三宅香帆のレビュー一覧
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面白い小説の共通点は「自分が好きな場面を挙げられること」というコンセプトのもと、小説を書く人の参考となるよう、様々なシチュエーションのいろんな小説の「名場面」を取り上げ、なぜそれが名場面なのかといったことを気鋭の書評家である著者の視点で解説。
自分は小説を書きたいと思っているわけではないが、小説を読むのは好きなので、小説をもっと面白く読むための参考にと本書を読んだのだが、著者の冴えわたる解説自体がとても面白く、「なるほど、小説の名場面というのはこういう構造になっているのか」と納得させられた。未読のものも多い様々なジャンルの小説の名場面をザッピング的に読めたのも楽しかった。
特に、著者の小説を読 -
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頭脳明晰な文芸評論家であり文芸オタクの京大生による著名な作家の文体や文章構造の分析を基にして文章を学べる本。(というか教科書レベルによく分析されています。文章教室でテキストにしてる人絶対いるはず。)
どうして私はこの文体に引き込まれてしまうのか、私はどうしてこの文体が好きなのか、と疑問に思っていた点を明確な分析と考察により、解き明かしてくれる。この筆者、めちゃくちゃ賢いなぁ。(って当たり前だけど。私よりは当然数百倍賢いはず)
バズる=注目を浴びる。
人生に1度くらい私もバズってみたい、とは思うけど、まだそこまでの情熱が持てない..。
もっとバズる文章を勉強したいと思った時に書き込みと付箋 -
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あなたの書きたいことを自由に書きなさい。そう言われても何を書いたらいいかわからない。
書きたいことがあったとしてもどうやって書いたらいいかわからない。
起承転結はわかるけど「うまく書けないなあ」と思う。先生に聞くと言葉の使い方や読み手のことを考えてと言われる。
わかるけどわからない。
そんな時にこの本は心強い。
文章を書くことにはいろいろな方法があるのに、それを知らないまま「さあ、思ったことを書きなさい」と言われても困るし、「となりの人と読み合ってアドバイスしあいましょう」とか言われてもどう読んでなにを話したらいいかわからない。
学校の中で起きていることはだいたいこんな感じで、作法としての文 -
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”バズる”ってことは、やっぱりネット向け?と思って読み始めた私。
作者の思惑は「そうではないよ」って。「テクニックを駆使して一時的に大きな拡散を狙う」ことが苦手な人向けに、書いた本であり、目の前の人の心をつかむ文章の書き方を伝えたいそう。(自分が思っていたことを作者も予想していたかのような言葉)
多種多様な作者、作品の一部を取り上げながら、人の心に刺さるような、” もっと読みたい”と思わせるような文章の書き方を教えてくれる本、作者の個人的見解も交えながら文章の書き方、表現のしかたを知ることができるのでとても勉強になる。
私は、この本で得たことを少しだけ実践している最中。 -
購入済み
短くまとまり読みやすい
内容自体は他の文章読本でも見たことがあるようなことばかりで、特に目新しいことが書いてあるわけではないが、読みやすさ、わかりやすさは頭一つ抜けている印象。
ある界隈の常識を別の界隈にわかりやすく伝えるメッセージがバズることがあるが、まさにそれを体現しているように思う。『文章を書くのが大好き』界隈の常識を、『SNSでつながりあいたい』界隈に伝える。そんな感じの書籍だ。
文章読本として目新しいことがないからと言って、読んでつまらないわけではない。著名人の文章の書き方を主題にしたエッセイとしても十分に面白い。
いろんな作家、エッセイスト、アイドル等々の文章が広範囲に集められていて -
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あんなに忙しくていつ本を書いてるの…??と思ったら、第一部以外はこれまで三宅さんが書かれたnoteの書評記事をまとめたものでした…ので、ちょっとガッカリ。
面白い話をするためにはネタを沢山仕入れた方が良い。本からそのネタを引っ張ってくるためには、ただ漫然と本を読むのではなく鑑賞の技術が必要であるというのが第一部の要旨です。
その技術には具体的に5つのポイントがある。
①比較 ②抽象 ③発見 ④流行 ⑤不易 が挙げられています。
本や映画を見たとき、その5つのポイントから「鑑賞」すると面白く話せるよ、ということでした。
三宅さんのYouTubeが好きでよく見てますし、三宅さんがお勧めする本も -
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ネタバレ1. 「考察」の変質と現状
・エンタメ化した考察: かつての考察は一部の熱狂的なファンによる深読みであったが、現在はSNSや動画プラットフォームを通じて、誰もが参加可能な「謎解きゲーム」へと変質している。
・ファスト教養としての側面: 作品を鑑賞すること以上に、「その作品の正解を知っていること」に価値が置かれ、コンテンツの消費スピードが加速している。
2. タイパ至上主義と「失敗したくない」心理
・タイムパフォーマンス(タイパ)の追求: 膨大なコンテンツが供給される現代において、若者は「外れ」を引くことを極端に嫌う。倍速視聴やネタバレ確認は、限られた時間を効率的に使うための生存戦略である。
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ええ?そうなの?今の若者で『ONEPIECE』を考察なしで読んでいる人はいないとのことに驚きを隠せない。連載当初読んでいたが、ただただ与えられた物語を楽しんでたな。
一方で、映画を観た後ついつい他人の考察を漁ってしまう自分がいたりする。まだまだ若いってことで良いかな?笑
報われるかどうかについては、全く考えたことがなかったのでこれも新鮮だった。エンタメ文化にまで、そのような考え方が浸透しつつあるのかと思うと、現代の若者は大変なんだな...と思うばかり。
ついついXやTikTokを長時間観てしまうのも、"報われたい"が根本にあったのかと思うと、なるほど納得である。私もよくT -
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ネタバレ考察する若者たち、というタイトルに惹かれて読みました。以下、腹落ちした部分を抜粋
。。。
若者…「報われたい」
考察=語り手の個性は必要ない 、批評=語り手の個性が必要
ラベリングされた自分でありたい
たしかに私たちは怖がっている。失敗を、恥を、後悔を、報われない努力を、何にもならない時間を、何の意味もない感情を、誰にもわかってもらえない感想を。
最適化に抗う
。。。
腹落ちしたところが多くて、そうだよね、という気持ちがありつつ、漫画のくだりの説明、引用がちょっと多いな、と食傷気味なのがおっさんの感想。
あと、本当は「批評」ということについて書きたかったのでは、と思ったり。批評というものに語 -
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ネタバレ僕は三宅さんと同世代なのだが、読み進める中でまず思ったのは、「上の世代は今の時代を生きていて、報われたい! 正解が欲しい! と思っていないんですか?!昔はそんなふうに生きていなかったんですか?!」ということだった。笑
というのも、最後まで読むと、本書は若者論というよりも、現代社会の捉え方そのものについて語っているように感じられたから。そう考えると、若者とは、その影響をより受けやすい対象にすぎないのではないか、という気がしてくる。タイトルが「考察する若者たち」で、世代で異なることを前提として読んだけど、実際、今を生きる大人たちはどうなのだろうかと。
自分は、若者側に立つと感じる場面もあれば、