矢月秀作のレビュー一覧
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矢月秀作『もぐら伝 〜蛇〜』中公文庫。
『もぐら』第3シーズン、『もぐら新章』の第二部の第2弾。
このだらだらとした煮え切らないストーリーはなんだろう。やはり『もぐら』は影野竜司があってこそだ。安達竜星では役不足の感がある。
少女たちを救うため違法売春組織を壊滅させたが、懲役3年執行猶予5年の判決を受けた竜星は生花店に身を寄せていた。その生花店が放火未遂に遭い、親友の刑事である真昌に相談すると周辺では奇妙な連続放火事件が起きていることを話す。
強引に土地買収を進めるために目的の土地を更地にするために都市再開発事業で起死回生を狙う政治家が闇バイトを使い、放火を繰り返していたのだ。そんな闇バイトを操る蛇の刺青の男に竜星と真昌が挑む。
本体価格780円
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矢月秀作『SAT-light 警視庁特殊班』講談社文庫。
SATやSITなどの特殊部隊が出動するまでもないが、一般の警察官が対処するには危険すぎる凶悪事件に発展しそうな事案を担当する新設部隊の『SAT-light』と呼ばれる警視庁特殊班の活躍を描く、警察小説らしい。
しかし、精鋭を集めた警視庁特殊班 SAT-lightと大層な組織と言う割りに今回出動したのが、地下アイドルの警護というオタクが喜びそうなチープな事案に思わず失笑。
さらには、警視庁特殊班が地下アイドルの芸能事務所の管理売春の実態を暴くために、特殊班のメンバーがオタクになりすまし、ライブに潜入すると言うのだからさらに笑える。このくらいの事件の捜査をするのが、特殊班である必要があるかね。
『SAT-light 警視庁特殊班』という大仰なタイトルに派手なアクションを期待したのだが、余りにも小さな事件と悪役の小物ぶりには愕然とした。これでは、オタクたちが地下アイドルを護るくらいのストーリーで良かったのではないか。
警視庁特殊班が担当するのは、カジノや裏風俗店への着手支援、一般人の身辺保護、反社会勢力の組織の摘発などであるが、今回特殊班が出動したのは、都内で起きた地下アイドルへのストーカー案件だった。生活安全課ストーカー対策室からの要請を受け、対象となる地下アイドルの女性の保護に出向いた特殊班は、ナイフを向けて保護対象に接触しようとした被疑者を無事確保する。
ミッションは完了したかに思われたが、被疑者の自供から芸能事務所による管理売春の疑惑が持ち上がり、特殊班は真相究明に乗り出すことになった。
本体価格770円
★★★ -
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矢月秀作『もぐら伝 〜狼〜』中公文庫。
いまいちパッとしない『もぐら新章』の第二部の開幕。
竜星では役不足であるのは明らかであるのに強引に押し切ろうとしている感がある。ベタベタのストーリーとアクション。強いことが当たり前のような主人公の竜星という、まさにベタベタのベタ。
やはり、元祖『もぐら』影野竜司が主人公の方が読み応えがあったな。
高校を卒業し、楢山と紗由美の結婚を見届けた竜星は沖縄を後にし、留学やワーキングホリデーを名目に若い女性を海外に送り込み、売春させるという非合法企業を一つずつ叩き潰していた。裏社会では正体不明の竜星の暴れぶりから『狼男』と呼ばれていた。
竜星の友人で、刑事研修で警視庁に出向中の真昌は、指導員となった益尾と共に、竜星の消息を追う。
本体価格760円
★★★ -
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【意味のある死】
事件は解決し、犯人も自死。であるのにも関わらず、なにかが気になり事件と犯人の半生を追う、警察であり主人公の三浦賢太郎。
ページをめくる事に犯人の人生や人間関係が紐解かれていくのに、当初の人物像からはどんどん離れていく。この真相から遠のいていくさまは、よんでいて焦れったくもあり、逆にそこに惹き込まれていく自分がいました。
人間という生き物が、どんなに環境に左右されて生きているのかをまざまざと見せつけられる本作。
ぼく自身、家庭環境、学生生活がボロボロであったならば、今作の犯人と同じような人生の最後と似たようなものに向かうこともあったのではないか……。どうにも他人事に思えない親近感のある不思議な作品でした。
個人的に、地元である大分県が舞台だったのでより内容に没入して読めました。
読後感も通して楽しめる1作。ぜひ手に取ってみてください。