万城目学のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現在、大阪城跡に残る城郭は、徳川家によって築かれたものである。徳川幕府は、豊臣氏が築いた大坂城の痕跡を覆い隠すように旧城を埋め、その上に新たな城を築いた。
今回の物語の舞台となるのは、没落し、完全に息の根を止められたはずの豊臣方の意思が、今なお大阪城の地下、ひいては大阪全域で密かに蠢いている「大阪国」である。誰もが見落としてしまうような場所に、豊臣の記憶がひそかに残り続けている。そこにこそ、大阪城の真の面白さがあるのではないか。
現在の大阪城天守閣は、豪奢で特異な外観とは裏腹に、歴史的建造物としての価値は高くない。昭和初期に鉄筋コンクリート造で復興された、博物館としての天守だからである。著者自身もエッセイの中で、小学校高学年の頃にこの事実を知り、大阪城に対する誇らしい気持ちを打ち砕かれたと語っている。
しかし、大阪城の面白さは、現在の天守閣だけにあるのではない。周辺に点在する空堀や地形、地下に眠る遺構など、注意しなければ見過ごしてしまう場所にこそ、その本質がある。人々の目は豪奢な天守閣に引き寄せられがちだが、それは大阪城の複雑な歴史を覆う、きらびやかな表層にすぎない。本質は天守閣の内側ではなく、むしろその外側や地下にある。
本質を華美な装飾で覆い隠し、実際以上に大きく、立派に見せようとする。その姿には、著者が捉える大阪人らしさも重ねられている。この物語は、著者が少年時代から抱いてきた大阪城へのコンプレックスと、それでもなお消えることのない豊臣秀吉への愛慕に根差している。
徳川の城の下で、豊臣の大坂城は今も眠り続けている。そして、その意思は人知れず、現在の大阪の地下で蠢き続けているのである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレオーディブル読書。
まず、著者の名前を「まんじょうめ」って読むと思ってたら違った(笑)読み仮名が分かるのも、オーディブルならでは……なのかな?
主人公の安倍も、聴くだけだと最初は「阿部」だと思ってた(笑)
『夜は短し歩けよ乙女』みたいな、ポップで軽快な楽しさがあって、同じ京都が舞台なのもあってすごく聴きやすかった!いろんな京都の地名が出てくるから、聴いているうちに京都にも行きたくなる。
あと、鬼の風貌は勝手に「さるぼぼの頭のてっぺんが巾着になってる感じ」を想像してたんだけど、映画を見たら全然違ってびっくり(笑)
こういう、自分の頭の中で勝手に想像しながら楽しめるのも小説の面白さだよね。
大学生って楽しそうだなぁとも思った。
青春を何かに捧げられるっていいじゃん。
当事者になったらまた違うんだろうけど、恋愛とかサークルとか飲み会とか、いろんなことで悩んで、それが後からいい思い出になるんだろうな。
登場人物では、楠木は菅原が好きなのかと思ってたら安倍だったのが意外だった。芦屋もそんなに悪いやつなのかなと思ったけど、結局、人間って合う・合わないもあるよねぇ。
そして、高村が最初の「ホルモォオオオ」の犠牲者になる場面は泣きそうになった。
頑張ってるのに結果が出ないって、キツイよねぇ!!!だからこそ、その後のチョンマゲには「なんでやねん!」ってなったけど、妙にスッキリしててよかった(笑)
コミカルでテンポもよく、最後まで楽しく聴けた一冊だった。