矢月秀作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
矢月秀作『ある誘拐 警視庁刑事総務課・野村昭一の備忘録』河出文庫。
矢月秀作の新境地ということで、珍しく河出文庫からの刊行。2017年に刊行された『コンダクター』を改題、加筆修正、文庫化。
3人の若者による単純な身代金目的の少女誘拐事件だったが、実は背後に彼らを操る黒幕が居て、予想外の展開を見せる。最後の最後まで結末が見えぬ展開なのだが、警察の視点と犯人の視点と被害者の視点とが曖昧なせいか今一つ緊迫感に欠ける。
金も無く、まともな仕事も無い松本、上田、谷岡の3人の若者が大手IT企業の社長の娘を誘拐する。捜査を任されたのはベテラン刑事の野村。当初は身代金目的の単純な誘拐事件と思われたのだが