万城目学のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・はじめの一歩
・当たり屋
・トシ&シュン
・パーマネント神喜劇
万城目学の小説ってARみたいだよなあ。
普通の日常の中にポンと異物が登場する。
ホルモーや、鹿男や、しゅららぼんや…。
小さな神社に行ってみたら、そこに出たのはポケモンではなく神だった、という。
日本の神様って、元々はすごく人間臭い。
だから、ここに出て来る神様の、まあ器のちっちゃいことも、逆に「まさしく日本の神」なのかもしれない。
神様の直系の子孫であるところの天皇家にしたって、日本人の精神性の大本ではなく、日本人の食の安全と安定供給をつかさどるものだからね。
実に実に具体的かつ現実的なのが日本人のメンタルなのでしょう。
出世のために、取材中のフリーライター(神)に、いいところは大げさに、まずいところはカットしてもらうように、いちいち注文を付ける神様のセコさよ、ブラボー。
『トシ&シュン』は、これはもうあからさまに『杜子春』のオマージュだろうと思ったけど、まさかそういう展開?な。
そして大震災によって一世一代の危機に面する神様は、セコくて器のちっちゃい神様は、それでも人間のことを愛してくれていて、ありがたくてハグしたくなるくらい。(ひれ伏すほどではない)
そんな神様の様子をじっと観察して本に書いた、フリーライターの神様の名前が「ちはやふりー」には、激しく噴いた。
だって私もノンアルビールみたいって思ったもの。
万城目学の書く変さが、私にはめっぽう面白い。
忙しい毎日で凝り固まったものが、ほぐれていくような心地よさでございました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「時」をテーマに捻ったアンソロジー4編。
・面白かった編
「タイムカプセルの八年」
何だこの屁理屈親父は?という導入から始まって、こんなのあるあるだなぁな脇キャラに流されながら意外と矜持を見せ、”黄金期”だった小学生時代の父親たちで優しい嘘を守り、綺麗にオチをつける。流れるように起承転結のレベルが高くて「いいもん見せてもらったぜ」って気分になる。ハズレなし作家だなぁハッピーエンドっていいよなあと素直に思える良作。
・微妙だった編
「トシ&シュン」
「パーマネント神喜劇」やん!よね??と思いながら読む。再掲かいと思いきや、こちらの発表が先で後でもう1章足して「パーマネント」完成だったみたい。これだけぶつ切りでもまぁ面白いけど、前後があった方が(っていうかパーマネント先に読んじゃってるから!)絶対うさん臭さと面白さが倍増するから惜しいなぁむず痒いなぁもったいないなぁともぞもぞしながら読む。そういう意味で微妙だったけど、夢の入れ子とか使いまわしとか(作者は嫌がるかもしれないけど)森見登美彦みたいで面白いよなあと改めて思った。パーマネントまた読も! -
Posted by ブクログ
にわかに信心を起こし、神社詣でするお正月休みに読むといい感じだろうか?
うららかな新春の雰囲気に、ぴったり。
縁結びの神として千年、小さな神社で務めてきた下級神が主人公。
何と神界にもノルマがあり、査定があり、転勤も昇進もある!
そして、この神さん、小心で出世欲もあり、ちょっと小ずるかったりする。
なかなか「人間的」なお方。
でも、いざという時、出世より、人間に寄り添い、縁結びをすることを選んでしまう、泣かせる神さんでもある。
物語は凝った構成を持つ。
神の世界の話と、神を見ることができない人間の世界とを交互に描いていくのだが、時に交錯したり、夢が何層にも入れ子になっていたりと、多彩だ。
表題作のパーマネント神喜劇。
地震の被害を受けた地域を舞台とする。
大きな余震が来るたびに、下がってきていた不安の目盛りが元に戻ってしまう、という感覚。
自分は震災を経験していないが、きっと被災地の人たちはこんな不安の中にいるのだろうな、と胸が塞がる。
つい最近も震度六の余震があったばかり。
神さん、早く地震を止めてください。 -
購入済み
異世界
万城目さんの小説を読むと、異世界に入り込んでしまった様な感覚になります。孫悟空の世界、古き中国の世界へと。様々な人々の生き様を、まるで今目の前にしているような驚き。
今後の作品も楽しみにしています。 -
Posted by ブクログ
4人の人気作家による『時』をテーマとしたアンソロジー。
女性作家2人の作品は、どちらも学校の卒業記念で埋めたタイムカプセルがコア。しかし、辻村深月はハートフル。湊かなえはちょっとウエット気味と、それぞれの持ち味が存分に出ていて興深い。
対して男性作家2人の作品は、どちらかと言うとSF的作品。万城目学は、神様モノ。米澤穂信は過去から未来にかけての壮大な時間モノ。
売れっ子作家さんだけにハズレなし。
装丁の猫は何故?と思うが、読み終えるとおそらくシュレーディンガーの猫なのだろうと気付かせてくれる。
何れも初出は別冊文藝春秋らしいが、このアンソロジーは、企画が先にあって雑誌に掲載されたのか、掲載後に似たテーマを纏めてアンソロジー化したのか、どっちだったんだろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ万城目学のデビュー作『鴨川ホルモー』を読んだとき、その発想の奇抜さとストーリーの愉快な展開に、なんてすごい作家が現れたんだ!とすぐにファンになった。
ところが『とっぴんぱらりの風太郎』や『悟浄出立』を読んで、あれ?本当に書きたいのはこういう作品なのかな?と思った。
主人公の俺は、バベル九朔という5階建ての雑居ビルで管理人として働きながら、作家デビューをするために小説を書いては応募する毎日を送っている。
が、一次予選すら一度も通ることなく、二年の月日が過ぎようとしていた。
###以下ちょっとネタバレ###
どこにでもあるありふれた雑居ビルのはずだったバベル九朔が、人びとの夢や希望を絶望に換えながら広がっていく「バベル」だったということが徐々に判明していき、大きくなり過ぎたこのバベルは、崩壊の危機に面しているという。
現実世界に影響を与える崩壊を選ぶか、バベル九朔とともに自分までこの世から消えてしまう消滅を選ぶのか。
人びとの夢や希望を糧に肥え太っていく存在なんて、現実にはいくらでもある。
「君には才能がある」「かけがえのない存在だ」と言われ続けて夢にしがみついても、花開かないことだってある。
甘言をささやき続けた(励ましだったかもしれないが)方が悪いのか、夢をあきらめきれない自分が悪いのか。
それは無駄なことなのか、不幸なことなのか。
思えば作家という職業は、登場人物に夢も希望も、現実も絶望も与え、その相互作用で生まれたものをもとに作品を作り上げているのだから、これは全くバベルの在りようと同じわけだ。
作品の結末についてはいかようにも解釈できるだろうけれど、私は、作家としての業は重々承知のうえで、作家として今後も努力を続ける、と、「言葉」で伝えることの大切さ、大変さを決して忘れないという、作者の宣言と捉えました。