あらすじ
派手な柄シャツを小太りの体に纏い、下ぶくれの顔に笑みを浮かべた中年男。でもこれは人間に配慮した仮の姿。だって、私は神だから――。千年前から小さな神社を守る恋愛成就の神は、黒縁メガネにスーツ姿の同僚と共にお勤めに励む。昇進の機会を摑むため、珍客がもたらす危機から脱するため、そして人々の悠久なる幸せのため。ちょっとセコくて小心で、とびきり熱い神様が贈る縁結び奮闘記!(解説・津村記久子)
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Posted by ブクログ
陽気な語りで始まるので、とても読みやすい。
ひとりでペラペラしゃべって読者へ自己紹介するのは縁結びの神様!笑 しかもおっさん。
かと思いきやもうひとり神様がいた。
縁結びの神様を取材して本を出したいライターの神様だった笑
神様でもノルマを達成するためにズルしたり、上級神様へ陰で文句を言ったり、不安になって吐きそうになったり。おっさんなのに可愛らしくて憎めない笑
最後の章では、不安になったが結果オーライ!
感動も詰め込まれていた。
こんな神様に見守られて日々過ごしていると幸せだなぁと思った。神社へ行ったら思い出そう。
解説にもあったが、登場人物に気持ち悪い人がいない。だから気持ちよく読める。
「当たり屋」では悪い人に思えるが、不思議と最後は更生したりして。神様の力か?
そして謎だったパーマネント。てっきり神様がパーマをかけるオチを予想していたが、全く違った笑
自分の学力の弱さを実感笑
Posted by ブクログ
めっちゃくちゃ面白かった!!神様のお話って今まで読んだことがなくて新鮮だったし、さすが神って感じで、悩みがある人だったり、神社に来る人達のお願いを叶えていく感じはめちゃくちゃ気持ちよかった!僕もこの神様の居る神社にお参りに行きたいし、あわよくば願いを叶えてもらいたい!!
Posted by ブクログ
見た目は、趣味の悪い柄もののシャツを着たおっさん。でも「神様」なんです。それも主な担当は『縁結び』。小さな町の、名も無い神社で千年もお役目をつとめてきた。そんな神様のところに、取材が入った。髪をぴっちりと分け、メガネをかけた姿はまるでサラリーマン。だけどこちらも「神様」。さらに、神様の昇進をかけた試験も絡んでいるからなんだかややこしいことに…。
「神様」を主人公とした連作短編を一つにまとめた本書。単なる"縁結びのエピソード集"かと思わせて、実はしっかりと芯が通っていて読みごたえがあります。
理屈っぽい男•篠崎肇と恋人の坂本みさきのカップルの縁を取りまとめる「はじめの一歩」
昇進と異動を目前にした神様がトラブルに巻き込まれ、いい加減な暮らしをしてきた男•宇喜田英二が棚ぼたを手にするが…。「当たり屋」
小説家志望のトシと役者志望のシュンが、それぞれの夢を諦めかけるも、神様の昇進試験とかち合って…「トシ&シュン」
取材に来ていたライターの本が完成した。本を届けてもらったその時に地震が起こって…。「パーマネント神喜劇」
万城目学の小説は、神様などの"目に見えない存在"を扱うと無茶苦茶面白いですね。いい味出してます。
Posted by ブクログ
裏切らない万城目作品!
なんだろ、自然にスラスラ楽しく読めてしまうのはやっぱり万城目さんだから?
神様系も好きなので余計に楽しめた。
賞取った新作は何となくまだ読んでないけどどうしようかな。。
Posted by ブクログ
日本人の信仰心からしたら、日本の神様はこの位お気楽な感じかもしれないな。
でも、こうやって人間や街を助けて守ってくれてるのかもと、しみじみしてしまう所もあったり。
なんやかんや、イッキ読み必至の本でした。
Posted by ブクログ
久々の万城目学さん。やっぱり良いです、万城目学さん。
万城目さんの作品はどれも清々しい。作品自体が清々しいし、読者側の気持ちとしても読み始めから読み終わりまでずっと清々しい。
それを、解説で「品がある」と表現されていて、なるほど!!と膝を打った。確かに「品がある」はしっくりくる。
主人公は縁結びの神様。姿かたちはおっさん。神々の中でも下級に属するらしく、ノルマに追われているよう。この神を取材したいと常にそばにいるライター神様。姿かたちは、銀行員。もうこれだけでわけわからん設定だけど、「神喜劇」とあるだけに、本当に楽しめる。
このおっさん神様の言葉(セリフ)だけで物語が進んでいく部分と、おっさん神様に目をかけてもらったりした人間側のストーリー部分とが交互になる構成。うまく説明できていないけど。
以下、ネタバレあります!
このおっさん神様、ちょこちょこ文句や悪口を言ったり、上位の神々にはいい顔をしようとしたり、ズルいところがあったりして、神というより人間っぽくて憎めない。こんなふうなのに、大神様がお出ましになられ、大地震を起こすからと避難命令が出された時に、人間と街を捨てて避難できないと言い切ったときには不覚にも涙が出た。私たちがあの震災を経験したからかもしれない。楽しいエンターテイメントな作品の中に、作者の祈りにも似た思いが詰まっている気がした。そして、神社行ったらちゃんと参拝しようと思った。宗教とか神とかあまりよくわからないけれど、そこには何かあるんじゃないかと思った。
大神様に逆らった時や、言霊が勝手に使われた時に、「吐きそう」とかいうお茶目なこのおっさん神様、本当に憎めないので、ぜひ読んでみてほしいです。
Posted by ブクログ
万城目学さんのつくる雰囲気がとても出ていて、非常にテンポが良い!あっという間に読み終わってしまいます。クスッと笑えてワクワクする、そんな楽しい作品です!
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一見して緩い設定、軽妙な言葉、テンポよく肩の力を抜いてスルスル読める。時に声を出して笑い、おおおっと驚き、そして最後は前を向いていける、そんなお話。とてもとても面白かった。
Posted by ブクログ
面白すぎた♡
神様もノルマ達成に悩み、昇進を目指し頑張っている…。語り口が絶妙で、ライター神様はじめ神様たちのキャラが濃い。
疲れた時、やる気が出ない時、前向きになれない時…サクっと読んでまた頑張ろうと思える不思議な本。
Posted by ブクログ
久しぶりの万城目ワールドを堪能。たぶん10年以上ぶりの様な気が…。現世に1,000年権限する縁結びの神様とそれを取材する神様。学業の神様が繁忙期に入るとスケットに駆り出され、得意の縁結びじゃなくても神通力には自信があるらしく多方面で活躍中。やはり神様は人から忘れられると消えてしまうんだな。あの「かのこちゃん」も小学校3年生に成長した姿で登場。当たり屋なんかも出てきますが、終始ほっこりした雰囲気で大変読みやすい。著者の本はまだ読めていないものもたくさんあるので、久しぶりに手を出したいなぁと思わせてくれた。
Posted by ブクログ
ファンタジー物だけど、神社に行ったらこの本に出てくるような神様に本当に出会えるんじゃないかと思ってしまうような物語だった。
あっという間に読み終えてれちゃうすごく読みやすい
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なんとなくおもしそうと思って読み始めた本
人が良さそうな人間臭い?神様
日本人の八百万の神様への信仰心とほっこり神様
うっかりウルっとしたところも
楽しい本でした
Posted by ブクログ
神社を護る ( 縁結び ) 神のお勤めを描いたコメディファンタジー。4話からなる連作短編集。
* * * * *
縁結び神の語りで始まるのだけれど、何か神のイメージとはズレていて、舞台喜劇を観ているようでおもしろかった。
各話もそれぞれ味があります。
1話目は、言霊で以て煮え切らない男の欠点を封じることで、恋人の仲を鮮やかに成就させる縁結び譚です。
2話目は、当たり屋をして生活しているというどうしようもないぐーたら男を見事に改心させ、縁結びまでしてしまうという御利益譚です。
3話目は、恋人の「男女の仲」を進展させつつ、それぞれ芸道での成功に導くこの話は『杜子春』をモチーフにしたパロディ譚で、最も笑える出来栄えでした。
そして4話目は、阪神淡路大震災と生田神社をモチーフにしたような描写で、心を打つ展開になっていました。
最終話にこの話を持ってきたのは、万城目さんが関西に縁のある作家だからなのでしょうね。だとすれば作品タイトルにも納得できます。
ともあれ、笑いあり、感動ありの、よくできた作品だったと思います。
Posted by ブクログ
面白くてするする読めた。
神様部分は1人語りなので落語の様だった。
野草好きで丁度どんぐり(スダジイ)クッキーを作った所だったので、御神木のマテバシイにはおぉっ!となった。
マテバシイは公園でよく見られる木、大きめの実でアク抜きすると食べられる秋の味覚なんだよねぇ。
Posted by ブクログ
目次
・はじめの一歩
・当たり屋
・トシ&シュン
・パーマネント神喜劇
万城目学の小説ってARみたいだよなあ。
普通の日常の中にポンと異物が登場する。
ホルモーや、鹿男や、しゅららぼんや…。
小さな神社に行ってみたら、そこに出たのはポケモンではなく神だった、という。
日本の神様って、元々はすごく人間臭い。
だから、ここに出て来る神様の、まあ器のちっちゃいことも、逆に「まさしく日本の神」なのかもしれない。
神様の直系の子孫であるところの天皇家にしたって、日本人の精神性の大本ではなく、日本人の食の安全と安定供給をつかさどるものだからね。
実に実に具体的かつ現実的なのが日本人のメンタルなのでしょう。
出世のために、取材中のフリーライター(神)に、いいところは大げさに、まずいところはカットしてもらうように、いちいち注文を付ける神様のセコさよ、ブラボー。
『トシ&シュン』は、これはもうあからさまに『杜子春』のオマージュだろうと思ったけど、まさかそういう展開?な。
そして大震災によって一世一代の危機に面する神様は、セコくて器のちっちゃい神様は、それでも人間のことを愛してくれていて、ありがたくてハグしたくなるくらい。(ひれ伏すほどではない)
そんな神様の様子をじっと観察して本に書いた、フリーライターの神様の名前が「ちはやふりー」には、激しく噴いた。
だって私もノンアルビールみたいって思ったもの。
万城目学の書く変さが、私にはめっぽう面白い。
忙しい毎日で凝り固まったものが、ほぐれていくような心地よさでございました。
Posted by ブクログ
にわかに信心を起こし、神社詣でするお正月休みに読むといい感じだろうか?
うららかな新春の雰囲気に、ぴったり。
縁結びの神として千年、小さな神社で務めてきた下級神が主人公。
何と神界にもノルマがあり、査定があり、転勤も昇進もある!
そして、この神さん、小心で出世欲もあり、ちょっと小ずるかったりする。
なかなか「人間的」なお方。
でも、いざという時、出世より、人間に寄り添い、縁結びをすることを選んでしまう、泣かせる神さんでもある。
物語は凝った構成を持つ。
神の世界の話と、神を見ることができない人間の世界とを交互に描いていくのだが、時に交錯したり、夢が何層にも入れ子になっていたりと、多彩だ。
表題作のパーマネント神喜劇。
地震の被害を受けた地域を舞台とする。
大きな余震が来るたびに、下がってきていた不安の目盛りが元に戻ってしまう、という感覚。
自分は震災を経験していないが、きっと被災地の人たちはこんな不安の中にいるのだろうな、と胸が塞がる。
つい最近も震度六の余震があったばかり。
神さん、早く地震を止めてください。
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縁結びの神様(おそらく下級)のお仕事に真面目に取り組む姿勢が、まるで日本の下っ端サラリーマンの様でおかしい。
偉い神様からの縁結びノルマも、ノルマ至上主義に対する批判はあるものの、自分の昇進を気にしペコペコするあたり、神様も日本のサラリーマンと一緒だ。
「はあ...参った。困った。吐きそう」
...神様に共感しかない。
Posted by ブクログ
1文目から表現がおもしろい。
肩肘張らずに読めるけど、その中でちょっとした気づきを得ることができます。
自分たちが崇める対象である神にも苦労があるんだなあとおもしろがりながら読むことができました。
Posted by ブクログ
この本は4つのお話で構成されています。
その中でも当たり屋の話が私の中で響いたというか何というかです。
隙あらば大金を手にし、いつでもリタイアする気満々のわたくしには受け入れられない結末でした。
まあ、当たったはずの3億の権利を放棄して真っ当な人生を歩む、言い換えれば3億で真っ当な人生を買ったととらえる当たり屋。
うそでしょ、3億の権利を捨てなくてもやり方は色々あるでしょうよ。
勤務が全てではないですよ。とファンタジー小説にムキになるわたくしでした。
Posted by ブクログ
神様が人間をなんだかんだで幸せにする、よくある設定だなーと思ってたら、最後だけが違った。
イマイチ時間軸が不明だったけど、最後は人に助けられてて、人も助けられて良かった。
ラストの章は似たようなものを選んで読んでいるからか、「神様の御用人」とかぶった。そもそも有名なテーマなのかな?
Posted by ブクログ
神様の話といえば、ガネーシャがインパクトがあるがゆえに、本作はなんとなく物足りなさを感じてしまった。万城目作品が初だっただけに、なかなか作風がつかめなかった…。また少し時間が経った頃にゆっくり再読したい。
Posted by ブクログ
身近にいる様な神様のお話。
この神様、とてもいい加減で打算的で、人間臭い。
関わってくる周りの神様もおんなじよう。
本来神様はそんなものと言うのを何処かで聞いていた気もするけど。
そんな神様だけど、やっぱり人間が好きで見捨てれず、神通力?で色んな人の願いに、真摯に向き合っている。
神様も完璧ではない部分が愛せてしまいます。
各篇の登場人物の欲や悩みも、共感できるようなもので、読みやすいものでしたが、表題作の「パーマネント神喜劇」はテーマも壮大であったが、こちらも神様っぷりを見せつけ気持ちのよいものでした。
Posted by ブクログ
内容はほっこりしていてそれなりに面白いものの、神様の扱い方が他の作家さんの作品でもたまに見られる感じであまりオリジナリティが感じられない。
万城目氏の最大の特徴であるオリジナリティ溢れる作品をしばらく読めていないのが寂しいなあ。