三宅香帆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者はずっとこう言っている。「人生に不満やつらさ苦しさがなければ、本なんて読まなかった」(正確ではなく大体こんな感じ)と。
前まではこの考え方に反発すら覚えていたが、今はそうでもないような気がしてきた。
環境の変化や年齢を重ねることによって、考えが変わることもある。
読書も、そのときどきの感情によってどんな本を読みたいかが変わってくるのかもしれない。
本書でも著者は沢山の本を進めてくれており、どれもこれも面白そうなのだが、今回最も読みたいと感じたのが、よしながふみさんの『きのう何食べた?』だった。自炊したくないときに読む本と紹介されているが、私の場合毎日ほぼそんな気持ちだ。世の中で一番面倒く -
Posted by ブクログ
三宅さんの文章は軽いのに薄っぺらい感じがなくて、すっと頭に入ってくるので好き。ただ、本書は三宅さんがあらゆる人物の評論やエッセイ、小説などを拾い、どういうテクニックを使って文章を書いているのかを丁寧に情熱を持って書いており、正直ちょっと読んでて疲れた。使ってみたいと思わせる文章術と、いやいやそれはちょっと…な文章術それぞれ面白いんだけどな。
それはちょっと…と思ったのが、読点を多用する文章。目で追っていても一つひとつの単語で一旦止まってしまうので個人的には読むペースを妨げられていると感じてしまう。
あえて読点を多用することによってゆっくり読んでもらうことが狙いということだ。それは分かるし、何 -
Posted by ブクログ
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が集英社新書で発売されたのが2024年4月17日。この本が、幻冬舎新書で発売されたのが2024年9月26日で、続くなぁ、すごいなぁ、と思っていたら、2019年に刊行された『人生おたすけ処方本』を改題したものだそうです。
で、新書版のまえがきの書き出しはこうです。
「まったく他人に相談しない人生だった。」
『人間失格』(太宰 治)の冒頭(「恥の多い生涯を送って来ました。」)を思い起こさせるような書き出しの文章の意味を、三宅さんはこう説明します。
「だけど私にとっては、ずっとずっと究極の相談相手が存在していた それが、本だった。」
幻冬舎新書