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参戦各国の指揮官や参謀たちは、いかなるエリート教育を受けたのか。どの国も腐心したリーダーシップ醸成の方策とは何なのか――。「指揮統帥文化」という新たな視座から、日米英12人の個性豊かな人物像と戦歴を再検証。組織と個人のせめぎ合いの果てに現れる勝利と敗北の定理を探り、従来の軍人論に革新を迫る野心的列伝。
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Posted by ブクログ
太平洋戦争に関わった、日英米の将官から、やや知名度は低いながらも、転機となる局面で実際に重要な役割を果たした(と考えられる)人物を選び、生い立ち、性格分析、戦時の行動を評論する。 各国が考えていた将器とはどういうものかを、それぞれに浮かび上がらせる狙いがあるものと思われる。 終章で著者は、昭和の日本...続きを読む陸海軍は、修業時代に拳拳服膺したドグマに支配された秀才型が中枢を占めたがために、骨太な戦略家を持ち得ず、過去の延長から逸脱してでも機先を制することが重要となる戦争のような営みでは、個人の性格のダイバーシティを許容する度量が大きい欧米に劣後することになった、としている。 とはいえ、「戦略」が有効に機能するのは、もともとリソースを備え有利な立場にあるときだけではないだろうか。弱者に戦略なし、だ。あがくだけあがいて、状況改善に努める以外はあるまい。 昭和の日本のコマンド・カルチャーが、まじめさと小手先の頭脳働きを評価し、その埋め合わせかのように、オカルトめいた「気概」を重視するようになり、そして各戦線や銃後で悲劇的な結果を招いたのは、悲しいことだが、無理もなかったのでは。
軍事史家として個人的にかなり信用している大木氏の著作。まず「あの戦争をなんと呼ぶか」というところで、アジア太平洋戦争が最も適切ながら党派性と結びついてしまっていること、大東亜戦争も学術・文芸の言葉としては用いられないとして、手垢がついた凡庸さゆえに最大公約数的な価値中立性を得ている太平洋戦争を使うと...続きを読むいうところから激しく同意。 どこかで連載していた太平洋戦争中の日米英の将帥の列伝で、分量的には物足りなさがあるものの、逆に言うとそれぞれの人物の指揮統率を理解するうえで重要なポイントに絞って論述している。 シンガポールで降伏せざるえなかったパーシヴァル、上級司令部の指導なく現場で第一次ソロモン海戦に勝利しつつ輸送船段に手をつけなかった三川軍一、戦術レベルで力を発揮したが戦略レベルで強引な作戦を立て破滅に向かった神重徳、日本軍の伝説を粉砕したヴァンデグリフト、細菌戦の北條圓了、フライングタイガースの指揮官シェンノート、近年過大評価されていたとされているがそれでも独創性を有していた小沢治三郎、比島沖海戦や台風で2度失敗している猛将ハルゼー、独混一旅を東条にバラバラにされ近衛と倒閣運動をした酒井鎬次、実は軍政部門で細やかさを見せていた山下奉文、イギリス軍の人事制度で力を発揮できたウィンゲート、ヨーロッパ戦線で名を挙げ日本を爆撃したルメイを取り上げている。 本書のために書き下ろされた終章では、短いながらコマンドカルチャーについて考察している。平時に形骸化・官僚化する軍だが、日本の場合は第一次世界大戦から教訓を集めたときに持たざる国であったことを直視すると軍人たちは絶望したと、結果現実から最適のドクトリンを追求するのではなく、おのれが取りうる戦術や作戦に都合のいい戦例を並べ立てる「教訓戦史」に走ったとする。 最後に一点面白い指摘をしていて、日本の将校が非常に独善的かつ楽観的な姿勢を示す傾向が強いことは知られているが、それはめっけるがすでに1888年に日本将校固有の欠点の三つのうち第一として「物事が容易に為し得るものと妄想していること」だと断じていた。著者は日本人論の範疇に属する問いかけかとも述べているが、ここを掘り下げた著者の研究を見てみたい。
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決断の太平洋戦史―「指揮統帥文化」からみた軍人たち―(新潮選書)
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