矢月秀作のレビュー一覧
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矢月秀作『桜虎の道』文春文庫。
昭和の香りのするバイオレンス・アクション小説小説。なかなか面白い。『もぐら』シリーズよりも現実味があり、設定は『特命係長 只野仁』にも似ている。
司法書士事務所のうだつの上がらない見習い社員である桜田哲は、かつて最強の取り立て屋として裏社会で恐れられていた危険な人物だった。桜田は、とある取り立てを巡り、司法書士の尾見と対峙したことで、尾見に認められて、過去を隠して尾見の事務所で働いていた。
ある日、尾見の司法書士事務所に不動産会社を運営する大口顧客である木下義人から秘密遺言書の預り証の保管依頼が舞い込む。そして、木下が預り証の保管人に指名したのは桜田だっ -
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矢月秀作『警視庁0課 カミカゼ 環境悪鬼』双葉文庫。
潜入捜査により世の中で暗躍する巨悪を炙り出す警視庁の公安0課作業班の活躍を描く、シリーズ第5弾。
今一つスッキリしない結末。首謀者は一体どうなったのか。きっと、続きはシリーズ第6弾に持ち越すのだろう。
交番巡査から公安にリクルートされた刑事の匂いのしない男、瀧川達也は前回の潜入捜査で怪我を負い、身分を変えて少年課に異動した。
そんな中、高津晃久という28歳の青年が代表を務める自然保護のNPO団体『護国の戦士』に潜入していたベテラン作業班員の今村利弘が1ヶ月もの間連絡を経ち、今村を救出するために団体に潜入した藪野学と白瀬秀一郎の2人 -
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昨年大盛り上がりした『VIVANT』を補完しようと先日、別班のルポを読んだ。とくれば次は阿部寛!公安!
うって変わってスパイアクションさながらのムキムキマッチョな作品でこちらも大満足だった。
公安って様々な作品内で、その存在にビビられながらも姿を見せてはくれない。少なくとも私にとっては役割もはっきりしていなかった。前半部で描かれるエージェント養成校。後半からは一気に思想犯とのダイハード(古い)が加速する。
アクション映画のような読後感。
思想犯と、この多様性の現代とのボタンの掛け違いが切ない。不適切にもほどがある、のかもしれない。
とはいえ、ここでも問題の根っこは格差社会にある。著名な作家