万城目学のレビュー一覧
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かのこちゃんは小学一年生。お父さん、お母さん、老犬の玄三郎とその妻(!)で猫のマドレーヌ夫人と一緒に住んでいます。かのこちゃんが『ただものではない』と認めるすずちゃんとは、不思議な出会い方をします。親友になります。マドレーヌ夫人はふとした事で出会った玄三郎の妻になり、夫を助けます…
かのこちゃんの穏やかな成長、温かく見守ってくれるお父さんとお母さん、猫たちの密かなコミュニティの不思議な世界、老犬とマドレーヌ夫人の絆…。読んでいて心が温かくなります。基本になっているのは"小さな女の子の成長と家族の物語"ですが、それだけで終わらない深みがあります。それは『別れと死』という、生 -
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下巻は「大坂冬の陣」終結から始まる。太閤未亡人の依頼で案内した貴人に再会し、再び京に戻った風太郎だったが、月次組の襲撃を受けて瀕死の重傷を負う。何とか命は取り留めるが、因心居士との約束を果たすべく再び大坂へ向かう事に…。
下巻は「大坂夏の陣」の終末を描き、風太郎ら伊賀忍者たちの決死の戦いが繰り広げられる。忍び同士の戦いは陰惨なものにならざるを得ず、白土三平の「忍風武芸帖」を思い出しました。
読んだのは単行本だったので一気読みでした。読み終わって改めて感じたのは、著者がとても丁寧にプロットを組んで物語を作っていること。登場人物の台詞が色々な所で伏線になっていて、後になってそれらがきちんと回収 -
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忍者風太郎(ぷうたろう)は、殿様の逆鱗に触れ、伊賀の里を追放される。元はと言えば相方•黒弓のヘマと、同じ柘植の忍び屋敷で育った同期の蝉左右衛門•百市らが原因なのだが。京のあばら屋に逼塞した風太郎は、ひょんな事から因心居士という幻術使いの術に囚われてしまう。伊賀忍者への復帰を期して、やはり同期の常世(とこよ)に合力する中で、太閤未亡人•寧々の依頼を受け「ひさご様」という貴人の京見物の案内をするが、月次組(つきなみぐみ)という連中に襲われて…。
上巻は第六章まで。黒弓を訪ねた堺で蝉左右衛門と合流した風太郎は「大坂冬の陣」に参戦する事になる。司馬遼太郎の著作で言うと「果心居士の幻術」+「城砦」の面 -
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小学校に入学したばかりの“かのこちゃん”。そしてその家にいるマドレーヌ夫人。
かのこちゃんは教室にいた“ずずちゃん”と言う女の子が気になり、友達になりたいと思う。かのこちゃんとすずちゃんはやがて一緒に遊ぶ仲になるのだが、その二人のやりとりを読んでいると、強烈な郷愁に駆られる。お父さんから教わった難しい言葉、2人だけの楽しいお茶会、そしてお祭りの夜。泣かせようとした文章ではないのに、むしろ、ふふっと微笑んでしまうような可愛らし描写にも、涙が滲んできて喉の奥に石が詰まったようにグーっとなる。あの頃の純粋な子供心をまるで今見ているかのような。あー、だめだー。書いてる最中も涙が止まらん(汗)
さて -
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「かのこちゃんとマドレーヌ婦人」はずっと読みたかった本
万城目さんの異色の絵本だと勘違いしていた
子供用だけど子供な大人も読めるメルヘンだと
なんでそんな勘違いをしたのかそこはわからないが
そんなふうに思ってずっといつか読もうと心に温めていた本
蓋を開けてみると、児童書?普通の小説?でした
あるオスの老犬と、あるメス猫と、ある人間の女の子のお話でした
かのこちゃんは、小学校1年生の女の子
玄三郎は、かのこちゃんちの年老いた柴犬
マドレーヌ婦人は外国語を話せるアカトラの猫で
ひょんなことからかのこちゃん家で暮らすことになる
日常に潜んだ不思議の中、出会いと別れと成長が心地よく響き余韻を残す
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「しゅらららららららららっ、ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼんんんんんんんんん」
ほとんど間を置かず、すさまじい音の波濤が襲いかかってきた(本文抜粋)
久しぶりに万城目学さんの奇想天外の発想、妄想に浸った⸜(◍ ´꒳` ◍)⸝
『八月の御所グラウンド』が”静”だとしたら、今作は”動”!である
湖の民の力を持つ一族同士
そこに現れる得体の知れない第三者
彼らの戦いが、壮大な琵琶湖を舞台に史実を絡ませ、真面目でありながら何処かコミカルに描かれた不思議な物語♪〜
琵琶湖をそんな風に使っちゃう〜?
著者ならではの発想がユニークである
登場人物も個性的
主人公涼介はどこかおとぼけで憎めない -
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実は、私が"万城目学"の名を最初に意識したのはこの文庫本。パラパラと目次を見ただけで、中国古典が好きな人ならすぐに気付くタイトルがずらりと並ぶ。
1 「悟浄出立」 西遊記のメンバーの一人•沙悟浄を主人公とした物語。
2 「趙雲西航」 三国志の蜀の軍人•趙雲子竜を主人公とした物語。
3 「虞姫寂静」 秦を滅ぼした項羽の寵姫•虞美人を主人公とした物語。
4 「法家孤憤」 秦の始皇帝暗殺未遂事件と法家思想政治の顛末の物語。
5 「父司馬遷」 史記の著書•司馬遷の娘から見た父の物語。
3〜5は史記が題材。どれもスピンオフ的な視点で物語が作られていて面白い。お薦めを一つ選ぶとした -
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ネタバレ再読です。「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」「鹿男あをによし」を再読したからには、「しゅららぼんも再読せねばならぬ」という強い意志を持って、本棚に向かった結果、この「しゅららぼん」と「とっぴんぱらりの風太郎」を手に戻った私でしたが、やはり「風太郎」は(私の中では)重いので、当初の目的通り「しゅららぼん」を再読するに至りました。
読み始めてビックリしました。内容を全く覚えていなかった・・・初読みした時の私はどうかしてたのだろうかと思うほど、覚えていなかったのです。例えば、就職したてで、学生時代が懐かしく、淋しく、心が病んでいたとか、夫単身赴任中で、幼子二人抱えて復職して心が病んでいたとか、 -
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万城目学版の『幻魔大戦』…いや、『童夢』か?そんな超能力合戦(?)が展開します(笑)
舞台は琵琶湖。石走(いわばしり)という湖東にある架空の城下町。日出涼介は湖西の日出分家出身。生まれつき、日出一族に伝わるある"能力"を保持していたので、石走の本家から高校に通う事になった。本家には同い年の淡十郎がいた。石走の殿様の居城だった屋敷に住む本家の人々は、皆一筋縄ではいかない人ばかり。しかも二人のクラスには、対立する棗(なつめ)家の息子、広海がいて…。
読み始めてしばらくは「は?」という状況が、"これでもかっ"ってくらい続きます。やがて少しずつ"能 -
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『鴨川ホルモー』再読後の『ホルモー六景』
『鴨川ホルモー』の後日譚かと思ってたが、スピンオフ。
京都産業大学玄武組の『二人静』定子と彰子が争う『鴨川(小)ホルモー』。
圧倒的な強さを誇っていた玄武組が、京都大学青龍会に負けた原因がこれだったとは…
デートしている相手が横で、訳の分からない鬼語を突然話し出すと…
去っていくよな…
定子と彰子の恋はどうなったのか…
凡ちゃんこと、楠木ふみに淡い恋心を寄せる『少年』の『ローマ風の休日』。
凡ちゃんの背中を押して、安倍に告白させたのが、『少年』だったとは…
凡ちゃんと安倍の恋はどうなったんだろう。
あの書店に果物を置いてくる短篇の舞台裏『もっち -
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万城目学さんの大学受験失敗から小説家デビューまでのエッセイ。
万城目ワールド全開で、クスクス笑ったり、うるっとしたり、心揺さぶられ読後の充実感たっぷり。
万城目学さん、好きだわ〜
京大3回生の時、大学の正門で風に吹かれて小説を書くことを決意した瞬間。
新人賞受賞のメールを受け取るまでの奮闘。
じわっと心にきました。
うまくいかないこと続きの10年以上の日々。
万城目学さんが作家になってくれてよかった。
おかげで作品を読んで楽しい気持ちになることができます。
それにしても、万城目さんが無職になっても見守り続けたご両親も本当に素晴らしいなと思いました。