降田天のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
当時の関係者の証言から過去を紐解く構成が好きな人には絶対刺さる一冊だと思う。白骨死体は誰のものだろうというところから始まった物語は、進むにつれて別の疑問が生じ、語り手が変わることで新たな視点と謎が生まれる。こういうの大好き。
物的証拠や客観的事実ではなくあくまで関係者の記憶を頼りに過去が紐解かれていくので、視点が変われば見え方は変わる矛盾も生まれる大切な秘密は隠して語るという人間らしさが詰まっているのもすごく好き。登場人物は多いけれど一人一人に生身の感情や人生が感じられて、誰もが単なる物語の進行上の舞台装置としてそこにいるのではなかった。
あの頃、すみれ屋敷で暮らした人たちは身分の違いがあ