大木毅のレビュー一覧

  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    現在進行している、ウクライナ紛争の裏にあるもの、ロシアから見たウクライナ戦とは?というところを理解するのに読んだ。(実際にはオーディブルで聴いた)

    読み終えて感じたのは、この本は太平洋戦争に対する「失敗の本質」。

    ナチスドイツの自国民の優越性の称揚が実は戦争の性質を規定し、独ソ戦に突入する契機となった。(自国民に対し、戦争に投入する資源の確保、という見地から、日本は、自国民に節約を強いたがドイツはより豊かな生活を約束した。本書中に、「大砲もバターも」として描かれている)

    となると、戦争により栄えるドイツ、を立ててしまうと、必然的に「戦争の相手国から全てを奪う」「資源も金も、人すらも」とい

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    2023年07月24日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    これを読めば第二次世界大戦における独ソ戦の全てが理解出来る名著。

    今まで誤解されていた面も丁寧に説明されているので、ドイツの絶滅戦争に関心のある方はこの本から始めるのがお勧めだと思います。

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    2023年06月19日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    独ソ戦、東部戦線こそが主戦場というだけあってとてつもない凄惨な戦いだったことがわかる。
    戦争が起きる上でイデオロギーや地理的な要因がかなり大きい。
    なによりソ連がめちゃくちゃ強いことが分かった。

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    2023年06月06日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    何年も前に読んだナウシカをまた読みたくなったきっかけだった。
    こんなに深い視点がいっぱい詰まった作品だったとは思わなかった。当時読んだ時は20代前半でまだ世の中の現実や厳しさなどほとんど知らない世界で過ごしていたためか、ほとんど心に残っていなかった。というよりも理解できていなかったのだと思う。
    もう一度ナウシカを読み始めて、同時にこの本も読んでたくさんの人の考察を見ると、全然見える世界が変わった。
    本書の誰かも書かれていたけれど、過去に読んだ時と別にもう一度読み直すと見える世界が違う。まさに自分もそうだった。

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    2023年06月06日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    第二次世界大戦における、ナチスドイツとソ連の泥沼の戦いの詳細な研究記録。
    ヒトラーやスターリンという残虐な暴君がその惨禍のわかりやすい原因として槍玉に挙げられるが、真理はそう簡単ではない。
    実際には、加担した人々もその非難を逃れようとしてヒトラーに責任を押し付けたりだとか、各地域の人々がユダヤ人に対し強い憎悪を持ち、ナチス党員が求めずとも自発的にユダヤ人を虐殺したりだとか、政治的な駆け引きのためやむなくソ連またはナチスに加担したりだとか、一筋縄ではないのが事実である。

    現在進行形に進むロシアのウクライナ侵攻を理解するのにも参考になる。
    また、いざ戦争となればどのような形で国民や国土が無残に踏

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    2023年05月29日
  • 指揮官たちの第二次大戦―素顔の将帥列伝―(新潮選書)

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    第二次世界大戦の指揮官、俗説を否定し新たな視点から再評価する紀伝体の戦史。

    南雲忠一、カール・デニッツ、ジョージ・パットン、水上源蔵、トム・フィリップス、シャルル・ド・ゴール、ゲオルク・、トーマス、ハンス・ラングスドルフ、ゲオルギー・ジューコフ、エルンスト・ローデンヴァルト、山口多聞、ウィリアム・スミス

    ビルマ戦線の水上源蔵はこの方だけで評伝が作れそう。マレー沖海戦のトム・フィリップスの戦死は、実はイギリスでは知られていなく、英軍捕虜の作り話らしい。しかし艦と運命を共にした大将、その後の日本海軍の有能な人材を失う遠因となったとの指摘。

    戦史研究の進展により変わる指揮官の評価。実に興味深い

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    2022年10月29日
  • 戦車将軍グデーリアン 「電撃戦」を演出した男

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    帯にある「電撃戦は無かった」が、グデーリアンの著書の「電撃戦」が都合良く編纂されていることと、ドイツ軍のドクトリンに「電撃戦」なるモノは無かったのダブルミーニングだったとは。うまい帯を着けたものだ。

    それにしても、グデーリアンの萌芽ロンメルよりも余程「伝説」と「実像」の乖離した人物であったとは意外であった。そりゃ、誰でも自分を良く見せようとはするものだけど。

    優秀な作戦指揮官止まりはともかく、国粋主義的なプロイセン軍人の典型ってのはなあ。

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    2022年09月19日
  • 日独伊三国同盟 「根拠なき確信」と「無責任」の果てに

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    日独伊三国同盟 「根拠なき確信」と「無責任」の果てに (角川新書)。大木 毅先生の著書。「根拠なき確信」と「無責任」が破滅を呼ぶ。「根拠なき確信」と「無責任」が不幸な結末につながる。自分や誰かの「根拠なき確信」と「無責任」で本人だけが破滅したり不幸になったりするのは自己責任。でも自分や誰かの「根拠なき確信」と「無責任」でほかの人たちまで破滅したり不幸になったりするのは自己責任では済まされないし許されない。

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    2022年08月17日
  • 「太平洋の巨鷲」山本五十六 用兵思想からみた真価

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    用兵家としての山本五十六に迫ろうとした伝記。筆者があとがきで、今度はこうした縛りなしで、人間山本五十六について伝記を書いてみたくなったと書いているほど、惚れ込んで資料を読み込んで書いているので、用兵家としての山本五十六の心情が逆に伝わってきた感じがする。(確かに所々で顔を出す、部下への妙な説得力は、理ではなく、人格的魅力としか言いようがない)

    アメリカ留学を経験し、航空機と石油の重要性に気がついた。一式陸攻を作りださせた。これが結果として、第二次上海事変で、重慶への戦略爆撃を可能とした。開戦前からもし開戦となれば尋常ならざる航空機の損耗に気がついていて、増産を依頼していたにも関わらず、全く整

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    2022年06月20日
  • 日独伊三国同盟 「根拠なき確信」と「無責任」の果てに

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    まるでドキュメンタリーのような臨場感を感じるほど、外交官たちの交渉の一部始終がまとまっている。なんとなく「同盟」という言葉を聞くと協力関係といったポジティブな印象だったり、少なくとも利害関係が一致している関係性を想起させるが、日独伊三国同盟はお互いを利用しようとする姿勢が見え見えで、当初の自分がイメージしていたものとは全くかけ離れた実態があった。所詮国際政治や外交関係なんてそんなものなのかと。建前と本心の棲み分けは昔から変わらないのだなあと。

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    2022年02月26日
  • 帝国軍人 公文書、私文書、オーラルヒストリーからみる

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    当事者たちが亡くなる現在だからこそ重要な議論。軍事研究の泰斗二人が語る資料、オーラルヒストリーなど調査の留意点。

    今年読んだ本の中でベストワンかもしれない。二名の歴史研究家が、調査の過程で身につけたワザ、バイアスについて語る。資料そのものには記載されていないが、重要な視点を多く指摘している。

    書籍だからといって100%は信用できないという。海軍は戦後もヒエラルキーが生き続け、通史と違う内容の記載は否定されたという。戦闘詳報など公文書も同様。言われてみれば当たり前だが軍人は国家公務員。自分たちの組織に都合の悪いことは書かない。

    公文書、私文書とオーラルヒストリー。それぞれの長所がある。ほと

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    2020年11月19日
  • 帝国軍人 公文書、私文書、オーラルヒストリーからみる

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    対談形式でかなりマニアックな書。本当はとか、背景にはとか、現代にも往々にして存在する忖度がサラッと書いてある。故の信憑性を感じたり、歴史書には表っつらしか書かれていないちょっとした真実が垣間見れとても考えさせられました。
    特に山本五十六が何故選ばれたのかについては成る程と驚嘆だった。
    取材した時には、涙して聞いていたが原稿が上がってくるとそこまで書かれていないとか。人って…とか、寝て起きたら気持ちが変わる…とか、取材側も色々大変そうだ。
    書籍でも版によっては書かれている事が変わっているものもあるそうで、著者のピックアップも関心度がまします。
    取材と出版で数名の作家の名が上がっているが、吉村昭さ

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    2020年10月17日
  • 帝国軍人 公文書、私文書、オーラルヒストリーからみる

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    軍事史研究の第一人者による対談。研究の雰囲気が伝わってくる。

    時代の雰囲気や先行研究を理解せずに資料を読むのは危険というのは同感。軍事史研究だけではなく、戦後史研究についても、同様の問題は既に生じているような気がする。

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    2020年09月22日
  • 「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨

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    ロンメル将軍についてはアフリカ戦線で活躍した名将というレベルの知識しかなかったが、いわゆる出世コースではない生まれ、学歴でありながら功績をあげたこと、そのことが逆に能力の限界に突き当たってしまったことなど知見を得られた。欧州でのロンメル像の移り変わりやヒトラー暗殺計画を知っていたか?など興味深く読んだ

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    2019年12月31日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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    戦略に興味がある人は必読
    日本の教育を受けた自分の歴史認識を大きく変えられた

    国の存亡をかけた戦争から、
    ・合理性だけでは指導者は意思決定を行わない
    ・短絡的な戦術では勝てない
    ・価値のある情報を得ることの重要性
    などを考えさせられる一冊

    中学高校までの歴史の授業の認識と異なり、ナチスがいかにソ連に苦戦し、追い込まれたのかを史実に基づいて語られている

    また、「戦略」、「心理戦」、「情報戦」など多面的な戦いが記述されている
    必読のビジネス書だと思う
    孫子「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の意味を改めて考えさせられた

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    2023年12月26日
  • 「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨

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    エリートコースから外れたが故のスタンドプレー。しかし、目立たなければリストラされてもおかしくなかった。現場の指揮官としては最高だが、補給を軽視して博打的作戦行動を行うという、全軍の指揮官としてはイマイチ。それはエリートコースから外れて、戦略家としての教育を受けていないがためだった。ここでこうしていればもうちょっとマシだったのではないか、というよく言われるわけですが、彼に関してはその半生を考えると必然だったのではないかと思わされる。力作です。

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    2019年06月22日
  • 「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨

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    砂漠の狐、ロンメルの伝記です。
    新たに世に出た多くの資料を取り入れ、英雄としてでなく人間としての姿が浮かび上がります。
    記録が少ない故の伝説や神話ではなく、真実を求める研究に今後も期待します。

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    2019年05月27日
  • 「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨

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    ロンメルの研究、色々と進んでいたんだね。知らなかったよ。日本語で出版されないと、商事清めないからね。とてもありがたい。そして、ただ単に最新の研究の成果を書籍にするのでは無く、きちんと読者がそれを理解するのに必要な背景情報(当時のドイツの士官養成の複雑な仕組みなど)を適切に掲載している。とてもありがたい。

    それにしても、ロンメル、高級将校に必要な教育を受ける教育を受ける機会を二回も蹴飛ばしてたのか…
    そのたぐいまれな戦術眼に、参謀教育が加わっていれば、「真に偉大な将官」になったかもしれないよなあ。

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    2019年04月19日
  • 「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨

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    ロンメルに関する評伝
    今迄の定説とかを詳しく解説しつつロンメルの人生を解説し、定説や過去の評価を再評価してました
    過去の評価ではあからさまな偏向がかかっている部分紹介されていたり、今までの定説は実は…。と読み応えありました

    それにしてもこの人は苦手な事務仕事が嫌だからと参謀教育を受けていない分、補給に関しては(汗
    師団長レベルならなんとか…なるかな?レベルで方面軍とかのレベルの器では無いのが良くわかりました

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    2019年03月19日
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

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     以前から独ソ戦に関心があったため、入門書として一冊。グラスノスチやソ連崩壊後の機密文書解除前の古めかしい独ソ戦像を徹底的に最新の情報に置き換えてくれる。YouTubeで独ソ戦などの第二次世界大戦の動画を見ることがあるが、この本の情報からすると、古く、史実に反するような情報を見て取れると感じるようになった。
     第1章では、スターリンが大粛清で軍高官の多くが殺され軍が弱体化したこと、ドイツが自国を攻撃することはないと踏んで結果的に多大な犠牲を出したことがソ連側から説明される。ドイツ側の視点では、ソ連の戦力を見くびり、楽観的過ぎる非現実的な戦争計画を立てていたことが説明されていた。これはヒトラーの

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    2025年11月27日