万城目学のレビュー一覧
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万城目学氏の小説は4作目くらいだが、本書も万城目ワールド炸裂である。どう考えても作り話なのに妙にリアルで、ありうるかも?と信じてしまいそうになる。彼の小説はいつも関西が舞台で、本書もタイトルから察する通り、豊臣家ゆかりの大阪城近辺で起こるエピソードだ。著者はよっぽど外人コンプレックスがあるのか、ハーフの女性が登場するが、超美人で背が高く鼻も高くハーバード大学出身という設定はストーリーにまったく不要だった。監査人たちが東京から乗り込み、大阪にある組織について調べる。そこで見つけたものとは。
不思議な小説だが、著者が楽しんで書いていることが読者に伝わる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第170回直木賞受賞作
京都で起こる不思議な出会いを描く青春小説。
表題の『八月の御所グラウンド』に『十二月の都大路上下ル』が加わっている。前者はお盆の時期の野球の話、後者は十二月の駅伝の話と関連はない。連作短編のような形式ではないけど、駅伝の試合中に新選組の影を見せられて、表題作で起こる不思議な出会いを予感させるような繋がり方だったなと思った。
「あなたには、火がないから」と言われて彼女に振られて、八月の敗者になってしまった主人公。そこに友人の多聞から、京都で三十年以上続く伝統の野球大会"たまひで杯"に参加するようお願いされる。人数が足らなくても不思議と人が集まると言われるその大会で、不思議な出会いが描かれる。
最初は研究室のメンツや夜職の同僚などでメンツが揃ったものの、揃わなくなってくる。その中で、留学生のシャオさん、そして日本が誇る大投手 えーちゃんこと沢村栄治らがチームに加わる。この展開は『十二月の都大路上下ル』から続く故人との邂逅。お盆という季節ともマッチする出会いだと思ったけど、沢村栄治が徴兵によって若くして亡くなったということを知り、こんなにもすごい投手が、もっと野球をしたかっただろうにできなかったのに、今の自分は…ということを考える。「俺たち、ちゃんと生きてるか?」という多聞の問いかけが刺さる。最後、火がないと言われた心に送り火からの炎を受け取るという結末だったけど、蝉が鳴き始めるというのも、八月の敗者が立ち上がり、物語が始まるということを演出しているようで良かった。
終戦から80年が経ち、ウクライナやイランで戦争が起こってはいるけど、どこか遠いものに感じている。でも僕たちが住んでいる土地・街は先人たちの積み重ねの上に成り立っていて、その人たちの想いも背負いながら生きていく。そんな必要はないとも思うけど、その方が前を向いて生きていけそうな気がしてきた。 -
Posted by ブクログ
1作の長編かと思いきや、先に別の短いお話が1つあっての、ぶりぶりぎっちょうでした。
最初の短いお話は、主人公が大学生の頃の寮生活での不思議な体験を振り返る感じ。
2作目ぶりぶりぎっちょうは、主人公がぶりぶりぎっちょう(これは何なのかは読んでからのお楽しみ)をきっかけに、不思議な世界線の中で本能寺の変の真相に迫って行く感じ。
御所グラウンドの続編なので、同じような種類の話で読みやすかったし、やや日本史好きの私は楽しかったかな。
たぶん、ガッツリ日本史が好きな人は、ファンタジーな感じが入り込めないかも?
御所グラウンドがすごく面白かったし感動したから、それに比べるとやや感動は薄かったので☆3つです!