大木毅のレビュー一覧

  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    大木毅氏は、1961年東京都生まれの軍事史研究者・著述家。立教大学文学部史学科卒、同大学院博士課程を単位取得退学。専攻はドイツ近代史。ドイツ学術交流会奨学生としてボン大学に留学。帰国後、千葉大学、横浜市立大学などで非常勤講師を務め、防衛省防衛研究所や陸上自衛隊幹部学校でも講師を歴任。現在は著述業に専念し、第二次世界大戦や軍事史に関する著作を多数発表。「赤城毅」名義でフィクションも執筆している。
    本書は、第二次世界大戦最大の戦域といわれるヨーロッパ東部戦線「独ソ戦」について、近年の研究の結果を踏まえて考察したもので、2020年の新書大賞を受賞した。
    大半の日本人にとって、第二次世界大戦とは太平洋

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    2025年11月14日
  • 決断の太平洋戦史―「指揮統帥文化」からみた軍人たち―(新潮選書)

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    太平洋戦争を俯瞰する目的で読むのであればあまり役に立たないであろうが、個々の将兵達の活躍に目を向けている点では、戦史好きにうってつけの1冊である。「決断の」とタイトルにつけるほどに日米双方の戦闘における重要局面を拾い上げられているわけではないので、正直タイトル負けしているなとは感じたが、各章の配置、情報の提供、論の展開において興味深いところが見られたので、なかなか侮れない一冊だなと感じた。

    本書は日米双方の将校をランダムに取り上げているようで、実は意図して規則的に各人物を配置している。まずガダルカナル島に関連した人物として、三川軍一・神重徳とサボ島沖開戦の中心となった二人を取り上げた後、この

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    2025年10月09日
  • 太平洋戦争

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    本書は、あの戦争を「戦略・作戦」面から再検証!という内容になっております

    再検証はいいんだけど…再検証してどうするの?って視点がどうも見えなかった気もするんよな〜

    次やったら勝ったるで!おりゃあ!ってことじゃないよね
    うん、ぜんぜん違うよね
    それならいいけど

    まぁ、そもそもがね必敗の戦争だったわけだけど、当時の日米の国力は1:10だってんだからね
    いくら日本が神の国言うたってね
    あっちはあっちでまた神様もいる訳だし

    なのに、最初から最後まで統一された「戦略」はなかったという検証結果

    「作戦」に於いても、開戦当初の華々しい戦績に目が眩んだのか、二兎、三兎を追うという誤りを繰り返していた

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    2025年09月28日
  • 天才作戦家マンシュタイン 「ドイツ国防軍最高の頭脳」――その限界

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    戦略次元でのやらかしを作戦次元で二度も取り返したのはやはり凄い。ただ政争に関しては凡庸で、ヒムラーやハイドリヒの様な権謀術数の権化みたいなのと比較したら可哀想。作戦術だけさせてくれれば、他のことにはあまり(モラル的な意味でも)頓着しないという姿勢だったのがニュルンベルクで効いてきた感じ。第三帝国という特異な環境において華開いた戦果の光と影。

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    2025年09月02日
  • 天才作戦家マンシュタイン 「ドイツ国防軍最高の頭脳」――その限界

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    戦史あるいは軍事行動作戦史?の分野で、多くの著作のある大木の力作。
    WWⅡにおけるドイツ西部戦線の初期の躍進、東部戦線の難局の経営を支えた、傑出せる作戦家マンシュタインについての長大な評伝。優れた軍指導者であったことにはまぎれもないが、19世紀的感性の貴族的テクノクラートとしての限界もあった、とのこと。

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    2025年08月15日
  • 天才作戦家マンシュタイン 「ドイツ国防軍最高の頭脳」――その限界

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    三部作、読み通したぞ!

    「天才作戦家」なんとロマンあふれる言葉か!


    「おそらく、100年早く生まれていれば、マンシュタインは、大モルトケに比せられるような優れた軍人として評価されていたであろう。しかし、彼がその生涯のほとんどを送ったのは二〇世紀、総力戦の時代だった」

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    2025年07月04日
  • 指揮官たちの第二次大戦―素顔の将帥列伝―(新潮選書)

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    第二次大戦、太平洋戦争の有名または玄人筋の知っている指揮官について、昨今の軍事史の観点から新たな評価を加えた評伝。昔と比較して単に敢闘した将軍が好評を博すのではなく、より高次元で戦争に取り組んでいた将軍ほど評価が高くなるという新しい評価軸は、なるほどと思った。戦争とは何かを研究していなければ、出てこない発想である。

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    2025年05月23日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    ネタバレ

    「同志少女よ敵を撃て」を読んで、歴史的背景を知りたいと思い手に取った。
    悲惨な戦争であったことは何となく知ってはいたものの、数字を突きつけられると、改めて驚いた。
    各戦場の攻防や作戦も、本書で知ったことが多かった。

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    2025年04月13日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    2025.02.15
    快作。
    ソ連とドイツの戦いを軍事面に比重を置きつつも社会背景にも一定ふれられているのが良かった。この作品を、トランプ大統領が再就任し、ウクライナ侵攻の停戦を欧州抜きで唱え始めた今の現状で読むと、欧州各国は、自分たちを除外して、米露で停戦が勝手に決められることを恐れる心情が理解できる。

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    2025年02月15日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    序章
    鈴木敏夫 スタジオジプリプロデューサー
     鈴木敏夫は「風の谷のナウシカ」の制作背景やそのテーマについて語っている。彼は、作品が発表された当時の社会的・環境的状況がどのように影響を与えたのかを考察し、ナウシカというキャラクターが持つ強い意志や優しさが、現代においても重要なメッセージを持っていることを強調している。
     風の谷のナウシカの題材は『新諸国物語』(NHK ドラマ1952年)。

     ナウシカが旅をして、見聞きしたものによって、読者が世界の秘密を知っていく。宮崎駿は「勧善懲悪」が好きで、それが「自然を守る人がいいひとで、自然を破壊するのは悪人」と言う物語にした。
     赤坂憲雄の『ナウシカ

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    2024年12月22日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    マンガのナウシカは、最後の方の記憶がなく、途中までしか読んでいないかもしれない。
    改めて読み直そうと思う。
    読んでいても読んでいなくても面白かったが、自分はここまで考えながら読めなかったから、途中までしか読んでないのだろうと思った。

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    2024年12月01日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    いろんな解釈があってほんとうに面白い。
    ナウシカの原作再読したくなった。
    闇の中にも光があって、完全な世界よりも、いつかは滅びるかもしれない世界、それがまたいい。

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    2024年10月05日
  • 決断の太平洋戦史―「指揮統帥文化」からみた軍人たち―(新潮選書)

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    太平洋戦争に関わった、日英米の将官から、やや知名度は低いながらも、転機となる局面で実際に重要な役割を果たした(と考えられる)人物を選び、生い立ち、性格分析、戦時の行動を評論する。
    各国が考えていた将器とはどういうものかを、それぞれに浮かび上がらせる狙いがあるものと思われる。
    終章で著者は、昭和の日本陸海軍は、修業時代に拳拳服膺したドグマに支配された秀才型が中枢を占めたがために、骨太な戦略家を持ち得ず、過去の延長から逸脱してでも機先を制することが重要となる戦争のような営みでは、個人の性格のダイバーシティを許容する度量が大きい欧米に劣後することになった、としている。
    とはいえ、「戦略」が有効に機能

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    2024年08月14日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    独ソ戦というのはここまで規模感が凄まじいということは知らなかった。
    指導者が周りの意見を聞かなくなることの危険性を認識した。
    マンシュタインなど、気になる人物も出てくるので、これから突っ込んで色々と読んでみたくなる。

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    2024年07月02日
  • 勝敗の構造 第二次大戦を決した用兵思想の激突

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    独ソ戦の作者による第二次世界大戦のヨーロッパ戦線における10の戦闘に関する分析。文章も平易なため、すんなり頭に入ってくる。
    専門家として分析するわけでもない自分にとっては、ちょうどいい内容だった。

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    2024年06月15日
  • 歴史・戦史・現代史 実証主義に依拠して

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    ネタバレ

    これまでの著者の著作物をエッセイ風にまとめたもの、という印象です。
    まえがきにも書かれていますが、これまでの著者の綴ったものを集めて改めて俯瞰してみると「筆者の感心は一つところをぐるぐると回っているのだな、と思い知らされたものだ。すなわち、本書のタイトルとした『歴史・戦史・現代史』である。」とのことなので、様々な書き物を集めたものですが、テーマを据えています。

    ただし著者は上記のようにテーマを述べていますが、読んでみるとより具体的なメッセージが込められています。それは例えば、

    ●日本において戦術というより戦場に近い分野の研究は市井の間ではほとんど行われておらず、もっぱら自衛官や元自衛官の専

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    2024年01月20日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    独ソ戦の発端 イギリスとの戦いの行き詰まりを感じ、ソ連を先に下せばイギリスも諦めるだろうとの考えがドイツ側にあった。ヒトラーの思想にはきたる「千年帝国」のためにソ連の国土を植民地にするというのもあった。

    戦争と地形 フランスは道路が舗装されており、侵攻が容易であったが、ソ連の土地は荒れており、鉄道の軌間も異なっていたこともあり計画通りに戦争を進められなかった

    不完全な計画 ソ連の戦力をあまりにも軽く見た計画(首都の陥落とソ連側の重要な燃料拠点の同時攻略等)を立て、兵站が不足する自体に陥った。その影響でドイツ軍による村落の収奪が始まり、多くのパルチザンを生むことになった。(同志少女の最初のシ

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    2023年10月26日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    人類史上、凄惨を極めた独ソ戦の様子を、時系列に淡々と描く。

    一般には知られていない独ソ戦を学ぶには最適な一冊。

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    2023年10月06日
  • 日独伊三国同盟 「根拠なき確信」と「無責任」の果てに

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    日本が日独伊三国同盟を結び、太平洋戦争に向かう一連の流れをドイツに近い立場から解説している。
    松岡洋右は国際連盟を脱退する気はなかったがブラフとして使っている間に引っ込みがつかなくなったというのは(松岡はポーカーの名手)、また、ドイツ贔屓の大島浩の日独同盟案を独自の見解で進めたことが、この同盟に繋がったと思うとガバナンスが本当に効いてないなと感じた。当時の状況を今のロシアによるウクライナ侵攻に当てはめると酷似している点がいくつかあるなと思った(ドイツ→ロシア、チェコスロバキア→ウクライナ、イギリス→アメリカ、日本→中国に入れ替え)

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    2023年09月17日
  • 歴史・戦史・現代史 実証主義に依拠して

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     著者のワンテーマで語る本も好きだが、このような色々な所で、発表された記事を
    1冊で読めるのはファンとしては嬉しい。特に、日本のW・WⅡ欧州戦史研究の未アップデート状態は、何か日本全体のガラパゴス化と類似しているようで考えさせられる。

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    2023年09月06日