万城目学のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前回読んだ鴨川ホルモーには驚愕したが、第2作目の本書のインパクトはそこまでではなかった。これも関西を舞台に、唯一無二の小説である。
人間関係が得意でない研究生の主人公は、短期間奈良の高校(女子高)で教師をすることになる。そこである日いきなり鹿に話しかけられ、ある任務を命じられる。が、その任務が何なのかが明確でない。主人公の「おれ」は、授業だけでなく担任や部活動の顧問をするよう依頼され、剣道部の顧問となる。奈良・京都・大阪の3高校のスポーツ大会があり、どうしてもそこで優勝する必要があった。
奈良といえばいにしえの都である。ストーリー展開に歴史が絡んできてなかなか面白い。古墳から発掘されたものが伝 -
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Posted by ブクログ
十七歳の誕生日を目前にした弓子の前に異形の物体「Q」が出現する。吸血鬼が十七歳で迎える儀式の前に、弓子が人間の血の味を覚えてしまっていないか調査するための役割を与えられているQは弓子から片時も離れることがない。そんなQを厭いながらも何事もなく誕生日までの日々は過ぎるものと思ったが……。キュートでポップな吸血鬼小説です。
吸血鬼とはいえ、何世代も前から人を襲うことなく太陽の下も闊歩して、人間社会に溶け込みながらまるきり人間と同じように暮らしているものが大半だという、なんとも平和な物語です。なので主人公の弓子はほぼ普通の女子高生。そりゃあいきなり「血の渇き」とか言われても面食らうよねえ……と思った