矢月秀作のレビュー一覧
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大分県警の若い三浦賢太郎刑事は、既に解決した事件ではあるのだが、過去に世間を騒がせた犯罪者である萩尾信の半生を再度調査し、犯行に及んだ動機などの考察をまとめろとの命を受ける。
三浦刑事が配属されている部署は刑事部刑事企画課捜査支援室で、犯罪は何故起こったのか、動機は何にあったのかを調べ、今後の犯罪捜査の手助けとなる資料として、そして似たような犯罪の再発防止を目的として、事件を様々な角度から解析している部署だ。
萩谷信が起こした犯罪は、全国を股にかけ、凶悪な強盗や侵入窃盗を繰り返し、荒稼ぎをしていた。
萩谷信の特筆すべきは、子供の時からの常軌を逸した行動にあった。
後に逮捕された仲間たちは、口々 -
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矢月秀作『もぐら新章 昴星』中公文庫。
『もぐら新章』第一部の完結編。
これぞ『もぐら』と言わんばかりの昭和の劇画のようなストーリー展開。安達竜星の成長の過程と竜星の母親・紗由美、楢山に迫る危機が描かれる。そして竜星の怒りは頂点に達し、単身、反社会勢力の事務所に殴り込む。
影野竜司の息子・安達竜星の母親・紗由美の会社で派遣社員の失踪事件が起きる。その社員はデリヘル嬢に入れ上げ、二人で沖縄から逃げ出そうとしている所をデリヘル経営者の反社会勢力のユージングループに拉致されていた。
紗由美は派遣社員の行方を独自に捜査しようとするが……
その裏で金武の空手道場では、竜星と楢山が対決し、竜星は -
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今回は、全個体電池と呼ぼれる最先端技術の関係者たちが疾走する。背後に中国資本の企業やファンドが関係することを突き止め、今回も田宮を始めとする潜入捜査官たちが事件に挑む。
日本での研究者の待遇の低さは、以前から言われてきていますが、愛国心だけでは、やっていけない部分もあるのかなと思う。リソースも無限ではないですが、人の生活を変える根底の技術は一朝一夕では生まれないことを思うと、ある程度の余裕や遊びがある方が望ましいのだろうと思う。
今回は田宮を含めた4人の潜入捜査官が、危険な場面や事態に遭遇するだけに、いつもよりアクションシーンが多いなという印象でした。
冒頭と物語の最後が、素の田宮を見られ -
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矢月秀作『死桜 D1警視庁暗殺部』祥伝社文庫。
『D1警視庁暗殺部』シリーズ第5弾。
今回は警視庁暗殺部の上位組織である第三会議の内部に裏切者がいるという設定で、危機に陥ったD1、D2のメンバーが共闘し、裏切者を炙り出し、鉄拳制裁を加えるというストーリー。派手なアクションが際立つ昭和の劇画風警察小説。
処刑執行のため医療ベンチャーに乗り込んだ警視庁暗殺部D3が罠に嵌められ、メンバー全員が返り討ちに遭い、全滅する。
警視総監をトップとする第三会議に暗殺部D1、D2のメンバーが緊急招集され、D3を罠に嵌めた敵の正体を探り、敵を排除せよとの命令が下る。
第三会議のメンバーの中に裏切者がいる -
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矢月秀作『警視庁公安0課 カミカゼ 神島幻影』双葉文庫。
シリーズ第4弾。前作で完結と思っていたら、何と約2年振りに続編が刊行された。
いつもと似たような展開。主人公が不本意ながら潜入捜査を命ぜられ、窮地に陥るが超人的な活躍により巨悪を捩じ伏せるという感じの大味なストーリーだ。何しろ矢月秀作の作品なのだから昭和の遺産のようなワンパターンも致し方無しか。
今回、公安0課作業班の瀧川達也が潜入するのは大手人材派遣会社。
非正規雇用を常態化させ、労働者の価値を著しく低下させたあのパソナを彷彿とさせる大手人材派遣会社アノンGHDは本社機能を神子島に移転させようとした。その裏でアノンGHDの創業