三宅香帆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説の名場面と聞くとミステリ系とか、どんでん返し系が好きな自分としては『十角館』のアレとか『新世界より』のアレとか、ド派手だったり衝撃的な場面が思い浮かびがちです。
一方でこの本で取り上げられる場面はさりげない場面が多いです。姉妹の朝食の場面とか、生徒が図書室に足を踏み入れる場面であるとか、自分だったらさらさらと読み逃してしまいそうな場面の数々。
著者の三宅さんはそんなさりげない部分に独自の視点を光を当てます。
文体もあると思うのだけど、取り上げる場面に対して偉そうに解説や講釈を加える、というよりかは「ほら、ここ、めっちゃすごくない!?」と、語らずにはいられない推しの魅力を、とにかく熱心 -
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Posted by ブクログ
いや、面白いよ、コレ!
文章をこんな風に解説するのは、読んでいて面白い。
ただただ、感じたいだけの人には余計に思えるかもなぁ。
何だろうなぁ〜。
どんな世界にも解説とか考察みたいなのはあるじゃない?
ルフィの仲間力とか、そういう漫画を解説したものとか、関ジャムで音楽の解説をしたりとか。
そういうのを余分に思う人もいると思うのよ。そういう目線で見たくない。みたいな。
そういう人には向いてないかなぁ。
そういう目線で見始めて、単純に楽しめなくなったりすることもあると思う。
それは好みだと思うな。
僕自身は割と面白く読めたけれど、果たしてそれが、本当に解説された著者が考えてやったことかどうかはわか -
Posted by ブクログ
芥川龍之介というと、『蜘蛛の糸』や『羅生門』など、難しそうで苦手だった。しかし、(芥川龍之介ファンには怒られてしまいそうな表現ではあるが)女の子の気持ちになって自分の弱みを吐き出そうとした作品『女生徒』のような作品もあると知り、興味が湧いた。
また、『ひとめぼれしたときに読む本』で恋愛小説を勧めるのではなく、「彼、彼女に似合う素敵な人になろう!」と言うことで堅めの本を勧める著者のセンスがいいな、と思った。
「あとがき」で著者が書いているように、人間が苦しんだり悩んだりした結果生まれたのが本だとしたら(私自身は楽しいときに生まれるものもあると思うので、人の心が大きく動いたときに生まれるものだと -
Posted by ブクログ
教科書のようでいて、実のところ、形を変えた文体ウォッチング本。
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僕は食べるのが好きだし、料理をするのも好きだ。
読むのと書くのは、同じような関係なのだろうか?
…と、これは本書でいう「星野源の未熟力 未解決問題モデル」にあたる書き方、だろうか。
古今のさまざまな書き手の書き方を研究して、それぞれの「まとめ」をした本である。
「文章で的確に伝える」という技術ではなく、「文章で楽しんでもらう」という文芸的な目線で書こうよ、と呼びかける。
興味を引きそうな見出しをいくつか挙げてみると、
・会話割り込みモデル 林真理子の強調力
・主観バリバリモデル 谷崎潤一郎の気分力
・妄想上 -
購入済み
共感の押し売りが邪魔
「こういう経験、あなたにもありますよね?」としつこく何度も、私は一切経験したことがないことを「あるでしょ?」と言ってくるのが大変に邪魔臭かった。
何故こんなにも、他人の酷評を見たせいで好きなモノが色褪せた経験が誰にでもあると考えているのか甚だ疑問です。私にはありません。
自分の好きや嫌いは、誰がどう言おうが全く揺るぎませんし関係ありません。
私の存在を否定してくるのが腹立たしく、途中で読むのを止めてしまいました。