三宅香帆のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
批評とは作者も思いつかなかったような解釈を見つけ出すこと。最近はこういう読み方ではなく、作者が意図した仕掛けを考察して正解を見つけ出すことに面白さを感じているにだという。この背景にあるのは、努力したことは報われたい。報われない努力には意味がないし、そういう失敗は怖いのだという。勉強でも仕事でもエンタメでさえ、努力が報われなかったらそれは意味がないことだという。ここまで読んできて、これが今の若者を観察して導き出した社会論だということがわかった。「界隈」というシニアには聞き慣れない言葉も、そこで展開されるキャラという縛りも、実感として感じられない私には、先に読んだ『世界99』をほんの浅いレベルでし
-
Posted by ブクログ
三宅香帆、得意分野中の得意分野みたいな本。三宅香帆の得意分野とは、他の著作から分かる通り、抽象的な概念の分析と言語化だと私は考えている。世間でなんとなく漂う空気感であったりを、何故そのような空気感が漂うのか。分析し、言語化することで我々読者も納得する論理とする。非常にロジカルな論者である。尚且つ、文章に込められる熱意が強い。本作でも、その特徴が色濃く出ていた。
考察する若者とは何か。若者サイドから見ても納得のいく定義であった。映画を倍速で観る若者たちにも通じるとところがあると考える。結局のところ、誰しも今をしっかりと生きていると胸を張りたいのだと思う。映画を倍速で観る人たちはコスパを気に -
Posted by ブクログ
「好き」を言語化する技術 - 三宅香帆
これは「推し」の魅力を伝えるための技術の話。
この本によって今、私は「推し」の魅力を伝えなければならない、という使命感と、今なら伝えられるかもしれない、という高揚感に駆られている。
なぜかって、私には正真正銘「推し」という存在がいる。最近の言葉にあやかって使っているので、「推し」という言葉を使い慣れていないことは、どうか多めにみて欲しい。
「推し」とは簡単に言うと好きな人、夢中になれるもの。アーティスト、アニメ、スポーツ、本、映画なんだって良い。
私にとっては、小学生の頃からあった存在だった。不定期に様々なジャンルの音楽アーティストを好きになっ -
Posted by ブクログ
労働と読書の旅路を、明治から2023年12月までの歴史にて、示された本。
本とは、歴史やその人の価値観がノイズとして反映された知識である。
現代社会における、インターネット情報や、自己啓発書には、ノイズが省かれた自分に必要な情報しか基本得ることごできない。
SNSにて情報の溢れる社会にて、労働者不足を残業にて補う社会「全身全霊で生きる」に対してのアンサーは「半身で生きる」。
全身全霊に一つのことに費やせるのは、周りの人がサポートしてくれるからや、自分自身にたまたま余裕があるからに他ならず、一時的には可能である。
しかし、これが持続的になると鬱になる。
半身で生きることは、複数の自分 -
Posted by ブクログ
なるほど〜という方法ばかり!とてもおもしろかった。読ませる文章にはリズムがあることくらいしか知らなかったけれど、改めてこうやって分析されたものを見ていると本当にそうで、他にもいろんな技を見られた気がした。なかなか習得は難しいと思うけど、一朝一夕で身につくものではないので、よく読んでよく書く練習をするべきなんだろうな。
・綿谷りさ、語尾をぶった斬る▶︎いらない語尾は切って仕舞えば良い。印象深い体言止めの数々。
・北原白秋、二つのものを並べて始める
・しいたけ、最初に意味不明な言葉を放り込む
・江戸小噺、あえて皆まで言わない
・高田明、あるあるから話し始める
・さくらももこと古畑任三郎、結末を先 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分も含めて何かするときに報われたい気持ちがあるからすぐ正解を探したくなる、批評ではなく考察が流行る、AIに正解を聞く、凄い合点がいった。
正解=最適化に辿り着けないと怖い、時間が勿体無いというのは非常に現代を生きる自分にとって身にしみて痛感した。そして、これがある意味での生きづらさでもあるのかと少しスッキリした。
著者の三宅さんが語る批評の良さである色々な人が色々な感想を持っているのを見て、世界の見え方が人によって違うことを感じる所業は、ある意味ではそれを最適化を求める人たちによって批判されることが怖いので、正解を探しに行ってしまうことにつながり、批評文化より考察文化が台頭していくのではない