万城目学のレビュー一覧
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作り込まれた設定は奇想天外ながら妙なリアリティに満ちていて、さながらよく出来たSF小説。思わず引き込まれる。
が、個人的に好きかというとやや違う。
なんというか、気色悪いというか座りの悪い読後感。うまく言えないけど。
たった一人の女性を300万人男性全員でひっそり守り続けることに意味を見出す男の浪漫とノスタルジー、周囲の女性達の「わかってる」感が支える、みたいなクソデカ主語で描かれる役割構造が、全体をのっぺらぼうじみて見せているように思う。
無理に前向きに描くトルーマン・ショーというか。「ものすごい大勢で大騒ぎしといてそれかい!」というか。
まあ、設定が作り込まれているだけに人物周りのリ -
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サイキックな一族が見舞われる大騒動。「神様」を題材としたようなシリアスなストーリーにも関わらず、ちょっとハズレ加減な主人公をしてコメディタッチで描かれています。「鴨川ホルモー」に続く意味不明のタイトルにも、何だかテキトーな意味付けがあって笑えます。
人は血のつながりをもって様々な境遇のもとで生きており、自身の努力では捨て去るのことのできない何かと共存している。諦めではない方法でうまく折り合いがつけられるのであれば最良だけれど、それがなかなか難しい。安寧を求めて皆もがいているのだよ。などと笑いを誘われながらも時折り真面目なことを考えたり、忙しい読書でした。 -
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国の収支をチェックする会計検査院。その機関のエリートである松平が旭と鳥居、2人の部下と大阪府にある法人へ検査に向かう。そしてその中のひとつの法人がなんだか怪しいと目にとまるが…。そこが実は35年間検査に入られていない組織で、35年前とは松平が大阪で不思議な体験をした年だった。
高きにそびえる大阪城とその地下にある『大阪城』。それにまつわる秘密組織と会計検査院との決戦へと大きく物語はうごいてゆくストーリー。
架空の組織や歴史が地理的リアルとうまく混ざりあって、途中ほんとにあったりしてと思ったり。
松平の視点のほか、中学生の大輔と茶子視点があり交互に進んでいく。社会人と中学生このふたつが徐々 -
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ネタバレ設定はぶっ飛んでいたが中々面白かった。
舞台は大阪で豊臣家が滅ばず、代々豊臣の末裔を陰ながら支え続けていてその影響が国規模となっているというもの。そこに関わるようになった会計検査員3人が少しづつ全貌を明らかにし最後に大阪国の住民を相手に職務を押し通していく。
世間には認められていない大阪国と同じく世間から認められていない大輔の男だけど女としてのあり方ここ二つを連動させて、父と子が世の中の常識に強い意志で戦っている所は何よりも爽快だった。
物語を通じ大きな考えや常識に意思だけで足掻き打ち勝つそんなことを伝えたかったのではと思った小説。 -
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題名作は、西遊記の悟浄を主役に仕立て上げた作品だ。中国史における助演者を主役にしたり、スピンオフであったりの5つのストーリーで構成されており、万城目学さんらしく面白い。
趙雲西航は三国志の蜀の軍人である趙雲子竜が主役。
虞姫寂静は秦を滅ぼした項羽の寵姫の虞美人が主役、夏目漱石が思い浮かぶ。
法家孤憤は秦の始皇帝暗殺未遂事件と法家思想政治の顛末が描かれている。
父司馬遷は史記の司馬遷について、娘からの視点で描かれている。
こうした確固たる方向性がある中で、登場人物の人間らしさをクスリと笑顔にさせる表現が、万城目学さんらしさを感じた。
ただ、私は中国史にはさほど興味がないため、読むのが少し辛か -
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鴨川ホルモーの続編、というかスピンオフだ。六景というくらいだから、6つのストーリーがある。前作は京都大学青龍会のメンバーを中心に描かれていたが、今回は相手大学の人々に焦点が当たっている。
万城目学さんらしく、軽快な描写で日常生活の中での不思議な出来事が、さまざまな角度で描かれている。
ホルモーの鬼たちの戦いが街中で繰り広げられたり、一筆書き的な問題を解いていくところなどユニークである。関東の大学にもホルモーがあり、交流のきっかけになるのだろう。そして青春である。
梶井基次郎の件は、檸檬を読んだ時の情景が浮かび、なぜか高校時代を思い出した。同志社大学黄龍陣では山吹巴の広島弁(?)から、なぜか