万城目学のレビュー一覧
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ネタバレエッセイというより、青春記。
ままならないこの時期を、ユーモアたっぷりに書いているけど、フィクションだけど『バベル九朔』で書いたじゃん。
なんで今更?って思ったら、雑誌でエッセイを書けと言われ、出来ないと言うと、青春記でいいと言われたからだそうだ。
なるほど。
ユーモア小説でデビューしたけれど、『とっぴんぱらりの風太郎』あたりから作風が変わってきたと言われ、『バベル九朔』で離れていった読者も多かったように思う。
でも、多分彼が本当に書きたかったのは、こっちのほうなんだろうなあと読んだ当時思ったものだった。
”芥川龍之介が好きで、菊池寛が好きで、夏目漱石が好きで、中島敦が好きで、安部公房が好きで、彼らのような小説を書きたかった。”
『悟浄出立』なんて、中島敦への愛がダダ洩れだったもんねえ。
”「独りよがり」は自分のためにしか燃焼できない。他人の楽しみには決してなり得ない。他人の楽しみとなるものを書くのが小説家だ。”
飄々とした文章の中に、落としどころを探してもがく作家・万城目学の姿が見える。
国際政治を勉強したくて京大の法学部に入学したマキメ君は、毎年夏休みにはひと月ほど海外を旅してまわった。
最初の海外旅行で置き引きにあい、身ぐるみはがされても何とかなった。
結構大変な目に遭っても、なんとかなるものだと身に染みて知った。
この辺の姿勢もマキメ君らしいと言える。
”国と国が喧嘩すると、そこに属する国民同士も勝手に仲が悪くなる。相手の顔も知らないのに憎しみ合う。本来は人の集合が国を形成したはずなのに、立場は逆転し、国の都合が人の集合をコントロールしてしまう。最悪の場合、戦争を引き連れてきてしまう。”
彼の作品の登場人物たちが戦い合う時、少し悲しげなのはこういうことなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
神社を護る ( 縁結び ) 神のお勤めを描いたコメディファンタジー。4話からなる連作短編集。
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縁結び神の語りで始まるのだけれど、何か神のイメージとはズレていて、舞台喜劇を観ているようでおもしろかった。
各話もそれぞれ味があります。
1話目は、言霊で以て煮え切らない男の欠点を封じることで、恋人の仲を鮮やかに成就させる縁結び譚です。
2話目は、当たり屋をして生活しているというどうしようもないぐーたら男を見事に改心させ、縁結びまでしてしまうという御利益譚です。
3話目は、恋人の「男女の仲」を進展させつつ、それぞれ芸道での成功に導くこの話は『杜子春』をモチーフにしたパロディ譚で、最も笑える出来栄えでした。
そして4話目は、阪神淡路大震災と生田神社をモチーフにしたような描写で、心を打つ展開になっていました。
最終話にこの話を持ってきたのは、万城目さんが関西に縁のある作家だからなのでしょうね。だとすれば作品タイトルにも納得できます。
ともあれ、笑いあり、感動ありの、よくできた作品だったと思います。 -
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ネタバレこの本を読んでいると、久々に中国史に関する本を読みたくなった。中国史は謎が少ないけど、題材にすると書き手によって特色が出るストーリーになって面白い。
万城目学は著者解題で中国史にミステリー要素が少ないのは、司馬遷がいたからだと主張している。司馬遷によって緻密に歴史が記録されたため、司馬遷以降も中国史は正確に書かれていると主張している。この主張はなるほどなと感嘆した。いつかは史記を読み、司馬遷が情熱を出した文を読みたいものだ。
この本はいくつかの短編によって構成されている。その中でも、この本のタイトルである悟浄出立に込められたメッセージに胸を打たれた。「過程にこそ素晴らしさがある」というメッセージは、現代の結果だけを求める風潮に一石を投じているのではないだろうか?
1番面白いと感じたのは、虞姫静寂だ。虞にスポットを当てており、あまり記録が残っていないため万城目学が思い描く虞に対するイメージがありありとこの話に表れていると思う。項羽のかつての妻であった虞に似た女を虞としての役割を与えるというのは、万城目学の妄想力が無ければ思いつかないだろう。 -
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ネタバレはぁぁぁー………
みんな死んじゃうなんて……
こんな結末ならのんきなタイトルと帯にして欲しくなかった……
『ラスト忍者』とかにしてくれてたら心構えもできたのにな……
主人公にも仲間にも感情移入させておいてそりゃないよ……
まさか導入でにんにくの絵を思い出す場面が死に際の重い場面だなんて思わないよ……
戦後にはのんきさが全くなくて辛かったな。
自分達の都合で危険な大阪城まで連れ出しておいて、最後まで面倒見てくれないひょうたんの神様は一体何だったの?
忍びを全滅させる為のキャラクター?
あんなファンタジー要素を出すなら救ってくれると思うよね?
風太郎も実はあの後養生して復活して芥下とひょうたん屋をやり、常世も黒弓も実は生き残っていて、黒弓はちゃんと巳ぃさんの槐の根元に埋めた大金を掘り出し、お母さんも自分も買い戻して自分の人生を生き抜いていると信じたい。
ラストは衝撃だったけど読み応えが充分ある作品でした。 -
Posted by ブクログ
項羽と虞にチャイニーズデスコアの優Voodoo Kungfuのvo 李楠とサポート?Bの蒲羽を脳内キャスティングして読んだ「虞姫寂静」が良かった。
これ、読み始めてから間もなく何処かに行っちゃって、この前やっと発見したんだよね。
で、再読。
西遊記も史記も三国志も試験対策以外の知識も興味はなかったワケだよ。これまでは。まぁ、孫悟空は知ってるけど。
で、最初は正直辛かった。西遊記さえも。
でも、読んでいるうちに気がついた。と、いうか思い出した。漢文とか古典は同級生が言うほど嫌いじゃなかったことを。みんなに合わせて文句は言ってたけど、文中にふと差し込まれる視覚的な風景描写が好きだったなぁ。
で、原作からのスピンオフを万城目学が綴るという趣旨の本作。
原作知識のない私のようなNO歴読者に対し簡単な背景説明を巻末に収録という親切設計。
中国古典に見られる風景描写を挿入というスタイルを踏襲。美しい。臨場感が湧く。
行間で物語る漫画家と評されるあだち充の風景描写って中国古典の影響から来てるのかもと思い至った次第。
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Posted by ブクログ
アンソロジーは
手にした事のない
作家さんを
開拓できるから
嬉しい
実際
湊かなえ先生以外は
お初でした
''時''をテーマにした
コチラ
どのストーリーも
短編なのに
読み応えのある
ものばかりでした
「タイムカプセルの八年」
とっても共感が出来る
ストーリーと
ニヤッとしてしまうラスト
心が温まる時のお話しでした
「トシ&シュン」
これまた
全く違うテイスト
鴨川ホルモーや
偉大なるしゅららぼんが
元は小説だとは!
小説であの世界観を
どう表現してるのか?
出来るのか?
この短編読んで
なるほど・・
と納得しましたね
出来るんだと笑
「下津山縁起」
とっても読みづらい笑
な、何だこれは?
と半分混乱しながら
読み進めますが
どんどんのめり込み
ラストなるほど〜と
唸ってしまいました
「長井優介へ」
湊先生ってだけで
身構えちゃダメよね
最後のストーリーが
いじめかぁ
しかも湊先生の…
って
どんな結末こようが
落ちないぞ!
って
思ってたけど
穏やかな気持ちのまま
本を閉じる事が
出来ました