三宅香帆のレビュー一覧
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ネタバレ
○近代日本から遡る「推し活」の文脈
甲子園や宝塚歌劇団から紐解く推し活の歴史は、当時の時代背景を知らない自分でも納得のいく内容となってました。
その中でも特に
「推し」=「夢を叶えるために頑張る子供」
「審査員」=「父」
「ファン」=「母」
という考え方は圧巻で、子供は父に認められるために励み、母は子供に母性愛を注ぐこともあれば、過度な介入は凶暴性を孕む。この構造はまさに推し活にそのまま当てはまるなと感じました!
○ファンダムが作り出す共同性の恐怖
好きなものを共有する仲間と話し合ったりするのはとても楽しい。
ただ、みんなで応援するぞ!という集団により形成された空気が個を失わせ、時にはそれが誰かを傷つけることもあるということ。
だからこそ、推し活を一対一で楽しむことの大切さを改めて再認識するとともに、
「自分の言葉を持つ」
ことの重要性が伝わる本でした! -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作「好きを言語化する技術」と、アドバイス内容はほぼ同じ。基本は、コンテンツを読んだり、見たりした時に感じた事をメモをとっておく。他人の評価を読む前に自分の考えをまずは言語化してみる。できれば、SNS等で発信する。
ちょっと新しい視点としては、他製品と比較、コンテンツのテーマを自分なりに言語化、コンテンツに書かれてない行間を見つける。をとっかかりにするとよさそうだと思った。
本の後半は、ほとんど、三宅氏が言語化した「面白い話」が掲載されており、例として読めます。自分がここまでできるようになるには、相当コンテンツの読み、閲覧しないととちょっと途方にくれましたが、参考にさせていただきます。 -
Posted by ブクログ
お笑い芸人の話が面白いのは、日常的に面白い経験をしているからでそのような日常を生きていない私たちは、意図的にインプットをすること(読書や映画などの鑑賞)とどうアウトプットにつなげるかの視点が大切。
アウトプットのための視点として、比較、抽象、流行、不変などの観点はわかりやすい。中でも作り手が何を描かなかったかを意識して見ることの重要性は考えたこともなく、発見だった。
著者の別の書籍にもあったが、自分の言葉で語れるようにすることも大切だなと思った。作品を鑑賞したときにほかの人の感想をすぐ調べる前に自分で調べてみること。
リバイバルブームで、村上春樹の継承者として、村上春樹作品の続きを誰かに書いてもらう的な話は面白いと思った。(私は見たことがないけど)演劇だとハムレットをもとにした、ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだとかって作品もあるし。
考えてみると演劇はリバイバルが最もしやすいメディアなんだなと思った。同じ戯曲でも、演出によって全く内容は変わるし。
そういう意味では、海外小節の翻訳のし直しとかやってみてほしい。指輪物語は映画は好きだけど翻訳が古すぎて読みづらいとかあるので、現代語訳みたいなの出たら熱いなと思ったり。 -
Posted by ブクログ
三宅香帆さん村上春樹好きやな〜の一冊w
「夫婦間のディスコミュニケーション」という社会が抱える問題を村上作品を通して読み解いていく
だがしかーし!
わいはこの三宅香帆さんの批評家精神溢れる一冊を読みながら、ちょっと本筋とはズレた問題について考えていました
曰く「なぜわいは村上春樹を読まないのか」問題です
村上春樹と言えば今年こそはノーベル文学賞と言われ続ける日本を代表する作家であり、おそらく戦後日本で最も読まれた作家であります
だがわいはその村上春樹さんを一作も読んでいません
また今後読む気もありません
なぜなのか?
ちょっと考えてみた
先に言っておくと、それは村上作品が難しいとか面白くないとかいう理由ではない
というか読んだことないので、判断できない
つまりわいが村上作品を読まないことに村上春樹さんは一切の責任がないのだ
では責任はどこにあるのか
それはたぶん「空気」だ
「世の中」や「社会」と言ってもいい
外部からの強制力が働いている気がするのだ
それは「村上作品を読んだら、答え合わせをしなくてはならない」と言う強制力だ
この作品にはどんな社会問題が投影されているのかを各々が考え、共有して、答え合わせをする
そんな風潮がないだろうか
いやいやもうそんな読解力を試される読書なんかしたくないのよ
そもそも村上春樹さんが、いつ私の作品には、時々の社会問題を投影した内容になっていますって言ったのよ
いや村上春樹さんの言動を逐一チェックしてるわけじゃないので、もしかしてどっかで言ってたらごめんやけど
村上春樹さんは書きたいように書いてるだけ(たぶん)
なのでわいは読みたいように読む
その結果何か浮かびあがってきたら、それはそれでいいじゃない
そしてここまで考えてきて浮かびあがってきたのは、本作の「夫婦間のディスコミュニケーション」という問題から、目を背け続けるわい自身の姿なのでした(;´д`)トホホ… -
Posted by ブクログ
とても軽い読み口で、著者のyoutubeの口述かと思うような文体。自分の好み的には少しライト過ぎたけれど、中高生が古典に親しみを覚えるにはとても良い本な気がする。
読みながらもへぇ〜、ほぉ〜と思うことも多く、特に日本史でがむしゃらにただ暗記した荻生徂徠や本居宣長ってそういうことをした人だったのか!と興味深かった。
森鴎外、夏目漱石の日本文学史の中での位置付けなども興味深かったし、福沢諭吉の話も面白かった。しっかり勉強をしていれば常識レベルの知識だと思うが、無知な私には手軽に読めて日本の文学史が手早くサッと概観できる良書だった。
個人的にグッと来たのは近松門左衛門。女郎との恋物語、曽根崎心中(1703)を18世紀初頭に世に出し、それが大ヒットする土壌が日本にあったことに胸が熱くなった。ヴェルディが19世に椿姫(1853)を世に出した際は、高級娼婦が主人公のオペラなんて、と最初は顰蹙を買ったという。社会背景や宗教の違いがあるからとはいえ、日本の芸能文化の題材と観客の感性の豊かさが1世紀半も欧州の先を行っていたんだなぁ、と思うと感慨深かった。 -
Posted by ブクログ
最近なんとなくYouTubeで見かけことが増えた三宅夏帆さん。
TBS CROSS DIG with Bloomberg の動画、【夫の寝顔が無理になる理由】というタイトルが気になり視聴し、この本を紹介していたので初めて読んでみた。
村上春樹の引用が多く、全く読んだことのない私は脱落しそうになったけれど、後半で東畑開人さんの著書の引用など出てきてから面白くなった。読み切れてよかった。。
あとがきに、この本の裏コンセプトは「夫婦というテーマで読む村上春樹作品」と書かれていて納得してしまった。笑
(もはや副題に入れた方がいいレベル)
小説での夫婦の状況をそのまま社会情勢と当てはめるのは短絡的だけれど夫婦やパートナーシップを考える上でのきっかけにするには良いと感じる。
夫婦などの親密な関係性は唯一無二の関係性だからこそ傷つけ合いもするが、時間をかけて修復していくことで関係性をアップデートできる。
いま私自身は小説を読む「私」の時間がたっぷりとれているけれど、また忙しくなってその時間がなくなって「公」に侵食されてしまったらどうなってしまうのだろうと思う。
本の中で紹介されていた村上春樹さんの『ねむり』や東畑開人さんの『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』は是非読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ラフでありながらも基本的には敬体で語りかけるような文体が大衆に読まれる一要素として働いてる
インザメガチャーチとは違って、推し活をしている人間をアイデンティティの欠乏のために自身の理想を対象に重ね合わせる人たちに限定(後方腕組みオタクなどはほぼ対象外)することで、視野を広げすぎず持論に一貫性を持たせている。ただ、そうしたアイデンティティの欠乏から、推し活が危うい状態へと向かいがちな人たちの傾向や状況を把握しながら、三宅自身のように共同性に看過されすぎず広い視野を持ってみてはというような論調は、この言葉が届くべき人たちには届かないだろうし、それをわかっていながら書いている側面も感じられる。
令和人文主義の母性の権化のような文体と文章だった。