するとき語り手がその本人に移り、回想していく語り方は、漫画でよくみる気がする。(ミステリばかり読む弊害かもしれない。)感情移入しやすく、一人一人に愛着が湧く。総じて人物の描き方が魅力的でした!!
Posted by ブクログ
結城さやかが通う百花演劇学校は、演劇のプロを育てる名門校。それだけに生徒のレベルも高く、なかでも設楽了は神と崇められるほどの天才劇作家だった。そのおかげで、おなじく劇作家を目指すさやかは万年2位に甘んじていた。
さやかが2年生のとき、公演中に了が奈落へ転落するという死亡事故が起きてしまう。そのときは事故として処理されたが、翌年、了の死の真相を調べに来たという新入生が現れたことで、事件は再び動きだす。
果たしてそれは事故だったのか、自殺だったのか、それとも……。
という話。もうね、めちゃくちゃおもしろかった!
読みやすい文章と、真相がわかるまでのプロセスがきれいで、展開が滞りなく進むから中ダレすることもなくスイスイ読めちゃう。
登場人物たちの心理描写もすごく自然で、登場するのは才能あふれる子たちばかりで自分とはほど遠い存在なのに、それでも容易に彼女たちの気持ちが想像できる。「俺TUEEE!!」じゃなくて、なにかの才能に特筆していたり、なんでもそつなくこなす能力を持っている「だけ」のただの女の子だから。人間味あふれるキャラ像が親しみと共感をもてて良かった。
とくに主人公のさやかは真面目すぎるほど真面目で、おまけに超不器用。プライドは高く、驚くほど鈍感。だけどその実直さに嫌味がなく好感をもてる。凡人なりに天才に真っ向勝負するひたむきさとか、脅迫されながらもコンペに参加する芯の強さなど、魅力あふれるキャラだ。
かたや神と崇められる設楽了。彼女が書く脚本は誰もが心奪われるほどの作品で、演出をすれば絶対に良い舞台ができる。舞台以外のことは考えない完璧な劇作家だから、暴言を吐いても暴力を振るっても誰も文句を言わずに受け入れている。はじめは才能を盾にしたいけ好かないキャラだったが、のちに人並みに悩んだり悔やんだり、死を恐れたりしている「ふつうの」女の子であることがわかると、一気に親しみが沸いてくる。
どの生徒にも共感できるから没入感の高い作品となっているのだと思う。
いっぽうで登場する大人たちには腹の立つことばかりだった。氷菜の父親もそうだが、なにより教師陣よ。いままで生徒をちゃんと見てきたのかって、怒りを通り越して呆れた。プロとして活動している大人でも崇拝してしまうほどの魅力が、了の作品にはあったってことなんだろうけど。そこは切り分けて考えるべきことなのに……。
物語を作るのは生徒だけど、悪役は大人たちにもっていかせる。そこもまた上手いなぁと思った。
なにかひとつ文句をつけるとしたら、犯人(便宜上そう呼ぶ)に意外性がなかったことかな。王道ミステリの犯人像そのままの人物が犯人だったから驚けなかった。
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マクベス全くわからんので知ってたらもっと楽しめただろうか
了に何が起こったのかは4割くらい途中でわかった
登場人物がみんないいキャラしてるので
アニメ化したら映えそうな気がする
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演劇学校の内輪のお話。
天才、神と呼ばれた人物の死について疑問を持ち共に探ることになった主人公ら。次々に秘密や過去が明かされていく。
節冒頭に出てくるセリフにより説得力が増した印象。
少女による少女の為の作品であると思った。
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演劇専門の学校で起きた「天才劇作家少女の死」。万年二位の陰口をたたかれる二番手劇作家結城さやかは、その真相を探るべく入学してきた藤代貴水に巻き込まれる形で事件の関係者たちに話を聞きに行く。
面白かったです。ちょっと強引だな?と思うところもなくもなかったですが、少女たちの青春小説的な側面もあって楽しく読めました。特に「3人の魔女」たちが文章上でも華があるのか読んでいて引き込まれますね。
半面やっぱりミステリとしては弱め。なんとなく真相も予想がついたし、怪しい言動や行動が妙に浮いてたりとか。。。
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大切な人の神か、友か。
さて、どちらになりたいだろう・・・
演劇学校の生徒が、自ら手がける舞台の上演中に奈落に転落死した事件の真相を追う学園ミステリー。
伏線回収と真相究明の部分はとてもスカッとしました。とにかくうまい!
ミステリー好きにはたまらない内容なのではないでしょうか。
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女子演劇学校で、神と称される天才脚本&演出家が死んだ。事故で処理されたそれは本当に事故だったのか?神の友達の新入生と共に犯人は探しが始まる。
そこには、個人が抱える苦悩や秘密が沢山あった。人はそれを乗り越えて成長していく。
初めから事件が起きており、ワクワクさせられたが、後半〜結末がちょっとダレたのが残念。
犯人探しの理由が自己都合な感じだと、はじめから強気だったのとそぐわない気がするが…
伏線となるセリフが多いが、全てに気づけなかった自分にも残念。読み返しも楽しめるかもしれない。
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「今のわたしはどんな本が楽しいのかな」
設楽了はなぜ死んだのか?学園ミステリー。内容は面白いと思うが今のわたしには響かず。自分が今どんな本が読みたいのかなと思った。
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面白かった
登場人物が途中混ざって混乱したものの、基本的には分かりやすく話が進んでいく。悩みとか喜びとか、心から望むことがある者が皆持っているものがはっきりと描かれていて、熱くなれる。
マクベス、読んでみたいと思った
Posted by ブクログ
演劇学校内で起きた転落死の真相を知る物語。
俳優志望の少女3人に事情を聞いた後の、「この人は犯人じゃないな」と、主人公があっさり認めていく展開が、単調に感じてしまった。
最後の舞台で真相を知る者と対峙している時には、マクベスをあまり知らないながらも、タイトル通り、マクベスを高校生に落とし込んだ物語だったんだと感じられた点は面白いなと思った。
コンペ用の台本を紙で印刷して、先生の机に置いて終わりなんて、「絶対すり替えがあるだろ」と思ったし、かつ先生が、すり替えを決めつけていたのは、「どんな先生だよ、コンペを失格にさせる展開が雑だな」と思った。
相手が自分を崇拝していたとしても、それが嫌だと感じるなら、嫌われる勇気を持って、伝えるのが大事だなと思った。
話題作だから読み始めたが、学園物の青臭さがなんとなく自分には合わないのかなと思い始めた。
Posted by ブクログ
女子生徒たちが情熱を燃やすその舞台裏で、「神」と称された天才演出家・設楽了が謎の死を遂げる。
演劇に懸ける少女たちのきらめきと、その裏に潜む嫉妬、野心、そして秘密が絡み合い。
才能への渇望、届かない憧憬、そして友情と裏切り。特に、主人公の貴水と、了の二番手として生きてきた三年生の結城さやかの関係性が魅力的です。反発しながらも、共に真実を追い求める中で、二人の間に生まれる絆は、この物語の大きな見どころの一つ。
Posted by ブクログ
読んでるときに「この子のこういう一面がマクベスに重ねられてるわけね、この子にとっての魔女はこの人な訳か」と思ってたら、あれこの子も、この子も、と続いて皆なにかしらマクベスだし、そういう意味では「マクベス」は皆が持つ不安定さを描いた作品なのかもな、と、思いました。
それとは別で、閉鎖された空間の中ではそこの空間で能力が高いだけで神のような扱いをされて神のような振る舞いをしてしまうことについて、「それはおかしい」とはっきり書かれていて、会社とかでそこの仕事が詳しいだけで人として偉いように振る舞う「偉いさん」を否定しているようなところが共感できた。