大木毅のレビュー一覧
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ネタバレ2020年の新書大賞で1位で面白そうだったので買っていたのだが、このウクライナの戦争の時期に読むと地理的な状況やナチスドイツやソ連に占領されてばっかりいた地域の歴史が分かる。
ただ内容はざっと読んだだけではあんまり頭に入ってこない。ドイツもロシアも戦力がそれほどでなかったために泥沼にはまったようだ。また、絶滅戦争など人種や命に対する軽視も災いしている。
とにかく、今現在の差別はよくない、命を大切にしようという価値基準からは想像が及ばない思想が当時は普通だったようだ。しかし、それは平和な地域に暮らしている我々の考えで、現在のロシアの蛮行を見ると今も変わらないのかもしれない。いざとなった -
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歴史の教科書では語りきれないことが満載されていた。
政治の世界にも腹の探り合いはあっても案外とサッパリしていると思ったけど、いやいやねちっこくあり嫌なら嫌と言えない上下関係姻戚関係。
大島浩、松岡洋右、この二人の行動が大きく影響したことがわかるが、この本ほどしっかり裏付けされた書き方をしているものは見ない。
歴史には、日独伊三国軍事同盟とあり、それは「互いに利益がある事に対して協力関係を結びましょう」エイエイオーかと思っているでしょうが
そうせざるを得ない伏線があったり、バーターであったり、たくさんの大人の事情がある。
御前会議で昭和天皇のが敢えて口を開き読み上げた
四方の海みなはらか -
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戦史家二人による対談。
戦史史料、文書、オーラルヒストリーについて、著者二人が日本軍について語る。 様々な事例をあげながら、旧日本軍の軍人達がどのような人たちであったのかを語っており、大変面白く読めた。 二人とも過去に軍人当事者に会う機会があり、資料や書き物だけではわからない雰囲気や性格、軍人気質に接することができた。 この先そういう経験を持つ人が少なくなり、史料を読むときに、文字に書かれたことだけを鵜呑みにすることを心配している。 また戦史についてはいろいろな本が出ているが、小説家では吉村昭と澤地久枝を高く評価している。 資料の付き合い方向き合い方が真剣なのだそうだ。 対談なので面白いエピソ -
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ネタバレ第二次世界大戦における「電撃戦」で欧州を席巻したドイツ装甲部隊の生みの親と呼ばれるハインツグ・デーリアン将軍の評伝。
前作のロンメルの評伝と同様、様々な脚色によってゆがめられた「グデーリアン像」に対し、ファクトをベースに実際の姿をあぶりださんといているのが本書の大きな特徴だと思います。
ロンメルの場合、周辺の人々の様々な思惑が脚色されたロンメル像を形作った(ロンメル自身は1944年に服毒自殺を遂げているので当然なのですが)のに対し、グデーリアンの場合は自身がこれを意図した点がロンメルとの大きな違いでしょう。
彼の回想録には、自身の手によって画期的な装甲戦術が編み出され、暗愚な上司の無 -
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ネタバレ「砂漠の狐」として名をはせたエルヴィン・ロンメルは良くも悪くも脚色された物語を持つ英雄だと思います。
プロイセン軍人が幅を利かせた帝政時代にあってはそこから外れたアウトローからキャリアをスタートさせ、第1次大戦では大胆な戦術を駆使して次々と戦果を挙げ、ついにドイツ軍最高の勲章(ブルーマックス勲章)を獲得。
第2次大戦のフランス戦線において、彼が指揮した師団はその神出鬼没ぶりから「幽霊師団」と恐れられ、アフリカ戦線では常に劣勢な物量下で英国軍と互角以上にわたりあい、ついに元帥に上り詰める。
戦局が悪化するにつれて何とか講和による戦争終結を目指すものの受け入れられず、最後はロンメルにスポ -
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「独ソ戦」著者によるロンメル評。
最近hoi4 にハマりww2を勉強し始めたため購入。
サクサク読めたし入門本として最適だと思う。
ロンメルがドイツ国防軍の中でもアウトロー的経歴の持ち主だった事を重視し、故に勇猛大胆、独断専行な戦術家として大成し、上級将官としての教育を受けなかったことから補給軽視、戦略的視野が弱い指揮官であったと分析している。
またアウトサイダーであったため、軍部で昇進するためにも功名心とその誇示には病的であったとも。
そんなロンメルの評価は現代に至るまで未だ定まらない。
ロンメルの活躍はナチスにより過度に喧伝されており、また彼が最後までヒトラーへの忠誠心を持ち続けた -
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ネタバレ第二次世界大戦におけるドイツとソ連の戦いについて、専門家ではなく一般向けに分かり易く、近年の研究成果も踏まえて解説してれる一冊。
単に戦闘を追うだけでなく、ドイツとソ連の当時の状況などの解説も加えられていて、日本人には馴染みの薄い当時のヨーロッパの状況についても理解できます。
昨今、ロシアとウクライナの間で起きている紛争の背景だとか、クリミア半島のこととか、その辺の地理のこととか、ロシア人とフィンランドや東欧の人々の間にどのような思いがあるのかなど、非常に理解しやすくなる一冊です。
日本では第2次世界大戦=太平洋戦争。
”戦争”といえば当然、日本とアメリカとの戦いの話しになってしまう。そ -
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「砂漠の狐」といえば、言わずもがなエルヴィン・ロンメル将軍の異名としてあまりにも有名で、寡兵であるにもかかわらず大量の連合軍を相手にアフリカでの砂漠戦で数々の勝利を成し遂げた名将として名高い存在である。
しかし、ロンメルが寡兵がゆえに苦労した原因としては従来、そもそもアフリカ軍団としてドイツは2個師団しか送り込まなかった、そもそもイタリアの尻拭いの戦いでありイタリア上層部との諍いが絶えなかった、言っても言っても補給が思い通りにならなかったなどが挙げられていたかと思う。
にもかかわらず戦術的な勝利を続けたロンメル将軍は「名将」の名を欲しいままにしていたわけだが、欧米では逆に作られた「英雄像」とい -
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ロンメルは第二次大戦中のドイツの将軍としてあまりにも有名だが、北アフリカで機甲師団を率いていたという程度のイメージしかなかった。
本書では、ロンメルの生い立ちや軍歴、特に、ドイツの軍人として非主流派に属し、軍幹部になるための高等教育を受けていなかったこと、そして、それが故に、前線指揮官としては有能でも、大軍団を率いるような戦略的視点を欠いていたことを幾つもの事実からあぶり出している。
その上で、ヒトラーやドイツ軍幹部との関係やナチスとの距離感なども幾分の推測を含めて記述し、人間としてのロンメルにも迫っている。こうした分析を日本語で読めるというのは幸いなことだ。
あとがきに、著者が本書を執筆する -
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沙漠の狐が霞んだ。
ロンメルのことは沙漠の狐とノルマンディーの要塞,ヒトラー暗殺計画くらいしか知りませんでした。
沙漠の狐の内容が予想とは異なっていました。もっとモントゴメリーを苦しめたと思っていました。映画などで見る誇張された内容は真実とは異なっているということを知りました。ゲッベルスの広告塔利用については,良く分かります。戦国武将的な指揮官は前線における兵士の士気に大きく影響しますから。
軍人としてのロンメルは戦術家であり,戦略家ではない。と思いました。でも,戦史におけるヒーローは常に戦術家ですから,ロンメルの人気もうなずけます。
現在の経営者にも当てはまる部分があるとすれば,ロンメルはよき部門長であり