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Posted by ブクログ
新喜劇ならぬ、“神”喜劇。神様が主人公の連続短編集。めっちゃ面白い。
主な担当は「縁結び」で、由緒正しき縁結び神社に一千年勤めている。でも神様の中では末端らしい。そんな神様のもとに、神様世界のライター(この人も神様)から取材が入った。どうやら取材は最終的に本になり、お偉方の目に止まると昇進チャンスが増すらしい。本書の中では、主人公の神様が取材に応える形で物語が進んでいく。
各話には人間の主人公もいて、神様目線と人間目線が交互に描かれる。
第一話「はじめの一歩」では、理屈っぽい男・肇(はじめ)と恋人のみさきの縁を取りまとめる。みさきに口癖を注意されて悩んでいる肇のもとに現れた神様。便宜上、人間に見える姿になっているときは、文庫本装丁の七三分けの太っちょ姿。スーツを着たオブザーバーの神様も同席している。肇にあれこれと助言をした後は、言霊を飲ませる。どうやら神様、取材の途中に抜け出していたようで、「どうだった? 現場に居合わせるの初めてだよね?」などと尋ねている。
何が面白いって、途中で大神様に試されたり、異動があったりするストーリーもそうだけど、神様のキャラクターが最高!本は儲かるか気にしたり、ちょこちょこ文句を言ったり、上位の神々の顔色を伺ったり、人間っぽくて憎めない。
Posted by ブクログ
見た目は、趣味の悪い柄もののシャツを着たおっさん。でも「神様」なんです。それも主な担当は『縁結び』。小さな町の、名も無い神社で千年もお役目をつとめてきた。そんな神様のところに、取材が入った。髪をぴっちりと分け、メガネをかけた姿はまるでサラリーマン。だけどこちらも「神様」。さらに、神様の昇進をかけた試験も絡んでいるからなんだかややこしいことに…。
「神様」を主人公とした連作短編を一つにまとめた本書。単なる"縁結びのエピソード集"かと思わせて、実はしっかりと芯が通っていて読みごたえがあります。
理屈っぽい男•篠崎肇と恋人の坂本みさきのカップルの縁を取りまとめる「はじめの一歩」
昇進と異動を目前にした神様がトラブルに巻き込まれ、いい加減な暮らしをしてきた男•宇喜田英二が棚ぼたを手にするが…。「当たり屋」
小説家志望のトシと役者志望のシュンが、それぞれの夢を諦めかけるも、神様の昇進試験とかち合って…「トシ&シュン」
取材に来ていたライターの本が完成した。本を届けてもらったその時に地震が起こって…。「パーマネント神喜劇」
万城目学の小説は、神様などの"目に見えない存在"を扱うと無茶苦茶面白いですね。いい味出してます。
Posted by ブクログ
久々の万城目学さん。やっぱり良いです、万城目学さん。
万城目さんの作品はどれも清々しい。作品自体が清々しいし、読者側の気持ちとしても読み始めから読み終わりまでずっと清々しい。
それを、解説で「品がある」と表現されていて、なるほど!!と膝を打った。確かに「品がある」はしっくりくる。
主人公は縁結びの神様。姿かたちはおっさん。神々の中でも下級に属するらしく、ノルマに追われているよう。この神を取材したいと常にそばにいるライター神様。姿かたちは、銀行員。もうこれだけでわけわからん設定だけど、「神喜劇」とあるだけに、本当に楽しめる。
このおっさん神様の言葉(セリフ)だけで物語が進んでいく部分と、おっさん神様に目をかけてもらったりした人間側のストーリー部分とが交互になる構成。うまく説明できていないけど。
以下、ネタバレあります!
このおっさん神様、ちょこちょこ文句や悪口を言ったり、上位の神々にはいい顔をしようとしたり、ズルいところがあったりして、神というより人間っぽくて憎めない。こんなふうなのに、大神様がお出ましになられ、大地震を起こすからと避難命令が出された時に、人間と街を捨てて避難できないと言い切ったときには不覚にも涙が出た。私たちがあの震災を経験したからかもしれない。楽しいエンターテイメントな作品の中に、作者の祈りにも似た思いが詰まっている気がした。そして、神社行ったらちゃんと参拝しようと思った。宗教とか神とかあまりよくわからないけれど、そこには何かあるんじゃないかと思った。
大神様に逆らった時や、言霊が勝手に使われた時に、「吐きそう」とかいうお茶目なこのおっさん神様、本当に憎めないので、ぜひ読んでみてほしいです。
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